爆音でかかり続けてるよヒット曲 #1(ハシノイチロウ)

LL教室のハシノです。
この連載のタイトルは、「爆音でかかり続けてるよヒット曲」というとても長いものですが、これ、小沢健二の「ドアをノックするのは誰だ?」の2番の歌詞からいただきました。

https://open.spotify.com/track/2OlGUqfT5U41GQLdEnYusD

「ドアノック」といえば、1994年のアルバム『LIFE』に収録され、のちにシングルカットされたハッピーでキャッチーな曲ですね。8cmシングルの裏ジャケに「これがドアノック・ダンスだ!」なんて振り付けの図解が載っていたことでもファンにはおなじみの曲。
 
このアルバムがリリースされた1994年、わたくしは高校3年生。メタル中学生だったのが1991年のNIRVANA登場で価値観がひっくり返され、それ以降はUSのオルタナティブ・ロックやUKのギターポップなどの潮流を追ったり、あとはパンクとかを掘り下げてイギー・ポップやラモーンズをリスペクトしてたり、日本のバンドだと筋肉少女帯とかすかんちが好きだった頃。作家だと中島らもにハマっていた。
 
そんな感じの高校生だから、世の中の主流派みたいなものにわけもなく敵意を抱いていたよね。電気グルーヴとか根本敬とか大槻ケンヂとかの世界観に共感するひねくれた奴だった。
まだ若かったからソウルミュージックの懐の深さとかほろ苦さを感じ取る感受性が育っておらず、黒人音楽全般を、なんとなく明るいけどそれだけの音楽だと思っていた。
いわんや黒人音楽に影響された日本の音楽なんてものは、単にチャラチャラしてるだけに見えていたよね。それよりも、インディーズのストイックでヒリヒリするロックのほうがクールだし、「本当のこと」をやってると感じていた。
 
ところが、そんな当時の高校生の価値観を大きく揺さぶってくれたのが、小沢健二の『LIFE』というアルバム。「恋とマシンガン」ってあのダバダバした曲でしょ、あれをやっていたフリッパーズギターの片割れがこの小沢健二ってことか。

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