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銀河の犬と水玉~曼珠沙華の伝言~(全文)

note創作大賞2022に応募する為、全文を纏めたページを作りました。

#1 あらすじ

          あなたに出逢う為に待っている犬がいますよ
          あなたの準備が出来たら、逢えるそうです


気をつけて欲しいのは体調。
病気のことについて少し見えるからそこだけ気をつけて。


あるセラピストの言葉を聞いたのは二十代を終える頃だっただろうか。

その時は単なる犬好きとして、私に逢う為に待っててくれる特別な私の犬に逢えるのだとワクワクしていた。

それから数年、運命の犬が本当に現れた。
一瞬で稲妻が落ちるほどの感覚で「絶対にこの犬だ」と確信した。
幼犬で現れたその犬は保護犬として迎えた。
たった一匹の犬が成長過程において教えてくれた事は生きる上で一番大切な事柄だった。

自然に愛犬は私の生き甲斐になった。
ある日突然私は難病にかかってしまった。
原因不明で治療法も確立されておらず、地元にその病気を知る医師が居なかった為に、たらい回しにあい、確定診断が付くまでに四年を費やし、五年目からは車椅子となり障害者となるが、障害者手帳や障害年金などの支援を受けるにも、医師と行政の理解が得られずに高い壁だらけで追い詰められていく。

治療法を必死で探し検査を繰り返した挙句に検査の失敗から寝たきりとなる。
一時は回復するものの、重症化となり一日の三分の二以上は寝て過ごす身体となった。

生きている資格が無いように思え、一つずつ出来なくなっていく身体と頭を絶望せずにいられなくなる。
死んでしまいたい、そう過ぎる度に愛犬の存在が引き留めてくれた。
何も出来なくなっていく私を愛犬だけは必要としてくれている。
その存在に支えられ愛犬を看取るまでは絶対に死ねないと心を強く奮い立たせた。

しかしその愛犬が病気で他界する。
小さな身体で命をかけて、私に生きることと死ぬことを見せてくれた。

愛犬を見送ってからの私は全てが止まってしまったように深く深く眠りについた。
毎日ただただ眠って過ごした。
哀しみに暮れ、後悔に苛まれ、愛犬が残してくれた深い愛に包まれて愛犬を想っていた。

愛犬は絶好のタイミングでその白い毛を送りつけてきていた。
その毛に癒されて過ごすのも百箇日まで。
百箇日から毛は現れなくなった。
本当にお別れしなければならないのかと何とか愛犬と繋がる方法は無いのかと模索する。
引き寄せが始まり私にピッタリのアニマルコミュニケーションの先生に出逢いセッションを依頼し愛犬からのメッセージを受け取った時、愛犬と私の生きる使命を知る。

愛犬の闘病と命日に焼き付いた曼珠沙華は刹那の花でしかなかった。
セッションでその意味を知ってからは天上の花へと変わった。
希望を持って生きること、それもまた愛犬が導いてくれた。
私は銀河の犬との出逢いを、私の脳が更に重症化となり忘れてしまう日が来ても、何度も読み直して思い出せるように小説に残そうと思い立つ。 


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