美容院で散髪したくらいで、いばるな

東急東横線の急行はカスだ。できることなら乗らないまま一生を終えた方が幸せだろう。急行とは名ばかりで無駄に止まる駅が多いし(鉄道オタクはこれを隔駅停車と言って揶揄する)、各停よりも特急よりも乗客数が多いし、これは急行に限った話ではないが、3,4分の遅延はデフォルトになっているようなところがある。どれもあまり精神衛生上良いことではない。その上、電車を降りてみたらホームで駅員に当たり散らしているおっさんでもいようものなら最悪である。おれは基本的に、他人が何をしていようと実害を加えられなければどうでもいいタチなのだが、こればかりは小耳に挟むか視界に入るだけで本当に気分が悪くなる。本物のバカは存在そのものが不愉快だ。そんなんだから出世しないし、顔はブスだし、東横線なんかに乗って通勤しなきゃならないのである。


おれは1000円カットで散髪をしている。どこで髪を切っているのかと訊かれれば特にそれを隠すこともしない。するとたまに、「いい年をして美容院に行かないのはどうなのか」みたいなことを言ってくる輩がいる。そりゃおれだって美容院で髪を切ってもらった試しの一度や二度はある。その経験を鑑みた上で1000円カットに通っているのだから放っておいて欲しいものだ。まあこんなことを言ってくる奴はまず間違いなくウルトラ・バカなので相手をするのもアホらしいのだが、言われっぱなしというのも悔しいのでこの機会に弁明でもしておこうかと思う。だったらなんでこんなところに書くんだ、ああ、意味がわからない。

まず第一に、おれは自分で自分に似合う髪型と、簡単なセットのやり方を知っている。そしてそれは特別な技術を必要とするものではなく、大抵の1000円カットでも施術してもらえる。
次に、おれの髪の毛はかなりの強度の癖毛なので、日によってうねり具合が異なる。なので、たとえ腕のとてもいい美容師が完璧におれの髪型を切り揃えてくれたとして、翌日雨でも降ろうものならそれらは全て徒労に終わってしまう。
最後に、おれはそれなりに顔がいいし、服装のセンスも悪くないので、ブスな奴がきちんとした美容院で髪を切って、必死にセットしたところで、おれの方が見た目が良いのである。
というか、散髪にいくらカネを掛けたかどうかなんて素人目に分かるわけがないのだから、見てくれがサマになっていればなんでもいいのだ。

誤解しないで頂きたいが、別におれは美容院に通う人を否定しているわけではない。むしろ、散髪とかそういうことにカネを掛ける価値を見出だせるのは素敵なことだと思う。やっぱり行きつけのあの美容師は腕が違うから、似合う髪型がわからないから、美容院で切った方が気分がさっぱりするから、シャンプーが気持ちいいから、理由なんてなんでもいい。自分の価値あると思うことにカネを掛けるのは大切なことだ。最悪なのは、「美容院で髪を切っている」という概念のためになんとなく美容院で髪を切っているような奴である。彼らは、「いい年だし」と、なんとなく美容院に行き、なんとなく髪を切られている。ちなみに冒頭のようなことをぬけぬけと抜かしてくるのは大抵このタイプである。この手の人間は何かに価値を見出した気になっているが、実際は何も考えておらず、ただカネをばらまいて、美容師の実験台にされて喜んでいるだけのたわけだ。きっと美容師が1000円カットのそれと入れ替わっても気付かないのだろう。こういう奴がシュプリームとかのTシャツにバカ高い金を...やめよう。不毛だ。奴らは経済を回しているだけ、ケチケチ節約してネットで好き勝手言っているだけのおれのような人間よりエラいのだ。おれの負けだよ。

言いたかったのは、おれは無神経な奴と、思考を放棄して世間に迎合しているだけの奴、それに東横線が嫌いということだ。最初にも書いた通り、おれは正直、他人が何を思って何をしていようとクソほどどうでもいい。おれが気にするのは、自分自身と、自分が見込み、相手も見込んでくれているいくらかの素晴らしい友人だけだ。それ以外の人間関係なんてまずクソの役にも立たないので、本当に必要性があるのか吟味すべきだとおれは思っている。良い人間関係は自分を向上させてくれるが、逆もしかりである。まああってもいいかな、くらいの関係なんて切ってしまう方がいい。大抵、相手もその程度にしか自分を捉えていない。こちらがどうでもいいと思った瞬間から相手は離れていく。人間関係というのは築くよりも消滅させる方が何倍も簡単だ。

ああ、なんだか説教臭くなってしまった。おれなんて、社会にも経済にもコミットしていない、飯を食って糞をして寝るだけのくだらない世の中知らずのガキなのに。おれみたいな奴の説教を真に受けている暇があるくらいなら、原宿にでも行って、シュプリームの衣服に身を包み、イージーブーストでも履いているような奴に高校時代の武勇伝でも聞いたほうがましだ。なんだか嫌になってきた。制度の犬のおれは、明日も勉強しなくちゃならないのだ。おれはもう寝るよ。

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