見出し画像

縁切り神社に行ったら会社と縁が切れた。

当時、私が勤めていた会社はブラックとは言えないが、ホワイトではない会社だった。
週休二日制で、正月や盆などで長期休暇が重なると、その週の土曜日が出勤日になる会社だった。
もちろん祝日は出勤日である。
残業代は出るものの、手取りは平均15万程度だった。
地方で一人暮らしをしている身だったので、そこまで生活は苦しくなかったが、転職するのが面倒で甘んじて受け入れてしまっていた。

ある時、友人と京都に行った折、安井金比羅宮に参拝した。

安井金比羅宮は縁切り神社という名で親しまれ、時々Twitterで話題になっていたので知っていた。
力づくで縁が切れるらしい。
祭神はあの怨霊になられた崇徳上皇で、そりゃあ強力だよなと思った。
「切れる縁なら切ってやりたい」と、そんな興味半分で行った。

私たちは本殿で参拝を済ませ、「形代」と言う身代わりの御札を納めて願いを書いた。
「転職できますように」
縁切り縁結び碑(いし)という御札が貼られた、もはや巨石だったのかも分からない碑を表から裏に向かってくぐると縁が切れ、裏から表にくぐって戻ると縁が結ばれるそうだ。
私は「今の会社を辞められますように」と縁切りを願ってくぐった。
縁結びは「無事転職できますように」と願った。

神社に参拝してから色々な問題が噴出した。


その1 競合他社に仕事を奪われる

競合他社に奪われる形で携わっていた仕事を失った。
その売上で成り立っていた弊社は成り立たなくなった。


その2 買収

弊社は買収された。
買収された説明などは特になかった。
ただ、上司から「弊社、買収されたってよ」と告げられた。
桐島もびっくりである。


その3 退職ラッシュ

立て続けに退職が続いた。
営業部や総務部を始め、10〜15人くらいが一度に辞めた。
毎日のように退職する挨拶がメールボックスに届いていた。


その4 入院

顧問と営業部の部長が揃って入院した。
何が原因だったかは聞かされていないので分からなかった。
それも上司から「入院したってよ」と告げられた。


その5 社長の交代

現社長が退き、前社長が復帰した。
何が起きているのか分からなかった。
完全に寝耳に水である。


その6 上司の退職

直属の上司が退職することになった。
ヘッドハンティングだそうだ。
転職先は何と仕事を奪っていった競合他社である。
そして私も同時に引き抜きたいそうだ。
断る理由も特にないので二つ返事で快諾した。

そして私は転職した。
急な転職で引っ越しも慌ただしく、直後コロナ禍になってしまったため、お礼参りに行くのにも2年かかってしまった。

縁切り神社に参拝してからというもの、様々なことが立て続けに起きた。
やはり「力づくで縁を切らせ、強力な縁結びをする」という噂は伊達ではなかった。
ただ、今は年収も手取りも増え、生活も落ち着いている。
安井金比羅宮に参拝して良かったと思う日々である。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?