見出し画像

ニュース系3アプリを比較して気付いたこと

 「ニュース系3アプリ」というくくりは、さっきぼくが勝手に決めたもので、「Yahoo!ニュース」「SmartNews」「グノシー」の3つを指しています。便利ですよね、これ。

 お若い方はピンと来ないかもしれませんが、新聞社・通信社やテレビ局がホームページを作り始め、ネットでニュースを流し始めたばかりの頃は、わざわざ各社のサイトを巡回し、各社のサイトに事前登録してメールでニュース速報を受け取ることで情報を得ていました。職業柄、毎日いろんなマスコミのサイトを巡回していたのですが、ニュース系アプリが登場してからは、ほとんどやらなくなりました。
 メールでのニュース速報は設定したままなので今も送られてきますが、大きなニュースがあればこれらのアプリがスマホの通知センターに速報を表示してくれますので、それで十分な感じです。新聞が好きで新聞社に入社して20年以上も新聞記者をやっているオッサンが「ニュース系アプリすげぇ!もう紙の新聞いらなくね?」と思うぐらいですから、新聞業界と関係ない大多数の方々はもっと強く同じように思っているはずでしょう、きっと。

 「比較してみよう」と思い立ってスマホにこの3アプリを全て入れたのは、10日ぐらい前です。ニュースアプリとの付き合いでいうと、だいぶ前にSmartNewsを入れ、「こんな便利なものがあるんだなぁ」と感心しながら愛用していたのですが、コンビニの新商品を持ち上げる記事風広告(広告風記事?)がある時期から急に目につくようになったのを機にアンインストールし、その後はYahoo!ニュースを使っていました。

 Yahoo!ニュースは、ニュースの取捨選択(価値判断)が新聞・通信社・テレビといったマスコミに一番近い印象です。ニュース自体は信頼できるのですが、コメント欄がくせもので、改善されてきてはいると思いますが、「一番心の狭いことを言った人が優勝」という大会が常に催されている感じで、読んでいて不快になることが結構あります。グノシーは使い始めたばかりですが、今のところ「芸能記事と記事風広告(広告風記事)が一番多い」という印象です。

 これは昨日の昼にぼくのスマホのロック画面をスクリーンショットしたものです。

スクリーンショット

 3アプリとも正午ごろに「主な記事の見出し」を送ってくるのですが、特徴が表れていますよね。これが届くと、各アプリを開いてニュースの扱いを確認し、読み比べてみます。アプリのニュース画面の一番左のタブ(「主要」「トップ」「トピック」と名前が付いています)がきっと、新聞の1面に当たる部分なのでしょう。
 同じニュースでも、アプリによって1面扱いだったりジャンル別タブに収容されていたりと、個性が出ています。昔、民放テレビの朝の情報番組で「朝刊読み比べ」コーナーがありましたが(今もあるのかな?)、それに似た面白さがあります。

 「ニュース系3アプリの比較」を始めたことで、各アプリの個性を発見するとともに、奇妙な共通点を見つけることもできました。最近の例でいうと、「田中みな実」「石橋貴明」の記事が不自然に多いのです。

 ニュース系アプリですので、誰もが大ニュースだと認めるであろう大ニュース、最近でいうと「経産相更迭」「首里城全焼」「法相更迭」は既存マスコミと同様、3アプリとも大きく扱いました。
 これは分かるんですけど、「田中みな実」「石橋貴明」の話題が急に同時に大きく扱われる理由が分からないんです。芸能系マスコミ的な価値判断では「トップ級のニュースだ」ってことで各社とも同じように配信しているのか、あるいは、巨額な広告・宣伝費が目に見えない洗練された形で支出され、それに基づいて一斉に記事化されているのか、本当のところは知りようもありませんが。

 この件でいうと、Yahoo!ニュースのコメント欄が健全な役割を果たしている感じがします。「最近記事が多すぎる」「ゴリ押しだ」という読者の感想がそのまま載っていて、記事とコメント欄の両方を読むことでバランスを取ることができます。
 Yahoo!ニュースのコメント欄って、政治ネタだと、特定の政治思想を持った人々がコメント欄を短時間に大量に埋め尽くし、コメント欄自体が特定の政治思想を主張する(or気に食わない政治勢力をリンチのように叩き潰す)場になりがちですが、芸能ネタだとバランサーとして機能するんだなぁと。これは意外な発見でした。

 もう一つ。前回のnoteで新聞記事に出てくる「紋切り型表現」について触れたのですが、こういうネット系の記事にも「紋切り型」があることにも気付きました。

 以下は、先に挙げた「田中みな実」の記事に限らず、「女性芸能人がInstagramを更新した」という記事でよくみられる表記です。

「ヤバすぎ」「美しすぎ」「女神様!」「最高すぎ!」「夢なのか」「綺麗すぎてうらやましい」+「‥などの声が相次いだ」「‥などの声が殺到した」「‥などと絶賛するコメントが多く寄せられた」

 どれもこれも同じような表現なので、読み比べると苦笑いしてしまいます。「ヤバすぎ」「美しすぎ」みたいな表現ばかり並べられると、その芸能人のファンに語彙力が貧困な人が多いと誤解を生みかねません。

 あと、「ネットメディアなんだから、新聞みたいな『手垢のついた紋切り型表現』はやめましょうよ」と思って、某ニュース系アプリの記事の一番下を見たら、某スポーツ新聞の社名が‥。ああ、書いてるのは紙メディアの記者なんですね。もうちょっと表現を工夫しなきゃ。業界を取り巻く環境は大きく変わりましたがご同輩、お互い頑張りましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?