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宮古島の北端! 池間島の“みんな”を結ぶタマヌオイル ~ヤラブの木 三輪智子さん~

沖縄から飛行機で50分、東京からは約3時間で行ける宮古島。その北端にあるのが池間島です。広さはディズニーランド6個分ほど。約600人が住んでいます。

そんな池間島でタマヌオイルの製造、販売を行っているのが三輪智子さんご夫妻が運営している「ヤラブの木」。「島の伝統を埋め戻していきたい」、そう語る代表の三輪さんに池間島の魅力をうかがいました。

三輪智子さん ヤラブの木 代表


まなざしに惹かれて移住を決めた

islands market:
三輪さんは池間島の出身なんですか?

三輪さん:
私は神奈川生まれ、夫は福岡生まれで、元々は池間島に縁はないんです。池間島に移住したのは2011年。それまではNPO法人に参加して、茨城などで自然環境の保護活動に関わっていました。

islands market:
池間島に移住したきっかけは何だったんですか?

三輪さん:
NPOの仕事で知り合ったかたが池間島の魅力を語ってくれたんです。
「池間島には宝物がたくさんある」とお話しされる“まなざし”を見て直感的にときめいてしまって。思いきって夫婦で移住を決めました(笑)。

islands market:
実際に住んでみていかがでしたか?

三輪さん:
若い人が島外に出て行ってしまって高齢者ばかりになっていますが、おじいおばあたちが楽しそうに暮らしています。「ご先祖様にお願いする」といった本島では感じにくくなっている風習、文化も根強く残っていますし住みやすい島ですよ!

islands market:
若い人はどんな理由で島外に出て行ってしまうんですか?

三輪さん:
地元の小中学校で相互学習をしたときに「大人になったら池間島にいますか?」と質問したんですが、「仕事がないから島外に行きます」とほぼ全員の生徒答えたです。本当に仕事はないのか、作ることはできないのか、それが「ヤラブの木」を作るきっかけになりました。


タマヌオイルは池間島の“みんな”で作っている

islands market:
「ヤラブの木」が製造、販売しているタマヌオイルはどんなオイルなんですか?

三輪さん:
テリハボクの実を干して絞ったオイルです。ハンドクリームやボディオイルの代わり。シミやシワのほか、お肌にトラブルを抱えているかたにぜひ試していただきたいです。炎症や傷、火傷に「効果がある」と言われている天然成分も含まれているんですよ!

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集めたテリハボクの実は殻を割って、天然成分を損なわないよう四ヶ月かけて天日干し。「天然成分を損なわないよう、自然乾燥にはこだわっています」(三輪さん)

islands market:
そういえば、カロフィロリードが含まれているとうかがいました。実ひとつから、どのぐらいのタマヌオイルがとれるんですか?

三輪さん:
20mlのタマヌオイルを作るのに殻も入れて約14kgの実が必要です。
「少ないな」と思われるかもしれませんが、テリハボクの実は「豊穣のシンボル」と言われるぐらいたくさんの実がなるんです。年2回、春と秋になるとそこら中に転がっています(笑)。

islands market:
地元ではおやつにもしているそうですね。「ヤラブの木」のメンバーで拾っているんですか?

三輪さん:
ヤラブの木は私と夫の二人で運営していますが、地元のみなさんにもお手伝いいただいています。テリハボクの実を拾ってきていただいたり、殻を割ってもらったり。タマヌオイルは池間島のみんなで作っている、みんなを結んでいるオイルなんです。

種割り風景3 - tomokosakata

世間話をしたり、歌を歌ったり、「どれだけ取れたか」を競ったり。タマヌオイルは、たくさんの手と笑いを通して製造されているそうです。


島の魅力

islands market:
ヤラブの木の「島の伝統を埋め戻していきたい」とはどういう想いを込めているんですか?

三輪さん:
池間島の伝統、味噌の作りかたや歌、言葉、民具の作りかた、島特有の魚の呼び名などを次世代に引き渡す場を作る、失われつつある先人たちの知恵を暮らしの中に戻していく。そんな想いを込めています。

islands market:
三輪さんは池間島の自然環境、コミュニティ作りにも参加しているとうかがいました。気をつけていること、工夫していることなどありますか?

三輪さん:
仕事、産業を作るとしても、地元のかたが主人公になるように考えないといけないと思っていました。私達はサポートをする。でもなかなか産業を作ることができなくて、「自分たちで覚悟を決めてやらないと!」とヤラブの木を作ったんです。

islands market:
ヤラブの木をやって良かったな、って思うことはありますか?

三輪さん:
ヤラブの木の活動に、地元のおじいおばあが楽しみながら参加してくれていることですね。私もおじいおばあと一緒に殻を割ったりするのが好きなんです。毎日、誰かが何かを話してくれる、会話をしている。出かける理由にしてくれている。みんなにヤラブの木に関わってもらえたのが嬉しいです。

islands market:
池間島のここはほかの島にも負けないよ!というところはありますか?

三輪さん:
池間島には山がありません。そのため、雨が降っても海に流れ出すことがないせいか、沖縄よりも海が透明と言われています。人が減ってしまうと自然環境も維持できなくなってしまうので、産業を作って島で育った若い人に戻ってきてもらって一緒に仕事をしたいです。

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池間島と宮古島を結ぶ池間大橋。「自慢の景色です!」と三輪さんが写真を送ってくれました。毎日違った海の色が見られるそう。

islands market:
最後に、他の離島地域についてもうかがいたいです。
三輪さんが気になっている離島の人、工芸品や食品などはありますか?

三輪さん:
私が気になっているのは、日本最西端の島、与那国の與那覇有羽(よなはゆう)さんです。
与那国でクガという木を利用した民具、伝統工芸品を作ってらっしゃいます。歌も上手で、三線(さんしん)のCDも出されているんですよ。与那国に行ったらぜひ会っていただきたいです。

よなは民具(Facebook

islands market:
与那国も行ってみたいです! 今日はありがとうございました!

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