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位置情報の"偽装"とは?

はじめに

みなさんこんにちは!LocationMindのSpace Div.部門長、藤田です!
私の主テーマは、他部門が担っている位置情報の分析や人流AIの事業ではなく、そもそもの位置情報のセキュリティ(本当に信頼できるか?)に関する技術やサービスの社会実装です。

本日は、Space Div.で進めている事業について少し詳しくご紹介します。
以前の記事でも"信号認証サービス"としてお話しておりますが、今回は、「そもそも、なんのために必要なの?位置情報の偽装?Spoofingってなに?」といった疑問にお答えできればと思います。
最近は、GPSや位置情報に触れずに過ごすことのほうが難しいのではと思うほど、人々の生活に密接に関連しています。

位置情報の仕組み


位置情報と言って最初に想起されるのは、カーナビやスマホの地図アプリでしょうか。
自分や他人、モノの位置が、地図上のどこにいるかをリアルタイムに把握できる機能、とも捉えられます。
ここで非常に主要な役割を果たしているのが、人工衛星です。よく知られている言葉では、GPS。
現在軌道上には、GPSのような衛星が100基以上存在しており、これらが発信する信号を地上側で受け取ることで、自分の位置座標を計算しています。
厳密にはとても複雑なシステムになっており、その話はまた別の機会で。

※ちなみに、一般にはGNSS(全球測位衛星システム)という用語が正しく、GPSは米国が有するGNSSの名称です。宅急便と宅配便の違いみたいな。

日本の測位衛星みちびき(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

位置偽装=Spoofingって?

では、もし衛星が発信している信号を簡単に偽装することができると、何が起きるか。
信号を受取っている側の位置情報を自由に操作することが可能となります。
これを、Spoofing(なりすまし)と呼びます。
厄介なことに、この技術は特別難易度が高いものではなく、少しのお金と少しの練習で、比較的簡単にできてしまうのです。
世間では、GPS=絶対的な神!のようにとらえられがちですが、全然そんなことないよ!という話です。

Spoofingのイメージ

Spoofingの脅威

近年、世界におけるSpoofingの報告件数は、増加の一途を辿っています。
加えて、ドローンの目視外飛行、車や船の自動運転/自動航行、位置情報による本人確認など、様々な最新技術やインフラにおいて、位置情報の重要度は日に日に高まっています。

例えば、海の上。特に国際航行に携わる人々にとって、Spoofingはよく知られた行為です。
海の上では未だインターネット通信環境が十分でなく、位置情報は非常に重要です。船舶の安全運航管理、運河や港湾の交通整理、環境保全、違法漁業対策、等々、位置情報の利用用途は多岐にわたります。
そんな中、一部の悪意を持つ者によって、Spoofingの悪用で上記の様々なルールを破る事例が多く存在しています。

また、経済安全保障においても一つの重要テーマとみなされています。
特にUAV(無人航空機)による国境防衛、国境監視は日本にとっても非常に重要で、また世界的にも多くの国々で技術開発が進められています。
実際に専門機関による調査報告や被害例も多く確認されます。(参考:C4ADS調査報告書)
有事を回避するためにも、Spoofingにおける対策技術の開発は必須です。

終わりに

今回は、位置情報の改竄=Spoofingについてお話しました。今回は極めて導入的なお話ですが、もし更にご興味ある方は、是非こちらに、お気軽にお問合せ下さい。