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LocationMind CEOの桐谷です。初めまして!

皆様、はじめまして。

LocationMindの社長の桐谷直毅と申します。私たちは、いわゆる東京大学発ベンチャーで、柴崎亮介研究室が丸ごとベンチャーになったようなそんな会社です。

私を含め、私たちの会社はあまり自分たちのことを発信することが得意ではありません。いい仕事をしていればいつかきっと伝わると願っていますが、発信が少ないと、『秘密結社のような会社なのではないか』とか、『話しかけづらそう』とか言われたりします。そんなつもりは全然なくて、こんなにフレンドリーな会社なのに、いろんな新しいアイディアを考えることが好きなのに。。。やはり言葉にすることが大事なんですね。ということで、我々の会社の何が面白いだろうと想像しながら定期的に書いてみます。面白そうなテーマを頂けたらそれにもお答えしてみたいと思います。

LocationMindがどんなベンチャーか

LocationMindは柴崎先生の研究室から始まっています。東京大学の研究室ですから、確かに技術的にはいろんな難しいことをやっています。我々はこれを人流AIと宇宙のセキュリティとしてビジネスにています。AI、宇宙、セキュリティ・・・すでにちょっとカタそう。私がこの会社の創業社長になるときめた後も、使う言葉がいちいち難しいなぁと感じたし、色んなデータを見せられて『凄くないですか』と言われても『あの、どこらへんを注目したらいいんでしょうか』と慣れが必要でした。今回はなるべくわかりやすく、LocationMindがどんな会社かをご紹介します。今日はどんな仕事をしているのかを書いてみますね。

LocationMindの仕事

1. 人流AI

みなさんは「人流」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。新型コロナで人流が増えたとか減ったとか毎日のように報道されていましたが、あれをやっている会社です!と言ったらお会いした大体の方がわかってくれます。創業直後に新型コロナが流行して大変でしたが、人流の認知度はかなりあがりました。もちろん、新型コロナというのも人流の用途の一つですが、人流は色んなところで使われています。人流データのイメージを幾つかお見せしながら紹介してみます。

図1:Origin Destinationデータの例。オレンジのアーチが太いほど人数が多い
© kepler.gl | © Mapbox | © OpenStreetMap

1-1. Origin Destination

1枚目は人流のうちOD(Origin Destination)と呼ばれるものです。どこからどこへ人がいったのかを分析しています。東京の事例ですね。毎日、日本中の色んなところから東京に人が訪れます。関東から来る人が多いですが、北海道や沖縄からも東京に人が来ます。データは全国規模で整備されていて、もちろんもっと細かくみることで、例えば東京都の千代田区から世田谷区だけ分析することなんかも可能です。観光とかマーケティングとか交通とか都市計画とか色んな文脈でODは大事になってきます。もっと観光客が来てほしいとか、CMや看板広告を出したら人の流れが変わったのかとか、渋滞があるとかないとか、再開発で街が便利になったとか、色んな分析をしたいお客様がいらっしゃいます。私たちが提供するデータは一緒なんですが、色んな方が色んな用途で買われます。

図2: 滞在人口。都バスのオープンデータを活用して作ってみました
© MIERUNE © MapTiler © OpenStreetMap

1-2.滞在人口

2枚目は滞在人口というものです。特に有名なものは、昼にどのくらい人口がいるかという「昼間滞在人口」と、夜皆さんが眠る場所として「夜間滞在人口」という2つの指標です。こういう単語がとっつきづらいことも私は嫌だなと思っているのですが、要するに昼の人口と夜の人口です。教科書で習った気がするなという方もいるかも知れませんが、一般的に昼はお仕事に出かけることが多くて、夜は家に帰ってプライベートを過ごすことが多いので、街によっては昼と夜の人口が劇的に違います。昼の人口をターゲットにしたビジネスも多ければ、夜の人口をターゲットにしたビジネスも多いと思います。今日どこでディナーを食べようかなとか、どこにスーパーを建てようかなとか、混んでいるところは避けたいなとか。国や自治体にとっては税収や都市の魅力に直結する話ですね。ちなみに、一番有名な夜間滞在人口のデータは国勢調査で、5年に一度全国民に対して膨大なアンケートを取って国が整備してくれている、とても信用できるデータです。日本だけでなく、世界中で国勢調査は行われていて、これを使ってマーケティングを行うことが多かったのですが、国によっては最近人流データが手に入るようになって、5年待たずとも最近の人口がわかるようになってきました。5年あればコロナ前とWithコロナくらい違いまして、地域によっては数十パーセント以上、昼間人口が変わっていたりしますから国勢調査よりもはやく人口を知りたいニーズは深いもので、新型コロナもその事例の一つでしたね。

私たちの会社でもリモートワークをするようになり、私は電車に乗らなくなり、遠出することがほとんどなくなりました。さすがにリアルビジネスでこんなに人口が変わっていると世界がまるで違います。元々日本のGDPは数パーセントあるかないかのところで、数十%もの成長機会(或いは事業への打撃)というのはそうそうありません。皆様は自分の地域の人口をキャッチアップできていますか?ちゃんとデータに基づいて意思決定できていますか?

人流の最も基本的なものを2枚紹介しましたがいかがでしょうか。LocationMindの皆さんが人流で他にもコラムを書いてくれると思うのでそれもぜひご覧いただければと思います。実際にはこのように「データを買いたい」というお客様がとても多いです。

LocationMindではデータだけでなく、さらに分析してほしいというお仕事もお受けしています。お客様によって色んな要望があるなと毎回面白いのですが、人流を予測してほしいだとか、他のビッグデータと掛け合わせてほしいだとか、自社で持っているデータを評価してほしいだとか、そういった特殊なリクエストにお答えすることがとても得意なチームでして、なかなかこれを引き受ける会社も日本にないかなと思います。

2. 信号認証

LocationMindは宇宙テックベンチャーでもあります。皆さんが使っている位置情報はほとんどGPSから来ていますが、これを安全かどうか考えたことはありますか?『GPSデータから自分のプライベートが見えてしまうからちゃんと管理しなくちゃ』、という意味での安全ではありません。『そもそもGPSデータって正しいの?』という安全です。位置不正の技術があり、自分の位置をごまかしたり、他人の位置を動かしたりすることが出来ます。

図3:我々の位置情報はほとんど測位衛星の支援で測位しています

※わかりやすさのためにGPSと書いておきますが、本来はGNSSと言った方が正確で、GPSもアメリカによるGNSSの1つという表現になります。GNSSは"Global Navigation Satellite System"の略称ですね

2-1. GNSSはとても大切な技術

GPSを使うハードウェアは年間25億個販売されていて、スマートフォンにも自動車にも船にもドローンにもついていますよね。毎年これだけ増えるので、世界中にはどのくらいのハードウェアがあるか正確にはわかりません。こう説明するとGPSって結構凄くないかと言われたりしますが、宇宙最大の発明と言われている技術ですし、世界のほとんどの人が使う、数十兆円というなかなかない規模の巨大市場なわけです。宇宙産業の最大市場といっても過言ではないのではないでしょうか。これを無償で世界中で使えるので凄い世界ですよね。

図4:GNSSは我々の便利な暮らしを支える超巨大市場

私みたいな方向音痴はGoogle Mapsがないとどこにも行けない。ランチの時間を見越してUber Eatsにお願いしておいしいランチを頂きます(肉が好きです)。Taxi Goのおかげでギリギリまで会社で仕事をしてお客様の先に営業できます。GPS漬けの日々です。皆さんもきっと、自分の位置情報を毎日何通りものアプリやハードで知ることで生活しています。

まとめると
①GPSが便利で、でもちょっと危ないかも知れない。
②位置不正を放置していると人流分析でご紹介したような事例も実はあまり正しくないかもしれない。
じゃぁLocationMindはどう向き合うのというご質問ですが、そこで「信号認証」という宇宙セキュリティ事業の出番です。

2-2. 信号認証:位置のセキュリティ

LocationMindでは準天頂衛星という国の大型の人工衛星に東大で開発した特許技術を提供しています。これによって人工衛星から新しい信号を放送されることになり、これを使うと皆さんが利用するGPS信号が正しいものかどうかが第三者の目で確認することができるようになります。位置について嘘をつかれたり、だれかに位置を干渉されそうになっても対応できるのですね。逆に言えば、今の世界ではそれが出来ていないとも言えます。

次の世代のハードウェアでは、安全安心にGNSSを使えるように東京大学が10年以上研究開発してやっと2023年の秋に提供できるようになった技術がこの信号認証です。位置情報が正しくないかもしれない、というのはあまり人が考えたことがないので、実は営業が大変なのですが、起業家としてはとても面白いチャレンジだと思っています。

図5:測位のセキュリティを世界に先駆けて日本が提供できるようになります

最後に

いかがだったでしょうか。LocationMindがどんなことを事業にしようとしているかを書いてみました。これから皆さんがLocationMindにもっと興味をもっていただけるように発信していきます。フォロー頂いたり、ウェブサイトも見て頂けると励みになります。色んな方とお仕事したいと思っています。どうぞ、宜しくお願いいたします!

https://locationmind.com/