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ano / ちゅ、多様性。 (2022)

流行っている曲は嫌いだ。

愛だの恋だのをテーマにして恋愛の曲しか無くて、何の面白みも捻りも拘りも無いと思っているからだ。

と言いつつも、今日ご紹介するのは最近めちゃくちゃ流行っている『あのちゃん』の「ちゅ、多様性」

何故嫌いな流行っている曲を紹介するのか。
それは単純にカッコ良いと思ったからである。
何を訳の分からない事を言っているんだと、めちゃくちゃ矛盾しとるやないか!と思われた方もいらっしゃると思います。
まあまあ落ち着いて下さいよ!

ある時、いつもの様にSpotifyを聴いていたらこの曲が流れて来た。最初は知らずに「!!!???!!めちゃくちゃカッコ良い!!!誰これ?!」と思った。後ろの楽器隊の人達がやたらカッコ良い。歌詞も意味不明な日本語で、でも何かリズムが良くて歌いたくなる。気になって画面を見たら『あのちゃん』だった。あーあのちゃんか〜

と同時に、何か既視感ならぬ既"聴"感があると思った。どこかで何か聴いた事がある気がする。。。あっ!!!!!!!

相対性理論に似ている!!!!

これが分かった瞬間、喉に突っかかっていたのが取れた様なスッキリとした気持ちになった。と同時に、「いやいや、似てる曲は山程あるし、たまたまでしょ。今回のも似てるだけでしょ。」そう思った。

・相対性理論との親和性

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、『相対性理論』とは、ボーカル「やくしまるえつこ」等がいるバンド。意味不明な日本語の歌詞、でも楽器隊が変態的。ポップなんですがそれだけには収まらない中毒性のあるバンドで大好きなバンド。その『相対性理論』にたまたま似ているだけと思っていた。

しかし、あまりにも気になり過ぎて調べたら何とその相対性理論の元メンバーが2人も関わっている!!しかも初期の相対性理論には欠かせない存在のベース「真部脩一」とドラム「西浦謙助」の2人が絡んでいたのだ。相対性理論を相対性理論たらしめるのがこの2人。

・ベース「真部脩一」とドラム「西浦謙助」の凄さ

もちろん、ボーカルの「やくしまるえつこ」も「永井聖一」もありきなのだが、所謂、「相対性理論っぽさ」はこの2人無しでは出せないのだ。

実際に相対性理論の超名盤「シフォン主義」(2008)、「ハイファイ新書」(2009)は全曲、真部脩一さんの作詞作曲だし、「シンクロニシティーン」(2010)も半分くらいは真部さん。
その後、真部さん西浦さんの2人が脱退してからの「TOWN AGE」(2013)はやっぱり初期の「相対性理論っぽさ」は無くなってしまった。

その後、真部さんと西浦さんは『集団行動』と言うバンドを始めるのだが、そのバンドももろ相対性理論。めちゃくちゃ相対性理論。このバンドもめちゃくちゃ聴いたし大好きですね。

そもそも、相対性理論を初める前に『進行方向別通行区分』と言うバンドをやっていてその頃からずっと真部さんと西浦さんは一緒。今改めて聴いてもめちゃくちゃカッコ良いし、相対性理論よりもかなり攻めてます。やりたい放題。相対性理論をもっと小難しくした感じ。
でも、相対性理論に通ずる部分もある。

"ポップマエストロ"の真部さん、西浦さん無くしては相対性理論を絶対に語れないのだ。

・「ちゅ、多様性。」の類似曲


ここで話を「ちゅ、多様性。」に戻すのだが、この曲の作詞作曲が真部さん、演奏もベースが真部さん、ドラムが西浦さんと言うもうそれはほぼ相対性理論やんと言うメンツなのである。
だから、最初に相対性理論に似ている!と思ったのは間違いでも何でも無く、そのまんま、相対性理論のメンバーがやっていたから相対性理論に聴こえたと言うあまりにも当たり前の事だった。と言うか、相対性理論の「LOVEずっきゅん」そのままやん!

・LOVEずっきゅん

「ちゅ、多様性。」を最初に聴いて相対性理論に似ている!!と思ってどれに似ているかと考えたらこの「LOVEずっきゅん」だった。
最初のイントロ、Aメロのギターリフ、ドラム、サビ、サビで特徴的なワードを繰り返す、曲の展開、意味の分からない日本語の歌詞、。全てが同じ。14年の時を経てセルフオマージュすると言う何ともお洒落な事をポップマエストロの真部さんがやってのけた。

と言うか、平成のあの当時はここまでめちゃくちゃ流行ったわけでもない曲がこの令和に違う形で流行っていると言うのが凄い。より多くの人に真部さんの曲が受け入れられている事自体が凄い。

ここまで読んで下さった方はもう一度、最初の「ちゅ、多様性。」を聴いて下さい。

めちゃくちゃ似てませんか?

・流行っている曲はダサい?

最初に流行っている曲が嫌いと言ったが正確には嫌い"だった"。と言うのも、そもそも多くの人達に受け入れられる物を創るのってめちゃくちゃ難しい。尖れば尖るだけ、よりコアにやろうとするのは簡単だと思う。そのニッチな所だけを狙えば良い。

しかし、趣味も性別も年齢も好みも違う多くの人達が"良い"と思う物を創るのって相当難しいと思う。それが出来るのは凄い。こうやったら良いと感じる音楽的理論とかもあるとは思うけど。

まあでも若かりし頃は、相対性理論も「どうせ流行った曲だからダサいに決まっている」とか「こんなのはロックじゃない」とか思っていましたね。表面的な部分しか見てなかった。今考えると恥ずかしい。。。なので、聴きはしなくても否定するのは辞めました。それも、色んな音楽を聴いてきてやっと分かりました。

流行っている曲が全部が全部良いとは言いませんが、良い曲もあると言う事です。

「あーチェンソーマンで流行ったあの曲ね」と聴かずに切り捨ててしまえば、今回のこう言う新たな発見も無かったわけで。だからこそ音楽って面白いし終わりが無い。
ただただ流行っている"だけ"の曲では絶対に無いのです。

映画でも洋服でも何でもそうですが、ディグるのが楽しい!とか、誰が何と言おうが好きな物は好き!と言える風潮になれば良いな〜

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