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きのこ帝国 / クロノスタシス (2014)

クロノスタシスって知ってる?

「時計の針が止まって見える現象」

の事だそう。自分もこのバンドを知るまで、この曲を聴くまでは知らなかったし、言葉自体知らなかった。

このきのこ帝国と言うバンドもYouTubeを観漁っていた時にたまたまみつけた。その当時はシューゲイザーにハマっていてシューゲイザーのバンドを聴きまくった。

・シューゲイザーとは?

シューゲイザーとはロックのジャンルの一つでフィードバックノイズやエフェクターなどを複雑に用いて深いディストーションをかけたギター、ミニマルなリフの繰り返し、ポップで甘いメロディを際立たせた浮遊感のあるサウンド、囁くように歌い上げるボーカルなどが、一般的特徴として挙げられる。
【Shoe=靴+Gazer=見る人】と言う意味そのままに、下を向きながら轟音ギターを掻き鳴らす。(wikipediaより抜粋)

何のこっちゃ分からないが、要はギターがグワーンとなってポワポワ〜としたボーカルでトゥルル〜ンとしたギターが繰り返されるのが特徴の音楽。ん?余計に分かりづらいか。

『RIDE』、『slowdive』とか『My Bloody Valentine』、『The Jesus and Mary Chain』とか90年代のイギリスのロックにハマっていた時に日本のバンドでこう言う感じのバンドいないのかな?と探していたらみつけた。

・クロノスタシスと言う名作

今日のこのクロノスタシスを聴いた時に
まず初っ端から心を持って行かれた。

コンビニエンスストアで
"スリーファイブオーエムエル"の
缶ビール買って
君と夜の散歩

ここでミソなのは"スリーファイブオーエムエル"と言う表現の仕方。最初聴いた時は何の事か分からなかったが、その後の歌詞からよく考えてみたら「350mlのビール缶」の事だった。

すげぇー!!!とその時1人で唸った。かどうかは忘れたが、斜に構えた表現方法が好きで一気にハマった。

これは調べたら10月くらいに出たアルバムなので、季節は冬。PVも冬。でも何故か"夏"をめちゃくちゃ想像する。夏にカップルが(同棲してるのかな?)、「ちょっとアイス食べたいからコンビニ行こう!」みたいなテンション。適当なTシャツに短パンにビーサンみたいな服装。(ユニクロとかだとなお良し)、歩くと微妙に遠いけどテンションが上がって徒歩で行っている。他愛も無い会話をしながら言う「ねぇ、クロノスタシスって知ってる?」

こう言う細かな設定と言うか妄想が自分の中で勝手にある。(共感して頂ける方はいるのだろうか、、、)PVを観たら全然違うのだがこう言うイメージ。エモいとか言う陳腐な言葉で片付けたくは無いがつまりはそう言う感覚。このボーカルの佐藤千亜紀のワードセンスが絶妙できのこ帝国の中でも1位2位を争う好きな楽曲。

・アルバム「フェイクワールドワンダーランド」

それから直ぐにこれが収録されているアルバム「フェイクワールドワンダーランド」(2014)を買いに行った。
これがまあまた超名作中の名作。全曲ハズレ無しで一貫してシューゲイザーっている。このアルバムはめちゃくちゃ聴いた。死ぬほど聴いた。全曲暗記して歌えるくらいに聴いた。

M1「東京」もどこか郷愁を感じる。別に東京に住んでもないのに田舎を懐かしく感じる。自分が今住んでるのは田舎なのにだ。色々日々大変な事はあるけど、それでも大都会東京で頑張って行くんだ!と言う風に思えて来る不思議。
銀杏BOYSの「東京」にしろ、くるりの「東京」にしろ何故か「東京」と言う曲には名作が多いのも不思議。
あと、臼田あさ美が可愛い。

M3「ヴァージンスーサイド」も映画から絶対拝借しているし、M4「You outside my window」も初っ端から敢えて文章にせず、単語の羅列にしていて怒りみたいな物を感じるし、M6「あるゆえ」もアルバム中1番シューゲイザーで最初の"静"から後半の"動"で何度聴いてもゾクゾクするし、5分超の長尺なのもカッコ良い。後半部分だけ永遠と聴いていたい。

M8「フェイクワールドワンダーランド」もここまでのテンションと打って変わってチープなのが良い箸休めになっている。M5、M7にskitを挟む辺りも良い塩梅。

M9「ラストデイ」も
"みかんをむく僕の手が
黄色いと君が笑った
みかんを食べる君の手も
黄色いと僕は笑った
くだらないテレビ見ながら
今年もこうして終わってゆくんだね"

も年末と言う事を"みかん"で表現しているのが乙。大好きな宇多田ヒカルもそうですが、こう言う間接的な言い回しで表現するのが風情があって好き。
"年末を迎えて今年が終わっていく"と言う表現で良いじゃないですか。でも、そこに1つストーリーを加えて間接的に表現する所にグッと来る。乙だな〜

M10「疾走」で駆け抜けて終わるのかと思いきやまだ助走。ここでも【季節が3つ過ぎただけで】とか【口癖だけ置いていったコインパーキング】とかこう言う表現が良い。

そして、ラストの「Telepathy/Overdrive」で本当に疾走してラストを締め括る。そして、また「東京」に戻ってもう一回聴こう!となる。この無限ループをもう何度も何度もやって来た。彼らの音楽がそうさせるのだ。

・その他の作品


それからどハマりして全ての作品を聴いたのだが、どれもこれも甲乙つけ難い。全部良い。

「渦になる」(2012)
どっしりと重めのシューゲイザーから「Girl meets NUMBER GIRL」と言うくらいにナンバガに影響を受けた様な曲までカッコ良い。

「ロンググッドバイ」(2013)
映画、小説から拝借したのかな。
マッドチェスターな雰囲気もあって好き。
「海と花束」はPVも込みで好き。

「eureka」(2013)
1番狂気じみていて佐藤千亜紀の【陰】の部分がジャケットからも溢れ出ているし、歌詞にも出て来るのが最高なアルバム。宮沢賢治から拝借したであろう「春と修羅」とか好き過ぎる。イカれてて、暴力性があって怒りに満ち溢れていて熱量が尋常じゃなく伝わって来る。新たな一面も見れてもっとキノコ帝国と言うバンドが好きになりました。

「猫とアレルギー」(2015)
正に前述した自分の妄想が歌になった「夏の夜の街」とかも死ぬ程聴いた。大好きな曲。「CAN」とか「The Smith」とか好きなバンドが出て来るのもくすぐる。メジャー1発目。

「愛のゆくえ」(2016)
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」の主題歌にもなった表題曲「愛のゆくえ」も良い。シューゲイザーみが無くなって来たかな?と思い始めた。後のソロに通ずる様な「LAST DANCE」もこれはこれで良い進化だった。

「タイム・ラプス」(2018)
この「タイトロープ」くらいがかなり重めのシューゲイザー。初期の頃のきのこ帝国らしさが帰って来た!と思い喜んだのも束の間。
この作品を以て解散してしまいます。
残念。非常に残念。他にも解散してしまって残念なバンドが沢山います。

・解散後に新たに出会ったバンド

結局、生でライブを観る事が出来ないまま惜しくも解散してしまった。またもし再結成される事があればと切に願う。きのこ帝国好きなあの子とよくどの曲が好きとか話したな〜
そんな「きのこ帝国ロス」に陥っていた時にSpotifyで出会ったのが

『羊文学』

3人組なのだが、これがまあ「きのこ帝国」好きには絶対ハマるだろうと言うサウンド。スリーピースって言う編成も良い。きのこ帝国の時みたいに後悔しないよう行ける時はライブに行っている。今となってはこの「羊文学」みたいなバンドがいるが、当時はあまりしっくり来るバンドが居なかった。

ご存知の方も多いとは思いますが自分と同じ「きのこ帝国ロス」になっていた方々は、是非聴いて欲しい。そしてライブを観て欲しい。
彼らが解散した時くらいに出て来たのも何か縁があるのかもしれない。

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