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MONO NO AWARE / 井戸育ち (2017)


今日インスタにアップした音楽は、東京の八丈島出身の4人組『MONO NO AWARE』
フジロックにも何度も出演しています。

日本のバンドがカッコ良い!!!となって掘り始めその頃にYouTubeの関連動画でこの曲を見つけた。確かその時はこれと「me to me」くらいしか上がってなくて1発でハマって夢中で聴いた。それから直ぐにタワレコにCDも買いに行った。

その当時はまだサブスクが浸透し始め?で(まだまだ今ほど浸透してなかった)YouTubeでディグるしかなかった。(Spotifyが2016年から日本でサービス開始)
毎日、毎日パソコンの前に座りひたすらに関連動画を聴くと言うのが楽しくて楽しくて仕方が無かった。全くの無知から、0からディグるので毎日新しいバンド、アーティストが見つかりとても刺激的でアドレナリンが出まくりだった。

この『MONO NO AWARE』のどこにハマったのか。それは「日本語の面白さ」にある。

例えば、今回のこの曲で言うとのっけから
"凱旋門の下でも鬼ごっこは可らしい"


と言う歌詞を見ると意味は分かるけどあまり聞き馴染みの無い日本語。曲として聴いても歌い方も相まってか違和感と言うか日本語っぽく聴こえなかったりする。その違和感でこの一文を聴いて強烈に惹きつけられた。


そして、その後のサビが


東京
育ちのあの子は 公共施設を飛び出し
放蕩の旅を始めて とうとう数年経った
いた絵葉書には 高揚をさそう景色が
もうどうしようもなくなって 泥水を飲んだ

と言った具合で怒涛の勢いで韻を踏んでくる。
このリズム感と語感の気持ち良さ、口に出したくなる感じがめちゃくちゃカッコ良い。このサビで完全に持って行かれた。
どこか文学的なこの4行にストーリーが含まれている様な。小説を読んでいる様な風景が浮かんで来るような不思議な感覚に陥った。

東京育ちの子が海外に旅立って凄く楽しそうにしていて。ぷらぷら飲み歩いて楽しそうにしていて。でも日本にいる自分は何者にもなれず、海外に行く勇気さえもなく何をやっているんだと。泥水をすするような状況でも、それでもバンドしか無くて音楽しか無くて信じてやり続けるしかない。

悔しさや羨望、反骨精神、情熱みたいな物がビシビシと伝わってくる。と言うか自分はそう言う風に解釈した。それくらいの熱量を感じ取った。

それから大好きになってCDも買って何度も何度も繰り返し聴いた。ライブも観に行って生で聴いてまたゾクゾクした。

この曲が収録されているアルバム「人生、山おり谷おり」(2017)も全曲素晴らしいアルバム。
M2 「マンマミーヤ!」も歌詞に任天堂のあのゲームのキャラクターが出て来たり、日本の企業名が出て来たり、M5 「me to me」も「目と目」とも読めるし「ミートゥーミー」とも読めるしどちらの意味もあるし言葉遊びが面白いし、それでいてポップなのが良い。大好きな作品。

それから新譜が出る度にチェックしている。
次作「AHA」(2018)でも「轟々雷音」でも、日本語を全部適当な漢字に当てはめてお経みたいな曲を作っていたりと更に変態性が増している。そして、Aメロの最初から「井戸育ち」の

"凱旋門の下でも鬼ごっこは可らしい"

と言う先程の歌詞を漢字で

"凱旋門下鬼遊可"

とセルフオマージュすると言うめちゃくちゃお洒落な事をやっている。。。
それでまたヤラれましたね。

その後のアルバム「かけがえのないもの」(2019)の「かむかもしかもにどもかも!」ではギターの超絶速弾きならぬ、超絶早口言葉をやったりと常に人と違う事をやり、常に進化し続けている所も好き。PVもタモリ倶楽部の空耳アワーのサンプリングって言う所も含めて洒落てるな〜

ボーカルの玉置周啓とギターの加藤成順のアコースティックユニット『MIZ』もMONO NO AWAREとはまた違った趣きでめちゃくちゃカッコ良いのでそちらも合わせて是非。

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