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高瀬みゆき動く・ #アクトレスガールズ にプロがいない件

8月の様々な団体の話題の中で、実は一番目に入っていたのがアクトレスガールズの高瀬みゆきだ。SEAdLINNNGでのMAX VOLTAGE加入に始まり、ガンプロ参戦、WAVEでのタッグ選手権試合、そして所属であるアクトレスガールズでのベルト流出、メイン後の騒動と、話題に尽きない一ヶ月だった。

ウザいくらいの熱さ、気合い、表情など他団体のファンからも少しずつ認知を上げている高瀬は、まさに様々なキャリアの先輩とやる中でプロレスの幅を広げているところというイメージがある。

このプロレスの幅を広げているところ、という部分に問題がある。結局、アクトレスガールズにプロがいないのだ。

 

【露呈する問題】

もし、アクトレスガールズにブックを書いてる人間がいるんだったら、センスがないからまずそいつを辞めさせるべきだ。このご時世に意味の分からないカード編成、意味の分からないエンディングで興行後の感想にカヲスとか客もポカンとしてた、という言葉が並ぶのは、エンターテイメントとしての質の低さに他ならない

アクトレスガールズというものは、プロレスだけじゃなく役者もやっている子がいるのであれば、まずストーリーの質を担保するべきではないか。

誰が主役なのか、三ヶ月なり半年のスパンの中で誰のストーリーなのか、そして、それは何を見たら分かるようになっているのか整理出来ているだろうか。

・8.30メインに至るまでの経緯

例えば、前回、才木がAWGのベルトを穫った時に即座に挑戦者に名乗り出る人間がいなかった、ということに堀田から問題提起がなされていた。これにTwitter上で各選手なりの反応を示していたが、その日、高瀬から直接タップを奪っている本間多恵は「強い者が勝つ。私は勝った者が強い。そう信じてる」と返している。

8.30のカード、前王者安納は第2試合で後輩と、高瀬は第3試合でタッグ、本間はセミで関口翔と、メインは王者の才木がJWP王者中森と組み、掘田、有田というカードが発表された時に高瀬から堀田に対し自分で行くのかという疑問が投げられた。

少なくとも百戦錬磨の堀田が王者組を相手にすれば、試合の質が保たれるのは分かる。その上で、結果有田が才木から直接ピンフォールを奪ったのも、ブックなのだとすれば分かる。だが、そうなのだとすれば、その後の展開がお粗末過ぎるとしか言いようが無い。

・整理されていない情報は質が低い

1.才木から直接取った有田が王座挑戦を表明したら、本間が割って入り、前回メイン後の締めに立ってないから自分が先だと主張

本間の言い分を意訳するなら、堀田が言うところの”挑戦者に名乗り出なかった”人間だという話になる。本間は自分は王座を巻いたことのない人間だから、カタチだけの意思表示はしない、とも語っており、前回メインの締めにいた自分なりに奪還に思いがあったと推測できる。

事実、本間はこの日、関口翔から勝利しており、彼女自身の考えを辿ると"挑戦者に名乗り出てくること"の辻褄は合っている。しかし、"有田にその資格が無いこと"は、その場にいたお客さんには納得をしてもらえていないようだ。

少なくとも有田は王者から直接、フォールを奪っていて、観客もここで挑戦を表明するのには納得している。本間はこれを覆す必要があったが、お客さんに伝わっていない=うまく説明が出来ていない、ということは、お芝居で考えたら出来の悪い本ということになる。役者をやっていて、客に伝わらない芝居をすることがどれほどのことか理解出来ているだろうか。金の無駄である。

2.堀田がSAKIに対し、アクトレスのトップは誰だと謎展開

堀田が突然意味分からないこと言い出すのは、見慣れてるといえば見慣れてるのだけど、この10年くらいそれをして成功していることが無いことにそろそろ気付いてほしい。奈七永にも引き継がれてるが、全女出身者の悪い癖というか、混沌としたものが感情を呼ぶという短絡的な思考は既にプロレスファンには読まれていて、主張の筋が通らないからプロレスの質が上がっていない事実を理解すべき。

プロレスの指導そのものは非常に丁寧にしていることがYoutubeなどでも伺い知れる。だが、王座流出以前の公開説教も含めて、言葉のプロレスがとかく下手だと思うのだ。謎掛けのような言葉の意味を誰も理解できない(甲子園ってなんだったんですかね)誰かいかないのかと言っててメインでカードが組まれる。その上でこの発言である。

アクトレスガールズの中でSAKIはキャリアが長く、デビューはLLPW-Xまで遡る。しかし、ここしばらくメインのストーリーラインに絡むことが無かった人間を名指ししたのだ。

ごちゃごちゃしたところで自分もと言うのは必要だが、ブックあって有田勝たせたんだったら、ここでSAKIの名前が出てくるのには違和感しかない。ましてやアクトレスのトップと言うのであれば、ここしばらくの戦績としても違和感がある。前王者の安納の名前が何故上がらないのか。

3.有田が王座挑戦を本間に譲り、高瀬と共に堀田、中森との対戦表明

堀田はいざ知らず、JWPの王者を狙うのはアリだ。しかし、王者から直接フォール奪ってる有田が挑戦しないで譲られた本間が行くのは、観客の納得を得れていると言えるのだろうか。そもそも王座への挑戦権を譲られて挑戦出来るというのは喜ぶべきことなのだろうか。何に勝って、それを手にしたというのだろうか。あまりにも王座が軽んじられてはいないだろうか。

堀田の横暴に異を唱えた高瀬に乗る形で有田は二人との対戦にシフトしたわけだが、高瀬は「堀田裕美子という団体の核と戦う」とツイートしている。アクトレスガールズの核は堀田だろうか。その位置関係からして、観客の見ているものとズレている。アクトレスガールズの核はそこに集まった若い才能のある選手達だ。キャリアのある相手を上に上げて、立ち向かっていく構図は分かりやすいが、それをただ続けてる団体はどこもかしこも潰れたことを知るべきだ。

キャリアの差を埋めるのは容易なことではない、観客が見て納得出来るような世代交代というのは非常に難しい。その結果、生き長らえた人間が相手であり、フィジカルの面、戦略の面でいかに勝っても死なない。なにせ殺し合いのような試合を重ねて来たわけだから。これに対して、それでも負けない、というような言葉を返すのは禅問答であり発展性のない事だ。

 

このように問題は積み重なるようにして、無駄に複雑な構造となった。

 

【あるべき解決策】

ここで提示するのは、考えうるパターンでしかないが、観客が見た時に混乱する事無く次回の対戦に期待出来ると思う。

・本間、有田の挑戦者決定戦を行う

本間は有田に挑戦権がないことを証明しきれなかったのだから、有田の持つ挑戦権に対して、自分と試合をしてどっちが強いのかを証明するべきだった。ここで勝った方が挑戦するのであれば、観客は満を持してアクトレスガールズの代表として団結して応援出来たのではないか。

・高瀬は堀田とのシングル、または、安納かSAKIとタッグを組んで堀田と試合

堀田に噛み付いた以上、高瀬は堀田とやるべきだ。有田とのタッグはWAVEなどでも組んでいるから必然性はあるが、シングルでもいいし、名前を出されたSAKIに呼びかけてタッグ結成は違和感がない。さらに裏切って、前王者であり、互いに意識しあう関係である安納と組むとなれば、アクトレスガールズ内の勢力図そのものに影響する。自身も様々な団体に上がる安納が中森と接触したとなれば、非常に刺激的な一戦となった。

 

それぞれの主張は整理をした上で、ストーリーを膨らませるための点を作っている。もし、あの時点で才木の怪我の状況が分からなかったとしても、最悪、本間と有田の一戦を王座戦にすることも出来る。

あのメインの後の混沌としたやり取りを見る限り、どうやって継続的に団体を盛り上げるのか、王座戦の価値を上げていくのか、誰を売るのかが定まっていないようにしか見えない。

ましてや、選手もスタッフもブッカーも、自分達のやっていることが、その他の演劇や映画、テレビ、音楽、ダンス、Youtube、Netflix………ストーリーのあるエンターテイメントと比較した時にどの位置にあるのかを自覚出来ていない。

予算のあるなしではなく、カードの組み方と選手がリング上で見せる振る舞い、今すぐに出来る話を提示しているわけで、プロなら自分がやっているものの価値を考えてほしい。

「プロレスを舐めている」という発言は、一体誰に向けて放たれた言葉だろうか。そこに同意する部分はあれど、プロならいつまでも乱闘や答えのない謎掛けに頼らずに、客の満足度が高いものを提供してはどうかと思うのだ。

 

曖昧模糊として、語れるプロレスの良さというのは、もっと質が上がってからの話であって、意味の分からないものにはお金が払われないし、価値がない。せっかくビジュアルも良くて、他団体に出て注目が集まってきている状況で、見に来た所属団体で話の繋がりもよく分からないものを見せられた時に、その人はもう1度来るかよく考えた方がいい。

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