ビジネスモデル方程式を活用しよう。
はじめに
前回記事に続き、第3回目。
(前回記事)
vol1 ビジネスモデルを数値化のススメ。
vol2 ビジネスモデル方程式を立てよう!
マイネット創業者の上原仁さんの提唱するビジネスモデル方程式の活用方法を模索していきましょう。
事業構造を解析してみる。
ビジネスモデル方程式の強みは、事業の収支構造を簡単に解析できることでしょう。SaaS、卸売業、web3サービス、あらゆるビジネスでも応用可能な汎用性がこの方程式の強みです。非常にシンプルな構成となっており、容易に事業毎の収支の構造を把握することができます。
ビジネスモデル方程式
売上 − コスト = 利益
自社の数値をまず各項目に入れ込んで行ってみると、現状の事業の状態が見えてくるでしょう。その後、各指標(CACや継続率、客単価など)を変化させてみると自社が何に取り組むと、事業収支がどのように変化するのか、直観的かつ構造的にみえるのではないでしょうか?
KPIを置いてみる。
事業構造を解析してみると、どの指標を動かすと、利益が変わるということが分かったのではないでしょうか?
新規客数
継続率
客単価
変動原価
CAC
固定費
さて、ここでKPIの設定を行うにはどうするか?を考えて行きます。KPIを売上や客数といったところに置くことは勿論可能ですが、いきなり売上のみにKPIを設定することはお勧めしません。なぜなら、それができるのはビジネスモデル方程式が完成しきっており、あとは追加投資を行い指数関数的に事業を伸ばせるタイミングだからです。常にどこかしらの指標にエラーがないか?チェックし、その指数を動かすことのできるKPIを設定するのが良いです。
少し整理をすると、上位指数にあたる売上や客数にKPIを設定できないときは、指数をブレイクダウンし、下位の指数に焦点を当てKPIを設定するということです。第一回の記事の中で、「所謂、KPIを設定することで生まれる誤謬。」としてご紹介したあいつです。振り返ってみましょう。
よくあるパターンをご紹介
事例1
新規客数をブレイクダウンすると・・・
新規客数 = 商談数 × 契約率
= リード数 × 商談化率 × 契約率
= リスト数 × リード化率 × 商談化率 × 契約率
= ・・・
対応例)
リード数が十分でも商談化数が少ない場合 → 商談化率にKPIを設置
商談数はやっているのに契約が増えない場合 → 契約率にKPIを設置し、商談方法を工夫するなど。
事例2
平均客単価 = 売上 ÷ 客数
= ((3万プラン × 契約数)
+ (1万プラン × 契約数)) ÷ 客数
対応例)
高単価が必要な場合、高単価客(上記の3万円プラン)の契約数をKPI設置
高単価が必要な場合、低単価の単価設定の見直しに等
”シナジー”を考えるフレームワークにする
事業をやっていると、つい、サイドビジネスに手を出したり、協業を考えてみたりなど、”シナジー”を見いだしがちになります。それって、本当に事業にとっていいの?と言うことを考える時、ビジネスモデル方程式を考えてみてください。
考えるポイントとしては、
① シナジー事業が、現在の”ビジネスモデル方程式”の式内に収まるのか、別の式を立てねばならないのか?ということ。
② ビジネスモデル方程式上のどの数字にインパクトのあるシナジーなのか?ということ。
この2点が主要な考えるポイントです。
①のケース
同じ会社内で、複数のビジネスモデル方程式をもつことの意味は、即ち、そのための【人・物・金のリソースを分散させる。】意思決定である、ということです。現在の事業モデルを成長させるために・・・などという声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?既存の方程式に集中投資をしたほうが成長を加速出来るケースは多いような気がします。目先の売上拡大のためにサイドビジネスを広げていくという決定をされるケースも多いように思いますが、ビジネスモデル方程式でフィルタリングすると、そのビジネスの投資効率が良いか否かは一目瞭然です。同一のビジネスモデル方程式上に載せられるシナジー事業であれば、非常に投資効率は良い、つまり、【シナジーがある】ということです。
②のケース
別会社との協業やM&Aを考える際に役に立つ考え方です。シナジー事業との協業関係が、ビジネスモデル方程式上のどの数字にインパクトのあるかを捉えることで、協業のメリットデメリットを明確にしやすいです。
アタックしたい顧客基盤をもつ会社と協業することで、CAC(顧客獲得単価)を下げることができるケースや、共通のお客様へセット売りをすることで平均客単価を上げてLTV最大化することができるのか。などが分かり易いでしょう。
まとめ
今回はビジネスモデル方程式の主な活用方法について解説してみましたが、まだまだ説明ができていない使い道が沢山あります。自身のビジネスモデル方程式を立てて分析してみると、ご自身の事業の特徴が見えてきて、集中すべきポイントが見極められるかもしれません。ぜひ一度、騙されたと思って、取り組んでみると成長へのブレイクスルーになるかもしれません。
3回に分けて、ビジネスモデル方程式について解説してきてみましたが、いかがでしたでしょうか?ビジネスモデル方程式シリーズは、一旦ここで終えようと思いますが、今後もリクエストに応じて取り扱って行こうと思いますので、よろしくお願いします。
自己紹介
1993年岐阜県生。アフリカ途上国からの帰国子女。立教大学経済科学部卒業後、大手商社に入社。投資業務、貿易業務、子会社のマネジメントを経験。現在、スタートアップ向けの経営アドバイザリに従事。シードラウンド以降企業の経営企画・KPIマネジメントを支援しています。お気軽にdm下さい!
株式会社Logic&Company
CEO 鈴木大雪
X(Twitter):@daisetsuuu
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