見出し画像

独立してフリーになる前にやっておいてよかった3つのこと

会社をやめて10年目です。10年一昔。よく生き延びてこれたなあと思いますが、ありがたいことに独立して、仕事がなくて困ったことはありません。単価の低い仕事ばっかりで困ったことはあります。4年目でようやく会社員時代の年収を越えて、去年までの9年間は増収増益で成長することができました。

なんとなく辞めて、なんとなくフリーになっても、ぼちぼち、やっていけた気もしますが、一方で事前に準備しておいたおかげで、貯金を減らすことなくやってこれました。独立する前にやっておいてよかったことを整理したいと思います。

◯わたしの仕事

その前に今やっているわたしの仕事を簡単に紹介します。会社員時代の6年目に士業の資格取得を目指し、5年後にようやく取得して、それから2年後に独立しました。

資格は中小企業診断士です。主な仕事は、商工会議所等の公的機関でセミナを開催したり、実際に中小企業に専門家として派遣され、企業の業績改善に向けてのお手伝いをする仕事です。

会社員時代はIT会社で働いていましたので、IT面での仕事が多いです。ネットショップやホームページの改善、システム導入による効率化です。もちろん、ITだけではなく、経営全般のコンサルティングを行うわけですが、やはり過去の経歴から仕事が来ますので、IT寄りです。

◯独立しようと思ったわけときっかけ

独立というか会社組織を離れようと思ったわけは、こちらの記事を読んでいただくのが良いかと思います。
『13年間勤めたNTTグループを辞めたはなし(有能ではないが、無能だとは思いたくない小物編)』
https://note.mu/london3/n/n02358f48ba7e

資格をとってはじめから独立しようと思っていたわけではなく、なかなか資格に合格できず、これ以上時間を書けて勉強するくらいなら、資格をベースとした仕事をしようと思ったのがきっかけになりました。

しかし、長年かけて合格したものの、独立するにはどうしたらいいのでしょうか? 妻無し子無し、一人暮らしの身軽な生活なので、すぐ収入がなくてもたいして困りませんが、さすがに無鉄砲に辞めてしまうのは気が引けました。

以下で紹介する3つのことをしながら準備をすすめてきましたが、わたしは決断力があまりありません・・・2年間副業生活が続きました・・・

最終的な独立のきっかけは、他人頼りです。ある日、先輩から電話をいただき、「4ヶ月後に1ヶ月の期間の研修の仕事があるんだけど、やらない?」といわれ、少し考えて引き受けることにしました。 

当然、それまでに会社を退職して独立の準備をすることになりました。 

時給4千円程度で1日7時間で20日でしたから、50−60万円の月収ですね。準備が大変すぎて、あとから思うと全然割の合わない仕事でしたが、非常によいきっかけと経験になりました。

独立前にやっていてよかった3つのこと

そんなわけで独立を果たしました。もちろん、初年度、二年目と簡単だったわけではありませんが、ぼちぼち順調に進めた気がします。振り返ってみて、独立する前にやっておいてよかったなと思うことを3つにまとめてみました。①勉強会・研究会活動と、②副業と、③ブログを含めた執筆活動です。

①勉強会・研究会活動 →人脈形成と事前訓練に有効
士業の資格をとると研究会というものがたくさんあります。知識が重要ですからみんなで集まって勉強したり、誰かの発表を聞いたりと、そんな感じです。士業の資格をとって最初はたくさん入りました。

しかし、研究会って入ってるだけだともったいないです。やるならどれも全力でやれる研究会活動をしたほうがいいでしょう。多く入る必要はないと思います。

わたしは、事務局の活動、例えば研究会の場所確保したり、告知したりなどですね。また、積極的に発表を行いました。

聞いて勉強するのって多少はインプット学習になるのですが、なにか退屈です。本を読んだほうが効率がいいくらいと思っています。聞いてるだけでなく一緒に活動してるなあ、と思える研究会活動の方が後々で役立ちました。

研究会は多くのところでは、メンバの誰かが発表をして、みんなで聞いたりワークしたりということが続きます。しかし、毎月研究会が開催されるとどこも発表するヒトやネタが切れてきます。ですから、発表したい!といえばたいていチャンスは回ってきます。わたしは独立前後の1年で、毎月のように研究会で発表を担当していました。

ITでのライフハックネタや、Facebook活用、スマホのアプリ紹介など・・・ITばっかりですね。やっぱり。

発表の資料を作ったりするのは大変ですし、もちろん参加者からお金ももらえません。しかし、発表の良い練習になりました。会社でもお客さま相手にプレゼンすることもありましたし、予備校講師として副業していたので、話すことはぼちぼちなれてきていた気もしますが、セミナのとても良い事前練習になりました。

例えば、Facebookが日本に入ってきた時に、Facebookを研究する会が1年限定で催されていたのですが、そこで研究した結果、Facebookセミナも開催することができました。最近では、Facebook単体でセミナすることはありませんが、ネット関連のセミナを実施する際にはFacebookネタが登場することも多いです。

研究会活動では、ネットワークのほか、セミナの実験の場として非常に役に立ちました。

そして、人脈という言葉は好きではありませんが、色んな人と知り合いになれて、実際に仕事の受注につながるネットワークの形成にも役立ちました。

②副業 →複数の稼ぐ手段の確保と話す経験づくりができた
②−1 最初は講義の企画

副業はしていて良かったです。会社員として13年働いたわけですが、大手の安定した会社です。会社の名前で仕事はとれても、独立して自分の名前で仕事が取れるとは思えませんでした。

そんなとき別の先輩から、講師が不足しているので、やらないか?と誘われて予備校の講師をはじめました。 講師になるのに採用試験的なものがなくてよいのか、不安になるくらい簡単になれました。

その予備校には通ったこともなかったのにね。

予備校の講師となって、最初に、主任講師に言われたのは、策問や採点をやりつつ、「2時間の講義を一つ作って」ということでした。一般的なものでも好きなものでも良いとのことでしたが、せっかくなので、誰もやっていない特徴のあるのをやろうと思いました。どの科目にするかも色々と悩みましたが、やはり得意の経営情報の中から作ることにしました。

もう、正確なタイトルは忘れましたが、「統計学を2時間の勉強で8点をとる!」 といった講義です。

作り始めてから気が付きましたが、わたし、統計学は特に得意というわけではありませんでした。ですから、めちゃめちゃ時間がかかりました。資格試験の過去問を徹底的に分析して、この範囲なら点数をとれるという講義をつくりました。8点というのは、統計学はいつも2問出題されていたので、1問4点で8点ということです。

自分で言うのもなんですが、なかなかの大作で出来も良かったと思います。・・・今となってはいろんな統計の範囲から出題されるので、この内容は、現在の試験対策には使えないでしょうが。

講義を作ってそれだけでは終わりませんでした。その結果、あまり他の中小企業診断士が取り組んでいる分野ではないので、その後雑誌で、統計学の記事の執筆を依頼され、さらにその内容をKindleで発刊したところ、1万部を越えて、当時のKindle全体で売上1位を4日とって、その結果、紙の本の出版につながり、その結果、たまに統計学の研修をしています。

いろんなことに取り組んで見るものですね。

②−2 はなしまくる

 予備校の講義って、1本は90分とか120分でしたが、当時は急速に動画撮影が進んでいました。なので、1日に3本撮りなどで、6時間、休憩とか含めると8時間位撮影室にこもってひたすら喋りまくるという体験をしました。ときどき意識朦朧となっていたことがあるくらいに(^^;

今でも、一方的にたくさんしゃべるまくってしまう講師のスタイルは、その時にできたのかもしれません。・・・あんまりいいことではないかもしれませんが。

ただ、教室講義も多数あったので、受講生とのコミュニケーションの図り方も(少しは)学べたかなと思います。

話す体験をたくさんしたことで、うまくなったというわけではありませんが、場数を踏んで、「場馴れ」ができたのは大きかったと思います。人前で話すことにあまり緊張しなくなりました。(今でも、新作ネタのセミナはドキドキしてますが)
 
②−3 副業の収入面では?
 副業のおかげで、中小企業診断士業界内ですこしは顔が広くなり、新しい取り組みもでき、そしてなにより少しではあるものの収入が得られたことです。当時のサラリーマン時代の年収の12%くらいの収入がありました。 

一方で会社での残業は削減していましたので、得た収入分くらいの残業代は減っていました。結局、収入的には「行って来い」ではありましたが、複数のところから収入が得られるというのは自信になりました。
 
なお、中小企業診断士活動としての、つまりコンサルティングなどの副業は行なえませんでした。無料診断や実務補習的なものはやりましたが、どうしても、ちょっとした体験程度に留まってしまいました。一応、会社ではコンサルティングを冠した部署にいたので、本業ではコンサルティング(ITコンサルティング)をやっていました。

ということで、副業により、「話す」力をかなり得られたと思います。

③ブログを含めた執筆活動

③-1 書籍を書く
先程も統計学の執筆でも記載しましたが、たくさん文章を書くことを実施しました。個人的には話すことより文章を書くことに苦手意識を感じていました。小学生の時も、夏休みの宿題の殆どは7月中に終えてしまうのに、読書感想文だけはどうしても最後までできない子供でした。

なお、子供時代からかなりの読書家でした。今もビジネス書書評のサイトを運営しています。それでも書くのは苦手でしたね。 中小企業診断士の受験のおかげで、文章がうまいかどうかは、さておき、「たくさん速く書く」というのは苦痛でなくなりました。誤字が多いのが課題です(><

中小企業診断士としての執筆の最初は、「ふぞろいな合格答案」でした。 2018年には「ふぞろいな合格答案11」が出ていますが、あれからもう11年もたったのかと思うと感慨深いものがありますね。

実は、副業としては、この本の執筆が最初でした。(ほとんど、お金はもらえませんが)はじめて、社外の人と一緒に仕事をしたのは新鮮でした。この人すごいなあ!というヒトもいるし、このヒト雑だなあ!っていう人もいるし。

オープンイノベーションではないですが、社外の人と連携して働く、そしてネットワーク上で働くっていう体験は、今でも生きています。そして、当時の執筆の仲間は、今でも大切な仲間だったりしています。

③-2 雑誌で書く
雑誌で書くのはハードルが高いと思いましたが、意外と結構チャンスがあるものです。研究会などで出版社の編集長さんが来られて、執筆企画のプレゼンをするというものです。

その際は、「事業承継」をテーマに提案をして、全6回の連載をすることができました。

執筆はいいですね。執筆をすると頭の中がすごく整理されます。そのため、執筆をすると、その内容でセミナを話すのがやりやすくなります。今でも、新しいテーマについて取り組むときは、まず執筆にとりくみ、情報を整理するところから始めます。

③-3 ブログを書く

そして、今も書いていますが、ブログです。ブログは、2007年から書き始めています。といっても当時は受験生でしたから、勉強結果や、作成した過去問の答案をアップしたり、愚痴ったりという、いかにもブログ!という内容でした。

士業の資格試験に合格して、2009年ごろからWebサイト化してプロフィールを載せたりと独立を意識するようになってきました。でもね、実績がなくて困ります。独立していないので、書ける実績が無いのです。しかしここでも副業が役に立ちました。ただ実績が書ける!とはいっても、所詮、予備校での実績ですから、コンサル実績とか中小事業者向けのセミナ実績ではないわけです。

そこで、なにか読者に役に立つ記事を書こう思いました。ほとんどITネタですが、ちょっと自分で使い方がわからなかったソフトについて調べて書いたり、新しいガジェットを試したりとそんな内容が多かったと思います。

そんなIT系のブログってはいて捨てるほどありますが、中小企業診断士サイトとしては、多くはありません。その結果「中小企業診断士 IT」で検索すると、常に上位表示されます。そんなキーワードで探すヒトは多くないと思いますが、自分自身を特徴づけるのに役立ったと思います。 ITのことだったら、村上に相談だ!と。

独立する前からブログを書いて、Webサイトにしたのも、独立2年前です。その結果、独立した頃には、中小企業診断士という狭い世界の中では、積極的に情報発信しているヒト!という認識を植え付けることができたのかと思います。

最近でも、キャッシュレスのセミナをやって、そのセミナ資料をそのまま掲載したりしています。そうすると、同じ内容でやってくれという依頼がたくさん来ました。 オープンで情報を開示していくことも大事なんだんと思います。
なお、キャッシュレスは時事ネタなので、作った資料は1年後には役に立たない資料になってしまいます。そういった時事ネタセミナの資料は、出来る限りオープンマインドで外出しすることで、新しいきっかけになるんだと思います。

まとめ


独立してフリーになる前にやっておけばよかったことは、①勉強・研究会、②副業、③ブログなどの執筆です。ありきたりといえばありきたりです。でも、そのそれぞれに全力でやったことが、将来の独立にむけて有効でした。わたしの場合は。

独立・起業することは、新しいことを始めることに違いありませんが、いきなりはじめてやります!では仕事になりません。やはり過去の経験や準備の上に仕事って成り立っていくんだなあ、と今更思います。

過去の延長に未来はあるのかなと。

そんなところで 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?