縁が導く

松谷知寿(まつや ともかず)さん
出身地:北海道小樽市
滞在先:ロンドン アクトン
職業:IPPO Limited 代表取締役社長

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ー 英国に来た経緯と理由は?
32歳のときに父の勧めで、語学留学生として渡英しました。そもそも僕は海外で行われる日本大使館が主催のレセプションの料理を担当する「公務員シェフ」として、オセアニア方面(ハワイ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアなど)を中心に15年ほど海外をまわっていました。
退職後に小樽に戻り、割烹居酒屋をやっていたのですが、父親に「もう少し英語の勉強をしたほうがいいんじゃないのか」と言われ、イギリスへの語学留学の話が出てきました。でも、実は僕、その時はヨーロッパがあまり好きではなかったんです。勝手な思い込みなのですが、なにかアジア人だとバカにされそうな感じがしてて・・・。なので、イギリスへの語学留学の話も、あまり気が進まなかったのですが、ちょうどその時に、ロンドンで同時爆破テロが起きて、思いがけず留学の話が延期となってしまいましたが、結局はテロの翌年に短期留学ということでイギリスに来ました。で、来てみたら、以外とイギリス生活が気に入ってしまい(笑)、短期留学を終えた後は、学生ビザを取り直し、再度イギリスに戻って、語学留学を続けました。

ー英国での活動について教えてください
英語を勉強して、日本に帰るつもりだったのですが、滞在中に某日系企業が新しくレストランを立ち上げるということで、そのお手伝いをする機会を得ました。久しぶりに働いてみたら、とても楽しくて、「あぁ、こっちで仕事しようかな」と思い始めたところ、有難いことにいろいろなレストランからオファーをいただきまして、その中から、ロンドンのソーホー地区のレストラン「SO」への就職を決めました。
SOを退職した後は、まったく日本人がいない和食レストランの立ち上げにかかわることになり、そこで現在の僕のビジネス指標になっている、「これからは広い店舗で何百人も相手にするのではなく、店舗は小さくてもいいからテイクアウェイの時代だ」というアイディアが浮かびました。そう決めたら、すぐに実現に向けて動き出しました。物件探しと並行して、いろいろな レストランで「経営」についての修行もさせてもらいました。シェフの経験はありますが、 経営は全く知らなかったので、それじゃあやっていけないと思ったからです。物件もなかなか見つからなかったので、この修行期間は数年かかりましたが、そのおかげで、様々なレス トランで勉強させていただくことができました。 その後、現在の会社を立ち上げ、まずは事業第一弾となるレストラン「EZO」を今から2年前に立ち上げました。

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IPPO Ltdの事業の一つ、レストラン「EZO」。将来的には、北海道のアンテナショップ的な役割も担いたいとの願いがあります。

ー英国の好きなところは?
昼間からパブ(PUB)で飲めることですね!こちらではビジネスがらみの食事でも、昼間からお酒を飲んでも何にも言われないのがいいですね(笑)。 人を干渉しないところも好きです。個人を尊重してくれると思います。 イギリス人の人柄も好きですね。語学学校時代は、英語もできなかったですし、ラテン系でノリがいいイタリア人やスペイン人とすぐに仲良くなるのですが、それに比べるとイギリス人は少しシャイで、 打ち解けるには時間がかかりますが、一旦仲良くなると、長くつきあえる間柄が築けると思います。
ビジネス面においては、実力を重視するところもいいと思います。日本は年功序列的な風潮が強いですが、海外では実力主義というか、実力があれば、その分自分に跳ね返ってくる。やりがいがあります。

ー北海道の好きなところは?
食事ですね。浜焼きがいちばん好きなのですが、北海道に帰ったときには、「櫻島ラーメン」に必ず立ち寄ります。

ー 英国で苦労したことをおしえてください
公務員シェフをしていた時に、たくさんの国をまわり、そこで数々の苦労をしてきたので、 それらと比べると、イギリスは全然ましです(笑) 。水道水も飲めますし(笑)。

ー 昨年からのコロナ感染拡大、そして今年から英国は本格的にEU離脱となりました。生活の変化や今後への期待などを教えてください。
感染拡大で、飲食ビジネスは昨年よりテイクアウェイのみで営業が続いていましたが、僕が思いついたビジネスアイディアは、パンデミックより随分前のことです。また現在経営している 「EZO」レストランを立ち上げたときには、すでにEU離脱も既定路線だったので、離脱で起こるだろうという事象を想定したビジネスをスタートから展開していました。なので 、EZOレストランは、このような状況下でも成長し続けています。今、僕が次に考えてい るのは、「グローサリー事業」です。
最終的には、「北海道」にこだわりたいと思っています。北海道には、例えば日本酒とかメジャーなものだけではなく、もっと掘り出せば、海外に出せるものがたくさんあると思います。そういったものを僕のお店で紹介する。こういった事業も展開していきたいと思っています。

ー 最後にPRやメッセージをどうぞ!
現在経営しているレストラン「EZO」はこちらになります。
https://ja.ezojapanese.co.uk/
5月17日からは、店内飲食も可能となります。引き続きテイクアウェイも承っておりますの で、ご予約・ご注文・詳細はウェブサイトからご確認ください。 週末は、マーケットで屋台販売もスタートしました。出店情報は、インスタグラムにて発信 していますので、そちらもぜひチェックしてみてください。

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こちら、EZOレストランの「味噌ラーメン」と「ザンギ」です。EZOレストランでは、鶏の唐揚げは「ザンギ」という名前で提供しています。ローカルのお客様にも、この呼び方が定着してきたとか。
編集後記:
「実は、そんなに将来の明確なビジョンとかはないんですが、やりたいなと思っていると、そういった話がついてくるんです」と松谷さん。ここまでの経験や人脈、またご本人の人柄が、そういった話を引き寄せているのだなと思いました。
他にもいろいろなお話しを伺っているのですが、ページスペースの都合で、全部のお話しを掲載できないのが残念です(松谷さん、すみません!!)
海外展開に興味のある方は、松谷さんにご連絡してみてください!
英国で「北海道物産展」が開催されるのも、そう遠い日ではないかもしれませんね。
松谷さん、ご協力いただき、ありがとうございました!



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