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ブラウスに魅了されて。

 春になると、ブラウスを目で追ってしまう。

お店ごとにデザインが違い、レース、刺繍、リボン、柄、さらには色によって変わる雰囲気、それはもう種類はたくさん。
ブラウスとはなんぞや、という方は検索ページ、もしくは某ファッションサイトで「ブラウス」と入力すると大体同じものが出てくるかと思います、そう、それです。ね、可愛いでしょ?

戻りまして。
特に、刺繍のブラウスを見つけた時は引き寄せられるように試着室へと入ってしまう。

似合うか似合わないかはさておき、ブラウスが「可愛い」のを試着室の鏡で再確認し、時にはそのままレジへ、時にはネットで在庫があるかチェックをし、カートへ…(結局買うんかい!)
というのは冗談で、私は触り心地とサイズ感、丈には慎重なので試着は必須。
身長が低い私は丈が長いとだらしなく見えるし、手首に必要以上の締め付けを感じたりすると窮屈、デコルテが開きすぎているのも私には似合わない。
など長考している間に、理性を取り戻し、このブラウスは買ったらきちんと着るのか?という質問に「はい、着ます。着させて下さい!」と答えられれば購入する。

と、偉そうな事を並べたが、本当に気に入ってしまえばそんなものは関係ない。
今はとても良い時代である。
店舗で迷って、結果購入できなくともネットで探せば簡単に出てくるのだ。
しかもお店では恥ずかしくて色違いで買えなくても、相手は人間ではない。
カートにいくつ(こら!)放り込んでも誰も文句は言わないし、羞恥心もない。

「同じようなもの、持ってるよね?」
「たくさんあるけど、ちゃんと着るの?」
「もしかしてそれ、色違い?」

なんて言われてしまいそうだが、ブラウスの魅力の前ではそのような弱い言葉は敵わない。
ブラウスは、私に「可愛い」と言ってもらえて満足なのだ。

弁解するが被服代はきちんと一月のお給料の予算内で買い物はしている。
家族がいるのであれもこれもかってはいない、と、思う…。
い、いや、独身時代に比べたらその衝動はおさまってきたので良しとしよう。


そしてこの春。
メキメキと頭角を現してきたものがある。
それは、ネイビーのブラウスである。
ブラウスと言えば白、汚れが目立たないのは黒、春っぽいのはやはりピンクと私の中では確立されていたが、ネイビー。
ネイビーのブラウスである(大事な事なので二回)。

ネイビーって、紺でしょ?地味じゃない?
と去年の私は言うであろう。
貴様!ネイビーになんて口を利く!謝りなさい!
と怒鳴りたくなるが、えぇ、私の方から後程叱っておきましょう。


それは昔、私の中学生の制服は紺のブレザーであった。リボンも安っぽく、なにより思春期の女の子が何故好んで紺色ブレザーを着るであろうか。いや、着ない。
「ダサい」「可愛くない」「地味」
と私以外の生徒たちからは不評であった。
だがそれは制服、着なければそれ以外に着るものは無いのであった。
その時私の母はこう言った。
「紺色は、学生が一番美しく見える色だから」

そう、ネイビー(紺色)は、美しくしいのである。

ネイビーにも青寄りのものと、黒寄りのものがあるが私はどちらも好きだ。
思春期の若い学生、艶やかな髪と張りのある綺麗な肌。
色々なものに興味を持ち、学び、助け合い、深く悩み、気持ちが揺れ動く多感な時期である。
私も、楽しい気持ちにはなるが、なんとなく満たされないような、ふと虚しくなるような、ふわふわしていたような気がする。
年を重ねた私にとって今となっては、それこそ全て羨ましい限りなのだが、若さを引き立たせ締めるのは紺、上品極まりない。

この美しさに私は気づいてしまったのだ、この春に。
選択肢がまた一つ増えてしまった。
すでに柄のネイビーブラウスと、黒に近い刺繍ネイビーブラウスは購入済みであり、今年の春は長くなりそうである。

まだブラウス一枚で過ごすには寒い季節ではあるが、暖かくなったら皆様には是非とも「私の推しのブラウス」を着て頂きたい。
素敵なブラウスが目に映るだけで幸せであり、そのブラウスとても素敵ですね、似合ってます、可愛いです、綺麗です、という視線を送ろうと思う。



私にとってブラウスは「春の訪れ」を教えるものなのである。






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