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とりあえず、お前はまだトカイを知らない

車で関東の半島部へ行く。
夫の実家である。

山道。
田んぼ。


と、田舎感の出る写真を撮って、先週
やっぱり何もないね。
と笑っていたヤツにつきつけるつもりだった。


が、山道写真にはちらっとハナミズキ(街路樹)が写り込んでしまうし、田んぼの奥には住宅地が写り込んでしまうしで、ホンモノの田舎には遠く及ばない。

「そりゃそうだよ。一番近いコンビニまでだって、歩いて5分だし〜。」




それはウソだ。

12〜13分かかる。


わたしはあなたの実家からコンビニまで歩いたことがある。

5分だなんて、都会のような顔をしないでいただきたいっ!


とはいえ、15分程度であれば、やはり田舎とは言い難い……。


悔しい……。


そんな気持ちを抑えつつ義両親の待つ家へ。
あたたかくお迎えいただく。
テーブルの上には、フルーツなどと一緒に大きな器に山盛りの茹でそら豆。


「すごいっ! こんなに沢山のそら豆
 なかなかないですよ!」


「?」 義父「?」 義母「?」

3人が、3人とも、
そんなに珍しいことなのか?
の顔である。


いや、いや、この量を近所のお店で買ったら、えらい金額になるって。


さては、あなた方…

都会を知らないな?


これは東北でもあるあるなのだが、果物や野菜を作っていらっしゃる方が近くにいると、びっくりするくらい沢山分けていただくことがある。

上京して、いただいていたものを自分で買うことになると、どれだけ恵まれていることなのか思い知る。
都会での暮らしを知らないと、その価値がイマイチわからないのだ。


そんなわけでとりあえず、帰りの車でそら豆の価値を切々と訴えた。

ついでに
「あなたは都会の人間ではない
 そして、あなたの実家から
 最寄りのコンビニまでは
 15分かかりますよ」
ということを強めに伝えたのだった。

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