ロンドン・パディントン駅、熊のパディントンに会えるスポットは?
1854年開業のパディントン駅・ざっくり歴史
ヴィクトリア時代最盛期に建てられたパディントン駅は、今もロンドン屈指のターミナル駅。
英国の後期産業革命を牽引した技師イザムバード・キングダム・ブルネルが、ロンドンとブリストルを結ぶグレート・ウエスタン鉄道(Great Western Railway、以下GWR)の施設に合わせて築きました。
屋根や柱などを支えるのは当時の先端素材であった錬鉄で、実用をともなったデザインが美しい!
彼が造ったGWRによって最初にロンドンと繋がった南西イングランドのブリストルは、当時アメリカ合衆国との交易で重要な拠点だった港湾都市。
その後GWRはバースやウェールズ、コーンウォール、オックスフォードへと展開していき、今もロンドンとイギリス南西部を結ぶ重要な役割を果たしています。
そんなブルネルの功績を称えて、8番線と9番線の間にあるプラットフォームには彼の像が。170年近く経っても愛用されている駅を、満足気に眺めているように見えますね。
集団疎開の子供たちがヒントとなった「くまのパディントン」
そして駅の開業からおよそ百年後に出版された児童文学が、マイケル・ボンド著「くまのパディントン」です。
物語の主人公は「暗黒の地」と表現されたペルーで起こった大地震により孤児となり、ルーシーおばさんに育てられた子熊。しかしルーシーおばさんも齢をとり老人ホームに入居する事となったため、イギリスに住むよう送り出されたのです。
作者のボンドさんは1926年生まれ、ずばり戦中派のひと。
ドイツ軍の空爆が激しくなり、ロンドンから集団疎開のため親元を離れて汽車に乗り込む子供たちを見たボンドさん。
子供たちが服に着けた身元札や不安そうな表情が、後年パディントンの原型になったと語っています。
パディントンに会えるスポット:その1
という事情で、見知らぬ国イギリスに送り出された子熊。
だから駅構内にある彼の像も、なんとかロンドンに着いたものの「さて、これからどうしよう・・・」と心細げな表情です。
「このクマを面倒みてあげて下さい」と書かれた札を首から下げて、途方に暮れている様子が伝わってきますね。
これはマーカス・コーニッシュという現代彫刻家の作品。お披露目されたのは2000年2月24日で、当時まだ存命だった著者マイケル・ボンド自身が開幕式を執り行いました。
大きさは5歳児くらいかな。丈夫な台座に据えてあるので、そこに座ってパディントンとツーショットを撮るのに打ってつけ!
このパディントン像は、1番線プラットフォームの真ん中あたりにあります。上の画像で左上に見える大時計よりも、もっと先に行って下さい。
すぐ近くにはこんなイラストのベンチと、彼の記念プレートもありますよ♪
(追記:2022年8月現在は、1番線プラットフォーム一部工事のため、このパディントン像は11番線プラットフォーム近くに仮設置されています)
パディントンに会えるスポット:その2
また駅ナカのショッピングセンターには、パディントン専用ショップもあります。
そのお店に入ると待ち受けているのが、このパディントン実物大フィギュア。
これは映画「パディントン」公開に合わせて2014年に開催された、パディントン・トレールというイベントに使われたもの。ロンドンの街角あちこちに数十頭のパディントンが現れ、人気を博したチャリティーイベントでした。
先ほどの現代彫刻家による銅像がオリジナル絵本の挿絵に近いとすれば、こちらは正に映画「パディントン」から抜け出てきたよう。生き生きと愛嬌ある表情がチャーミングです。
絵本、縫いぐるみ、玩具、知育ゲーム、文具や生活雑貨など、店内すべてパディントン尽くし。
パディントン駅オリジナルのコットン・エコバッグ(£5.99)は軽くてかさばらないので、お土産にもピッタリですね。
世界遺産の街バースへの急行列車や、ヒースローエクスプレスもこの駅から!
前述したようにブリストルやバース、オックスフォードなどへ電車で行く際に利用するパディントン駅。
古式ゆかしいオックスフォード大学の建物群はハリポタ・ファンの聖地としても有名ですし、街全体が世界遺産に登録されているバースでローマ浴場や大聖堂を訪ねるのもオススメ。どちらもロンドンから日帰り旅行が可能です。
またヒースロー空港~ロンドン間がたったの15分という速さが自慢の、ヒースロー・エクスプレスもこの駅が発着点。
ロンドン滞在中に利用する機会があったら、ぜひ熊のパディントンにも会ってみてくださいね!
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