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同人イベントが中止になる、ということ

まずは、先日の台風で現在も被災されてる方におかれましては
一日も早く元の生活に戻れることをお祈りしています。


先日の大型台風は気候のいいはずのお出かけ日和、秋の3連休をまるまるつぶすように進路をとった。
その巨大さや威力の強さで日本列島が恐怖して、みんなが台風の進路を毎日毎日固唾を飲んで見守っていた。

特にわたしやわたしの友人たちのような、同人作家たちについては台風の進路で一喜一憂していた。
台風がいますぐ消えてくれないか、このままだとどうなってしまうのか、と、この一週間は半ばパニック状態だった。


なぜなら、この超大型台風が関東に直撃するだろうその日、東京ビッグサイトでは大きな同人イベントが2日続けて開催することになっていたからだ。


結果的に、1日目の13日は中止。2日目の14日は開催ということになった。
(14日の開催については、そのために様々な人が一番危険な13日に動く必要がありその面からやる必要があったか?と個人的には思うが、ともかく13日の中止判断については本当に英断だと思う。)

わたしの周りでは13日に参加する友人が多く、この日にアンソロジーを発刊する予定の友人や、はりきって新刊を入稿したり、かなり力を入れて準備万端でわくわくしていた友人が多かった。
かなり規模の大きなイベントなので力の入っていた人が多かっただろう。

各々の、新刊を作っている最中の悲喜こもごももツイッターで見ていたので、いよいよ中止が発表されたときは気持ちを想像するだけでこっちの胸が張り裂けそうだった。


危ないから絶対に無理して行かないでほしい、とは思っていたけど、でもこの日が台無しになるのが耐えられない気持ちは痛いほどわかった。
多分みんな、この日のために命を燃やしてきてるから。


わたしはというと、中止にならなかった14日の参加だったが、結果としては欠席した。
9月末に引っ越しをしたばかりで、8月から10月にかけてまるまる引っ越しの準備にかかりきりだったので、とてもじゃないけど新刊を作るというようなことができなかった。
(実に12年ぶりの引っ越しで、持ってるものを一ヶ月かけて処分しまくるという人生の大イベントだったので、もう他のことをしてるような場合じゃなかった。これもすごかったのでまたどこかで書きたい)

自ジャンルではなく、「自カプ」の初オンリーがあったので絶対行きたかったがこれは完全にわたし個人のルールというか呪いなんだけど「イベント参加につき新刊を用意する」みたいなセオリーが同人始めた時からあり、せっかくの初オンリーでしかも遠征なのに何も新刊を作れなかった今回は行く意味というか権利がないじゃん……という意識に囚われてしまった。(※あくまで自分に対してで、他の人に対してはそのように思っていませんので、悪しからず)

なので、新刊もない、関東がどんな状況かわからない、慣れない土地にわざわざ来て被災する迷惑な観光客になるかもしれない、という状況のため14日自体は問題なさそうな雰囲気だったが、キャンセルしてしまった。
同日の他の友人もみんなキャンセルしちゃったしね。


やった~~同人イベントだ~中止にならなくてよかった!みたいな気持ちにもあんまりなれなかった。
(東京近郊に住んでて、自分ちの周りやビッグサイト周りが特に問題ないと実感として判断できたら行ってただろうなとは思う)


そんな状況だったので、新刊が会場で買えない、以外のデメリットがわたしにはなかったので自分自身はそこまで強いダメージを受けていないんだけども…


同人誌っていうのは、その日特定のイベントに向けて作られていることが多い。
男性向けのことはあまりわからないので女性向けの話をして恐縮だが、
●月●日の、オンリーイベントに向けて、最近話題になった●●ネタの本を出す!!季節ネタの本を出す!!というようなことになりやすい。
ハロウィンネタの本を10月のイベントで出したくなるようなもんである。

ハロウィンものをクリスマスが主役の12月やバレンタインのある2月に出してもちょっと違うよな、という気持ちになってしまうのは一般的な季節のイベントのことを考えてもらったらよくわかると思う。

みんなみんな、そのイベントの日に向けて、その日に着るためだけのドレスを縫ってる。
だから、その日にそのドレスを見せられなければ、その後でいくら遅れて新刊が家に届いても、その次のイベントや通販で頒布できても、「そうじゃない」のである。


別に季節ネタだからとか、理由はそれだけじゃない。
そういう要素を抜きにしても、その日のイベントのために用意したものを、その場所で頒布したいのだ。


イベント会場で、自分のスペースに届いた、新刊が詰まった箱を見つけてドキドキしながら箱を開ける。
出来上がった新刊をみて、やった~~!!という気持ちがあふれ出て、それを机の上に並べる。
イベントが始まって、友達や、本を求めてきてくれた人がスペースに訪れて、その新しい本を媒介にしてコミュニケーションが始まる。
その一瞬のために、同人誌を書いてるんじゃないだろうか。

原稿を書くのは時間がかかるし、めっちゃしんどい。
前のnoteにも書いたけど、作ってる最中はなんでこんなことやってるんだろうと思う。
でもそういうしんどい時にふっと、この本を誰かがイベントで手に取ってくれるかも、というようなことが頭をよぎって、それだけで頑張れることがあるのだ。

それが中止になって叶わなくなったとしたら?この気持ちはどこにもっていけばいいんだろう。


私は関西在住なので、台風直撃の当日はちょっと雨風が強いな…という程度で幸い恐れていたようなことは何も起きなかったので、家の中でじっとしながらツイッターを眺めている程度だった。
多分、新刊がなかったからほぼダメージがないんだと思うが、これが自分も入稿してたらこんなエントリーなんて書いてられないぐらい荒れてたと思う。

新刊を死ぬ気で作って、何ヶ月も前から準備して、週末のイベントを心待ちにしていた皆さんの心持ちってどんなもんなんだろうか。想像するだけでつらい。
運送周りも混乱していて、やっと最近ちらほらと新刊や荷物が家に戻り始めた、というツイートを見るようになってきた。
それ自体はよかったな、と思うけど、やっぱりイベントで頒布したかったよな。

今回そのように気落ちしてるみなさんは、その気持ちをなかったことにしよ~なんてのは絶対無理なんで、どうかひとまず、美味しいもの食べて元気出してほしい。
そんでまた、めげずに次のイベントにいこう。

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