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個人的名盤レビュー#16 砂原良徳 5th ALBUM "liminal" (2011年)

皆さまごきげんよう。Loopです👼
今回も個人的名盤レビューのほう楽しくやっていきたいと思います!
第16回目は砂原良徳氏が2011年に発表したこちらの作品。

5th ALBUM "liminal" です!!パチパチパチパチ~✨

砂原さんは元々電気グルーヴのメンバーとしても活動されていたかたで、
電気グルーヴ在籍時には"まりん"の愛称で親しまれていました。
今作はそんな砂原さんが2011年に出した5作目のソロアルバムです!🎹

前作"LOVEBEAT"においても見られた、無機質だけどお洒落なサウンド、
淡白なようで決して聴き手を突き放さない方向性を更に加速させていて
これ以上削ぎ落とすと音楽ではなくただの音になってしまうスレスレ
全編に渡って追及しているようなそんなアルバムです。

インタビューを読むと分かるのが構成や拍子、和音に囚われまいとされ
作曲における典型的な形やルールの先を目指された作品であるという事。
意識の範囲外にある音を音楽に取り込もうとされていることです。
取り込もうとしている時点で意識しているという壁があると認めつつも
なんか凄い域に進もうとしていて超やばい(急に語彙力が…)

前置き長くなりましたが例のごとく1曲ずつ触れていきます(/・ω・)/

01.The First Step (Version liminal)
先行シングル"subliminal"収録曲のアルバムバージョン。
裏拍のクリック音から始まり24秒付近から他の音が入ってきます。
最初に聴いたときに思ったのが"意外と破綻していない!"でした。

実は私、作品を聴く前に前置きで触れたインタビューを読んでいて
(もっと言うとアマゾンレビューもチラホラ読んでいて)
初めて聴くときにめちゃめちゃ構えて聴いてしまったんですね。
"どれだけ難解で掴みどころのない音楽なんだろう…"って。

で実際この曲が始まった時に予想以上にとっかかりがあったので、
あれっ?みたいになったんです。聴きやすいとすら感じました。
ちゃんと楽曲の中に秩序があってしかるべき展開をしていく。

例えばクリック音とシンセがありえない形で被ってしまっている
みたいなことが起きていない。音同士が過干渉していないんです。
1分40秒から入る高めの金属音やピチュン音も砂原印な感じだし。
聴いていて安心感がある1曲目です。

02.Physical Music
ドスッとした鳴りのキックがとても肉感的でカッコいい楽曲です。
1曲目に比べると幾分音がヤンチャしていてグルーヴィー😎
前述のキックと細かなチップノイズ音、LRのパンの細かな調整故か
ファンクの精神を宿したテクノっていう印象があります。
アウトロ付近で入ってくるコピー機のような音もとても好き。

03.Natural
全体的に音が工業的/機械的な曲。機械で出来た森、みたいな。
ビィィイイイ…という低く唸るようなビープっぽい音が超カッコいい。
0:50あたりで音連打→一瞬音が止まるタメの箇所があるのですけれど
あれ聴くためだけに何回か再生したことがあります。

前振りで書いた"音楽ではなくただの音になってしまうスレスレ"。
この曲もそのスレスレに在るようなないような。
基本的に繰り返しの中でノイズ音を抜き差し/刻む楽曲ということで、
音楽に明確な展開やメロディーを求めている人はシンドイかな?

04.Bluelight
キックの厚切り感がたまらなくカッコいい曲。
6分ほどでわりと長め。
どしっとした低音のリズムが全体を支えている1作ではあるのですが、
その随所随所でカチャカチャしたハットが鳴っていて気持ちが良い👼
裏でずっと鳴っている低い空調音も仄暗い雰囲気を演出しています。

低音と高音がパッキリ分かれているようでしっかり同居しているのは、
前作"LOVEBEAT"でも感じられた要素だと思います。
たまに前作と比べて今作を下げて評価するようなかたがいるのですが、
私的にはこの2作って直線上に一応存在している音楽性だと考えていて
どっちも非常にお気に入りの作品です。

05.Boiling Point
今アルバム収録作の中でも断トツで音が硬くて尖っている楽曲です😎
タイトルはたぶん"沸点"という意味かな?めちゃ曲を表してると思う。
とにかく長い音があまりない。全てがバチバチっと細かく鳴っている。
音の手数が多く沸々としていて、それゆえこの題名なのかな?。

それとアウトロにバリのような枠からはみ出した高い音が入ってます。
最初聴いた時"何なんだろうこの謎の音…"と考えてしまったのですが、
恐らくこれは"沸き切った音"なんだと後に結論付けました。(勝手に)

06.Beat It
細かい連打音から始まり徐々にシンセが入るイントロが特徴的な曲。
細かな音で構成されているという点では前の曲と近いかもしれません。
また、イントロのキラキラしたシンセと本編で印象が少し違います。
何か荘厳な方向に向かうと思わせておいて非常にマッシブな楽曲✊

"Beat it"とボイス素材が入るごとに展開が行ったり来たり変化する。
特に鳥肌なのは2分46秒過ぎからの音。
銃を装填して撃っていくような音が入ってくるのですがこれがね…
めっちゃめっちゃイカしててカッコいいの(´へωへ`*)

5曲目同様最後の音にも注目(注耳)。

07.Capacity (Version liminal)
先行シングル"subliminal"収録曲のアルバムバージョン。
7分近い大作なのですが音使いが派手なので全くダレずに聴けます。
音全体にDystopiaな空気が纏わりついていてかなりハードな作風。
Boiling Pointとはまた違うベクトルで攻撃的な楽曲ですね。

他の曲がミニマルテクノやインダストリアル的路線なのに対して、
この曲はハードコアの要素が強いです。
また、スネアに限っての話ですが非常にバシバシした強い音で、
何となくポストパンクやEBMを彷彿とさせます。

08.liminal
表題曲。ノンビート・シンセの重なりで緩やかに進行する1作です。
とても正直な感想を言うと"これだけ路線が違うために浮いている"
でもそれは1曲1曲で比べた場合であって最後の曲として聴くと別。

あくまでこの"liminal"という作品をアルバムとして終わらせる、
無関係の個々の集合体に見えた楽曲群に物語性を付与する役割、
そうゆうふうに聴くと短尺だけどとても意味のある曲だと思う。

他のアーティストさんのアルバムレビューでも似たこと書いたけど
作品の最後に置かれる本編と微妙に色の違う静かなタイプの楽曲は
エンドロールとして捉えるとすんなり耳に入ってくる
気がします。
この曲もまさにそういった類なのではないでしょうか|ω・)

という事で今回は砂原良徳氏のソロアルバム5作目を紹介しました!
メロが良い/歌詞が良い、その二択しか名曲の基準は無い!みたいな
そうゆう時代…だと私は勝手に思い込んでいるのですが…
そこに対してこれはどう!!?って突き付けたいアルバムです👼

明確に泣かせるメロディーや奮い立たせるフレーズがあるわけじゃない
でも聴けば聴くほど入り込んでしまう、そんな1作だと思います(*'▽')
ぜひ聴いたことないよってかたは聴いてみて~!!✨

それではまた別の記事で!('ω')ノ

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