駅前にぎわい 地産地消で トレーラーハウス並べ複合施設 群馬県伊勢崎市の不動産会社

飲食店、直売…来年開業

群馬県伊勢崎市の不動産会社が、鉄道駅周辺のにぎわいと地産地消の活性化に向けて、トレーラーハウスを並べた複合施設の整備を進めている。県産食材の割合を高めるなど地産地消への協力を条件に飲食店に貸し出し、農畜産物の直売イベントも予定。災害時には避難場所や食事・医療の提供拠点としての活用も想定する。来年の開業を予定しており、同施設の事業活動を通じた駅前のにぎわいのモデルケースとして、全国展開を目指す

同市の新藤不動産が開設する「ハートヴィレッジ伊勢崎」は、JR・東武伊勢崎駅南口近くの同社所有の土地約2000平方メートルに、トレーラーハウス10台を設置する。同駅前で不動産業を約40年営んできた同社が「地域の人々が愛着を感じ、安心して過ごすことのできる憩いの場所を提供することが使命」との思いから、2年前から準備してきた。

 昨年、トレーラーハウスの製造・販売を手掛ける水戸市のOLSに代理店加盟し、運営事業所として「トレーラースタイル群馬伊勢崎店」を立ち上げた。トレーラーハウスは長さ11メートルと長さ9メートルの2種類(ともに幅3・5メートル、高さ4メートル)。電気やプロパンガス、水道が利用できる。テナント利用料は1台当たり月約12万円。8台は飲食店に貸し出し、1台は運営事務所、1台はコインランドリーとして利用する。

 駅の乗降客や周辺2キロ圏内に住む人、計5万人をメイン顧客と想定。「ここでしか体験できないコンテンツ」を提供する。「安全・安心な地元の食材を食べて元気になってもらいたい」「地元の特産をもっと知ってもらいたい」と、飲食店舗では必ず県産食材を使ってもらうだけでなく、完全なオリジナルメニューを提供してもらう予定だ。

 中庭は共用の飲食スペースとして利用。朝市など農畜産物の直売イベントを開き、生産者と利用客の交流の場としたい考えだ。

防災拠点に活用も計画
 トレーラーハウスは移動が可能で設置場所を選ばず、減価償却も短期間で済む。最近では新型コロナウイルス関連でも、感染した疑いのある患者の一時待機場所や、感染を調べるPCR検査の施設としても使われている。今後は市と災害協定を結び、防災避難拠点として活用してもらう計画で、災害時は各地の避難所に運んで炊き出しをすることも想定する。

 同施設を手始めに、群馬県と栃木県を結ぶJR両毛線の各駅に造り、群馬県の食材や文化などの魅力向上へつなげる考えだ。新藤誠社長は「駅周辺に飲食店が少ないので、イベントで近隣の人を集め、地場産の食材を食べてもらう。人々の触れ合いの場や災害時の活用も進めたい」と話す


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?