・はじめに

　「推してる組み合わせのセックスについて考えさせて左右を無理に決めないとカップリングとして名乗らせない日本のBL文化が嫌い（意訳）」みたいなpostが震源となって学級会が起きていた。この手の話は腐女子間では定期的に学級会になる。特に今回は更にカップリング表記ルールに従ってカップリングを決めているマジョリティ側を「セックス至上主義」と呼んでたので、爆炎を上げていた。正直、日本のBL文化が嫌いなら近寄らなければ良くない？って思う。地雷は自衛しろって言われてきた身としては特に。

　更にそこから、「セックスポジションを基準とするカップリングの決め方はおかしくないか」みたいな学級会に発展していた。いい機会なので、セックス至上主義者としてこれらの件について思ったことを書いていく。

・無理に二人組をカップリングにしなくていい

　そもそもの話、推している二人組を無理してカップリングとして名乗らせる必要はない。コンビとかブロマンスとか左右不定とかレゾとか、組み合わせの良さげな関係性を指す名称はカップリング以外にも色々あるので、カップリングという概念が合わないのならそこらへんを使えばいいのではないか。そもそもカップリング文化には「括ったキャラ同士を恋愛させる」という含意があるので、合わない人が出てくるのも当然だ。

　仮に定義を緩和させてセックスを前提としないでカップリングを名乗ったとしても、依然としてセックスポジションで決めてるタイプがマジョリティになるだろう。そうなるとそのセックス至上主義者の群れに無理くり混ざることになるわけで、それは辛くないのだろうか。自カプのセックスは考えられないのにセックス至上主義集団の群れに混じりたい方が個人的にはわからない。

　「左右を決めないとイベント（即売会）に参加できない、左右を決めないとオールキャラとかのところに配置されてしまう」という文句もあるけど、いまはWebオンリーが開催できるでしょって思ってしまう。全関係性包括イベントとかあるんだから、労力はかかるけどそういうのを開催してまず同士を募るところからなんじゃないだろうか。

　というか個人的には受け攻めを決めずにオールキャラとかの席に配属されて困る理由がわからない。買いたい人はスペースNo.調べて来てくれるだろうし、リアルイベントだったら衝動買いしてくれる人だっているだろうし、悪いことはないのでは？

・今まで何してたんだ？

　先日、赤ブーで左右非固定プチオンリーが開催されることが大きな話題となった。今は新刊カードを50枚集めることでリバのプチオンリーも普通に開けるようになっている。これらも前々から即売会開催側に改善要求がなされていたことだが、少しずつ門戸が開いてきた。

　カップリング表記に文句ある人たちは、何かそういう具体的な努力とか行動はしてきたのだろうか？

　私は非固定もリバも好きではないけれど、こういった居場所を得るために動ける人たちには敬意を持っている。それと同時にマジョリティ側に対してクダまいてるようにしか見えない人たちは本当に何なんだろうなって思う。

　まあ私が知らないだけで何かしらの活動はしている可能性もあるが、それにしたって目に見えた成果を挙げられているようにはとても見受けられない。それは尚のことXでクダまいてる場合じゃないのではないだろうか。

・その手の人たちに阿らなくても回せている現状を理解してほしい

　身も蓋もない話をすると、セックスポジション基準で決められないタイプの人を受け入れなくて困る人はそこまでいない。実際に赤ブーの大型イベントなんかは大盛況だし、サークル参加申込みが早期満了することもザラにあり、セックスポジション基準でカップリングを決めることに抵抗のない層だけでリアルイベントは十分に回せているのである。まずこの現況を飲み込むべきではないだろうか。

　もちろん、『だからあなた達も従いなさいよ』という話ではない。ただ、イベント開催側としても、参加側としても、カップリング表記に難儀している人がいなくてもそんなに困っていない感じなのは実情として知っておくべきだろう。

・頑なにルールに従いたくない人が既存の集団に混ざれないのは残念でもないし当然

　例えば、サッカーをやっている集団に混ざりたい人がいるとする。でもその人は「サッカーだからといって足だけ使うのは前時代的だ、手も使えるようにルールを変えるべきだ」と主張している。じゃあ手を使うゴールキーパーをやってもらおうって話になったら、それは嫌だと言う。「なら向こうでハンドボールやってるからそっちに行きなよ」と言ったら、それも嫌だ、サッカーがしたいんだと言う。私には、カップリング表記に困っている人達とその主張している内容がこのくらいワガママだし支離滅裂に見える。

　この手のカップリング表記ルールに困っている人たちは口を揃えて「カップリングを決めないと叩かれる」みたいなことを言うが、それはカップリングを決めないからではなくルールに従う気がないように振る舞うから疎まれているというのもあるんではないかなぁ、と思ってしまう。

　やっぱり既存の集団に入りたいのなら、敷かれているルールに自分たちの方からある程度従おうとする姿勢を見せなきゃいけないと思う。実社会、実生活であれば既存のルールに従えない層もどこかで包摂する必要はあるが、趣味の世界でまでルールに従えない層を包摂する必要はないだろう。いわゆる棲み分けというやつである。

　上にも書いたけど、現在のカップリング表記ルールに抵抗のない、もしくはちょっと思うところはあるけど折り合いをつけられている層だけでリアルの即売会なんかは十分に回せている。なので、そこにカップリング表記ルールに違和感があって変えさせたいって思う層がその意見を全面に押し出して合流しようとするのは相当難しいし、摩擦が大きくなってしまうんじゃないかなと思う。現に今回もすごい反発あっただろうし。

　なのでやっぱり、カップリング表記ルールに違和感があり、従うことも苦痛であるなら自分たちで新天地を切り開いていただくのが一番丸いと思う。いや本当に、無理してセックス至上主義者達の敷いたカップリング文化に馴染もうとしなくていいから、是非自分たちで新しい文化を作っていただきたい。少なくともリバや非固定の人たちは実際にリアルイベント開けるくらいにはなったので、やれないことはないだろう。

・おわりに

　ここまで述べたことを振り返ると、だいぶ排他的なこと言ってるな〜と自分でも思う。実質的に「従えないなら出ていってもろて」って言っているわけだし。

　ただ、受け入れる側も無限に要望を聞けるわけじゃないし、既存の集団に属したいのであればある程度その集団内のルールに従う必要があるというのは、一般論として理解しておいてほしいと思う。

　あと、「ルールを強いるお前たちは横暴だ」とか「お前たちのルールは前時代的だ」という旨のことを叫んだだけでは必ずしも「わかりました改善します！」とはならんことも知ってほしいし、自分たちを取り巻く事情がいっこうに改善されないからってそれを保守層とかマジョリティ層のせいにするのもやめてほしい。少なくとも私は、そんな他責的な集団を受け入れたいとは思わない。

　最初の方で書いた左右不定なんかはアンソロも出てきているし、レゾもちるちるで取り上げられているし、カップリング以外の括りも少しずつ定着しようとしている。カップリングというルールに違和感があるのなら、既存の価値観とそれを支持する層に石を投げようとするのではなく、こういった新しい取り組みを支援するのが平和的でいいんじゃないかなと個人的には思っている。なのでまあ、当該の人たちには頑張ってほしい。きっといずれ良い新天地が見つかるだろう。