へその緒

私はよく話しすぎてしまう。言わなくていいことも言ってしまう。自覚はあるのに、考えが足らないから、そういうのは口から出るまで気付かないで、ぱっと出始めるとあ、これは言わなくてもいいやつだし今言うことじゃない言う相手を間違えた死にたいと思いながら、でも、言葉は数珠つなぎに出て行くので最後の言葉が出終えるまで止まらない。
人を傷つけたと思って思いもよらないひびが、見えない場所に入っていく。
そういうときに、言葉にへその緒がついていたならもしかしたら都合よく回収できるのではないかと思う。自分の口や臓腑と繋がっているのなら、どうにか外に出る前に阻止できるのかもしれない。できないかもしれない。だけど、半分まで出た言葉を引っ張り戻すことぐらいはしたい。
したいのだけど。

もし言葉にへその緒がついていたとして、つまり言葉は私から生まれる私の子ということになろうが、ああ、そうしたら、自分の子の醜さに、つまるところ母親自身の醜さに辟易しそうだ。だとしても、子を産むことをやめることはないのだろう。だって、どんなに醜くても、わが子は可愛らしい。
それにへその緒がついてたのなら、子の重みで私は動けなくなりそうだけど、それでもいい。ふわふわどこかに言ってしまう愛着のわかない言葉よりも、私の重しとなって、私のことを確かな場所にいさせてくれるなら、それでいい。

なんていいながら、次に話すへその緒なんてない言葉を、こねくり回して考えている。