積み重ねて

友人と一緒に美容院に行った。友人が常連で、紹介でいくとフェイシャルエステも安くできるというのでついて行った。美容院もいくらか行って、色んな美容師さんに会って、合う合わないも感じつつも、いつも一様に人を美しくするという仕事はとても尊いと思う。

大学時代、友人と美容院に行ったときの、私の方がカットが早く終って友人のセットを隣で眺めていた。友人を担当していた美容師さんは男性で、色黒でミディアムヘアにきついパーマがかかっていて、シャネルのドッグプレートをしていて、私はとっても苦手だったけれど、髪の毛を触る感じや雰囲気がとてもよかった。私が、「美容師って大変ですか?」と、陳腐な質問をしたら、彼は笑いながら「女の子が綺麗になっていくのはやっぱり嬉しいよね」と、言った。ああ、そうか、それがすべてなんだな、と、なんとなく無駄に得心した。それから、美容師という職業がとっても神々しいと考えるようになった。もちろん、どんな仕事も尊いが、私の中で上位に食い込む。

友人と美容院が終わって、カフェで遅いランチを食べて、その後映画を見て、お茶をして、くだらないことで喜んだり、一緒に行った旅行の写真を見返して楽しんだり、明日のことを憂えたりした。家まで送ってもらって、車を降りようとしたら、彼女がこれあげる、と言って私に、一緒にいった美容院で使っていたシャンプーとトリートメントをくれた。買うときは、家族が買ってきてほしいって言ってたのに、本当は私用に買っていてくれたみたいで、びっくりして嬉しさがどこかに飛びぬけてしまった。驚いて、彼女の名前を呼んで、二人で笑い合った。

フェイシャルエステを受けたときに、月に二回は続けた方がいい、なんて話をされた。顔の筋肉がリフトアップ効果が続くし、こういうのは続けてくのがいいよ、と、施術師さんは言った。当り前のことのようだけど、なんとなくその言葉が心に残っている。たぶん、こうやって、いろいろ積み重ねていくんだろうなあ。色んな物。いろんなこと。日々、重ねていく。

いつか、死ぬまで。