刺さる光

先週の金曜日から日曜日にかけて、旧友と下田や伊東や沼津へ旅行に行ってきた。こんな風に言うのはなんだか感傷的だけど、久しぶりに腹の底からげらげらという声をあげて笑った。本当に、げらげら、という擬音が似合うような笑い声だった。

下田にはかの有名なペリー提督が来航しているが、観光地の雰囲気を上から塗りつぶす庶民の生活臭が面白く感じた。下田に立ち寄ったのが平日だったから余計か、鈍色の空の下の閑散とした町は誰のことも迎える気はなさそうで、浅黒く日焼けした小学生たちがヘルメットをかぶって下校していた。ペリーロードという道があるのに、大々的に工事をしていて、全体的に迎える気のない感じがより助長されていたように思える。それでも、気を許した友達と一緒なら何をしていても無敵だった。

レンタカーを借りたこともまた愉快で、知らない町を知らない車で走るというのは不思議な体験でもあった。東京や大阪のような、公共交通機関が発達した場所ではないし、当たり前に誰かがそこで暮らしている場所だから、「観光地」というよりも誰かの「地元」の感が強かった。運転を少し荒く感じたのも、皆「地元」の人だからかもしれない。観光地然とした場所ならば、見慣れぬ人ばかりの雑多なナンバーがそろい、運転も保守的になる。ような気がする。ただの想像だ。

海岸沿いのホテルだったので、朝陽を見ようとみんなで五時に起きたが、あいにくの曇り空で日の出も青い空も何も見えなかったが、スクリーンのような空が全体的に白くにじむように光っていたのが、心に刺さった。私は起き上がる旧友たちを後目にそのまま、眠った。楽しい旅だった。