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誰が何と言おうと私たちは可愛い

私は女である。
私たちは女である。
私たちはいつもいつもいつもいつも、誰かに容姿をジャッジされながら生きている。あの子に比べて可愛いとか綺麗とか、ブスだとかデブだとか、一重だとか二重だとか、背が高いとか低いとか、お洒落だとかダサいとか、化粧が下手とか上手いとか、とにかくあらゆることを勝手な尺度で一方的にジャッジされる。女の子はいつでも綺麗で可愛くいなくちゃって、本当に小さい頃から刷り込まれる。そうしないと愛されないよって。

初めてクラスの男子に「ブス」って言われたのは中学生の時だった。「そっか、私ってブスなんだ」って思った。10年以上経った今もずっとその瞬間を忘れられないままでいる。私はあのとき「ブス」って言葉に呪われた。今思えばわかる、あの男の子が人を呪うつもりなんてなくて、ただちょっと意地悪したかっただけなんだってことくらい。だけどね、そんなちっぽけな軽口が人を縛り付けることだってあるんだよ。

鏡を見た。気に入らないところがたくさんあった。憧れのあの子やあの子と違うところがたくさんあった。こんなはずじゃない、理想の中の私はもっと可愛いはずなのに。でも現実の私はブスだから、こんな私はあの子のように堂々としてちゃいけなくて、隅で縮まってなきゃいけないんだって思った。いつもいつも前髪を気にしていた、ブスが余計ブスにならないように。自分のことが嫌いだった。そうやって何年も何年も縛られ続けて、身動きが取れなかった。

ある時、私は私を縛っていたものの正体を知った。私たちを縛っていたものの正体を知った。私たちはみんな呪われている。どこかの誰かに呪われて、あなたの容姿は劣っているって、可愛くない綺麗じゃない細くないダサいってずっと刷り込まれ続けている。私だけじゃない、みんなそうなんだ。でもね、誰かが勝手に決めた尺度なんて本当は気にしなくていいんだよ。誰が何と言おうと私は可愛いし、私たちは可愛いんだよ。

今、私は男の子みたいに髪を短くして、生まれつきの癖っ毛をそのままにくるくるさせて、いろんな色のアイシャドウを塗ってアイラインをきつく引いて、睫毛を上に向けて、真っ赤なリップを塗ったりする。そうやって街を歩く。好きな色のリップを塗ると強くなれた気がする。つまらないジャッジメントなんて全部蹴散らしてしまえる気がする。だけどメイクをしないこともある。それでいい、メイクをしたってしてなくたって全部私だから。私は私の一番好きな私になるために髪型を変えたりメイクを変えたり服を変えたりするけれど、全部私だし、全部可愛いし全部美しい。誰が何と言おうと。私も可愛いしあの子も可愛いしあなたも可愛いよ。どうかどうか、あなたのことをよく知りもしない誰かに簡単に呪われたりしないで。

あの頃の私に会えたら、教えてあげたいことがたくさんある。でもあの頃の私にはもう二度と会えないから、あの頃の私がいつか救われるようにって思いながら大好きなリップを強く塗る。