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モロッコで過ごした2週間の記憶が、9年経った今も強烈に心に残っている理由。

何年経ってもずっと忘れられない記憶がある。
私にとっての旅の原体験は、マラケシュ、エッサウィラ、サハラ砂漠、フェズ、シャウエンと周遊したモロッコ旅行です。

それ以前も何度も旅をしていた中で、ここまで記憶に残ることになったのは、「喜怒哀楽」が全部詰まったそれはそれは濃い日々だったから。そして、旅行後に自分の体験を発信したことで喜んでくれる人がいる。と実感できた初めての旅行だったから。

このnoteでは9年が経過した今、心を揺さぶられたモロッコでの特別な約2週間のことと、自分の今にどう繋がった旅なのかを改めて振り返ります。

サハラ砂漠へ
マラケシュのマジョレル庭園にて

ロンドンからマラケシュへ!初めてのイスラムの国

2014年の6月、ロンドンでの2年間のワーキングホリデーを終え、初めてのイスラムの国への旅行にワクワクしながらマラケシュの空港に降り立ちました。

フライトは夜でロンドンとは比べ物にならないくらい暗く、オレンジの街灯が妙に異国感を醸し出していて最初から不安になる私・・。
ホステルに事前に送迎をお願いしていたので、空港でドライバーさんと落ち合いホステルに向かう道中も、とにかく警戒心丸出し。

ホステルの近くに着き、これ以上車では入れないので迷路のように細い道を歩いてホステルへ向かう私とドライバーさん。
どこか変なところに連れていかれるのでは、と今となってはすごく失礼なことをずっと考えていたら到着した。普通の良いドライバーさんでした。ありがとう。(笑)

ドアを開けると広がっていたのは、とっても開放的で素敵な庭があるリヤドホステル。モロッコにきた実感が急に湧いてきて、さっきまでの低いテンションが一気に上がった瞬間だった。

ホステルの色使いがとっても可愛かった
吹き抜けの広い室内
イスラムのデザインが新鮮で素敵

世界一周中の友人が後から合流することになっていたので、数日は一人で過ごす予定だったけれど、ホステルに泊まっていたフランス人の女の子二人組がモロッコに慣れているようで、一緒に観光することに。

モロッコは以前フランスの保護領だったことからフランス語ができる人も多く、フランス人のバケーション先として人気なのだと教えてもらった。

タクシーの交渉なんかも全部してくれて頼もしい二人。
こういう一期一会に出会えるから、ホステル滞在は面白い。

イブサンローランの庭にて

モロッコで記憶に残っているのは、オレンジ色の街灯の光。
フナ広場も例にもれず、陽が落ちてくるにつれて屋台にオレンジ色の光が灯り始める。

夜にかけて集まってくる人と、暖かいオレンジの光
ジャマエルフナ広場と三日月

だだっ広い広場に続々と人が集まり始め、あっという間にマーケットが出来上がっていく。
ヘナタトゥーやお菓子を荷台に乗せて売りあるく人、釣りゲームのような屋台を始める人。コブラ使いまでもいた。この目でコブラ使いをみることになるとは相当異国に来たな。と最高に面白かった。

一人で歩いていると、日本語での屋台の客引きの始まり。
「ミヤサコデス!」
「ソンナノカンケーネー!」
をひたすら連呼してくるモロッコ人。(笑)

とうの昔にブームは去っているのに、モロッコでそのフレーズを聞くとは。
無視はできずに微笑みで答えたのでした。

何に集まっていたんだろう・・?

ロンドンや東京の活気とは全く違う雰囲気のフナ広場の活気。
昼にも増して異国情緒があふれる夜、それぞれの屋台に灯されたオレンジ色がなぜか不思議なことに、私に落ち着きを与えてくれた。

活気溢れる市場

モロッコにも海がある、エッサウィラ

モロッコ最大の都市マラケシュから車で3時間のところに、海の街エッサウィラがある。
マラケシュに6日滞在した後のエッサウィラ訪問。
土、砂といったイメージから離れた海への対面は、心も開放された気がしてとても気持ちが良かった。

飛び交うカモメ

港町だからか人の流れがゆったりしていて、旧市街は2時間もあれば回れてしまうこじんまりとした街だった。
マラケシュではあまり見られないストリートアートもたくさんあって、自由の風を感じた。

ストリートアートもモロッコテイスト

海沿いには漁猟のためのボートが並び、新鮮な海鮮物を食べる。という訪問の1番の目的にも期待が高まる。
市場には獲れたての魚を売る市場が点在していて、値段交渉をした後に隣接しているレストランで調理してもらい、出来立てが食べられるという仕組み。

こんな感じの青い船がたくさん沿岸にとまっていた
漁師さん・・?

店員さんが手際よく特製のソースを塗り直火で調理してしてくれ、皿いっぱいの焼きたてのイワシが運ばれてきた。
身はホクホクで川はパリパリ。箸やフォーク、ナイフなんてものは使わず、手でかぶりついた。
マラケシュではひたすらクスクスとタジン鍋だけを食べて過ごしていたので、肉に飽きていたところの魚介は、より一層美味しく感じられた。

その場で魚を焼いてくれる店員さん

いざサハラ砂漠へ

モロッコに来た最大の目的、それはサハラ砂漠に行くこと。
ホステルが手配してくれたツアーに参加し、世界中から集まった旅人達と一緒にバスで出発した。

マラケシュからサハラ砂漠に行くには山を越え、幾つもの街を通り過ぎる。窓の外に広がる赤土色の大地や、土色の街、壮大な自然から目が離せなかった。
ある時は自然の迫力にわぁと声をあげたり、またある時にはじっとその光景を眺めて心に焼き付けたりした。

ツアーに参加したみんなで記念撮影
崖の上のホテル
モロッコの山々
リアルとは思えない景色。無言で見入った。

そうしてマラケシュから二日かけて移動し、ついにサハラ砂漠にやってきた。
すでにラクダ達が私たちの到着を静かに待っていて、一泊分の荷物だけをバックパックに詰めてラクダにまたがり、総勢30名を超えるキャラバンはいざサハラ砂漠にあるキャンプに向けて歩き出した。

ラクダの乗りごごちは正直決して良くはなく、次の日お尻や内腿がとんでもなく筋肉痛になったのは笑える話。

私たちのキャラバン

砂漠の砂は黄金色で、沈みかけの太陽に照らされ一層輝いていた。
風が作り出した砂の波は、一面同じに見えるようでそうではない。
また違う風が吹いたら二度と同じ模様は見られない。とても儚くて美しかった。

サハラ砂漠

出発してはじめの方は写真を撮ったりして盛り上がっていたけれど、
しばらくすると砂漠の静けさがとても心地良くなってきた。

聞こえてくるのはラクダが砂の上を歩く音と、少しのみんなの声。
一番は、今この瞬間を楽しんでいる自分の心の声。

ただ砂漠が360度広がっているだけで、集中力を遮るものは何もない。自分が感じていることがクリアに伝わってきて、それに気づかずにはいられなかった。

砂漠にうつるキャラバンの影

無事キャンプに到着し、やっとラクダから降りられた時の開放感。
みんなでタジン鍋を囲んで食べたこと。
キャンプの真ん中に布団を敷いて寝っ転がりながら見た流れ星と満点の星・・。

地球のどこにいても見ることができて、これまでも見てきたはずなのに、この時の夜空と星達は、まるで別物のように心に残っている。
自分がサハラ砂漠にいたことは一生忘れられない思い出になるのだろうなと思いながら、眠りについた。

ラクダを率いるガイドさん

朝起きて、すぐにラクダに乗って来た道を引き返す。
ラクダはとても大人しく、砂漠の静寂を保っていた。

荷物を全て外されて悠々と歩くラクダ

モロッコの古都、フェズ

砂漠を後にし、他の旅人とタクシーをシェアして向かったのはフェズ。
ベンツのタクシーに括りつけられた私の赤いスーツケースは、灼熱の太陽のもと、しっかり紐の日焼けをしていて後から笑ってしまった。

砂漠ツアーで一緒になった旅人とタクシーをシェアしてフェズに向かう。
トランクに入らずルーフにくくりつけられた私のスーツケース。
数時間のドライブで見事に紐模様に日焼けした。スーツケースが日焼けすることに衝撃。笑

フェズといえば、モロッコのカサブランカに長く住んでいたフランス人の友人がこう言っていた。

「マラケシュは面白いけれど観光地化しすぎている。フェズはもっとローカルの人々の生活を見ることができるし、本当のモロッコが感じられるよ」と。

フェズの旧市街の入り口で滞在予定のホステルのスタッフと落ち合った。後ろに続いてどんどん奥に進んでいく。メディナ(旧市街)の中はとても入り組んでいて、道とはいえないような路地や細い道が張り巡らされていた。
右に曲がり、左に曲がり、また曲がる。

今来た道を一人で戻れと言われたら絶対に辿り着けない。両脇にはじっくり立ち止まって見たいお店が並んでいたが、まずはスタッフを見失わないようにと着いていった。

何気ない色使いやデザインも素敵なモロッコ
街に溶け込むロバ

フェズのメディナは迷路と言われている。
そういわれる理由はすでに実感していたが、自分で散策してさらに納得した。
ここでは地図は頼りにならないので、元来た道に戻れたらラッキーという感じで同じ道を行ったり来たり。

広場では服や靴、日用品のフリーマーケットが開かれ、現地の人がたくさん買い物をしていた。マラケシュでは不思議とあまり会うことがなかったモロッコ人の女性が買い物をする姿も普通に見ることができた。

街を歩いていて、フランス人の友人を思い出し、彼が言っていたことは本当だと実感した。

昼から女性が歩いてるのはマラケシュではあまり見なかった光景

フェズに来たなら行っておきたい場所がある。

タンネリというなめし革染色職人街である。
500年前から同じ製法を維持し続け、一つ一つ手作業で良質な革製品を作っている。作業場は圧巻の景色でぜひ見てみてほしい。

フェズは昔ながらの伝統を守る落ち着いた街という印象を持った。
京都と同じような、古都といったところだろうか。

タンネリ
少し匂いがきついので、ミントを嗅ぎながら見学します。

海の中にいるような、シャウエンの街

マラケシュから始まったモロッコの旅もシャウエンで終わりを迎える。
青の街として知られ、そこに住む人々は昔ながらの生活を維持しつつ、多くの観光客をも魅了し続けるシャウエン。

なぜ青なのかについては諸説あるが、ユダヤ教徒が以前この地に住んでいたことがあり、ユダヤ教のカラーである青が現在も守られているようだった。

メディナに入ってみると本当に目に入る色は青ばかり。
路地や家のドア、屋根まで至る所が青に塗られ、まるで海の中にいるような気持ちになる。

まるで海の中にいるようなシャウエン
青の玄関
野菜を売る女性

ここシャウエンで、私と友人は反省をすることになる。
本当に私たちの不注意なのだけれど、暑さに負けてイスラム教の国だというのに、足丸出しのショートパンツで観光していた・・。

細い路地を歩いていると、背丈は私たちよりも少し大きかったが若い男の子が友人に話しかけてきた。私は気にせず先にどんどん歩いていたら、ちょっとした叫び声が聞こえて振り返ると、なんと友人がその子に掴まれて襲われそうになっていた・・!

私はとっさに「F**K YOU!!!!!!!!!!」と叫びながら全速力で走って追い払った。

本当にびっくりしてすぐに宿に戻って着替えたけれど、モロッコでFワードを叫びながら痴漢を撃退することになろうとは。
イスラム教の国ということに配慮していなかったことを本当に反省した日だった・・。

青とのコントラストが好きな一枚

シャウエンはこれまで訪れた街の中でもっとも可愛らしく、おとぎ話の舞台になりそうな不思議な街だった。

メディアではわざと迷子になり、宝探しをするような子供に戻り見たことのない一面の青の世界を楽しんだ。

ここに住む人にとっては日常の風景でもあるということ

旅行後に、モロッコ旅行記を作ったこと

私はこの旅を通して、改めて世界には知らないことがたくさんあって面白いな!と感じたと同時に、この体験を自分だけで留めておくには勿体無い。と強く思ったことを覚えています。

そして帰国後に冊子にしてみようと旅行記を作り、家族や友人にプレゼントした。確か10冊くらいしか印刷はしなかったので、今では超プレミアものの大切な宝物。

私の写真と文章で作ったオリジナルの15ページのモロッコ冊子は大好評で、9年経った今でも素敵だったと感想を言ってくれる人がいる。

私の旅行体験が誰かにとっての刺激や感動につながったと実感できた原体験だった。
だからこそ、このモロッコ旅行は私にとってこんなにも特別なのだ。

自分で編集したMOROCCO旅行記

その後はなぜか他の旅先についての旅行記を作ることはなかったけれど、誰かにとって旅に出るきっかけとなったり、ワクワクしてもらえる情報を伝えたい。という私の想いは、完全にモロッコから始まった。

これからも、私は旅行の魅力について発信し続け、
旅行に行ってみよう!と誰かの背中が押せるような文章を書き続けたい。

ここまで読んでくれてありがとう。
あなたの人生にも何か刺激を与えてくれるかもしれないモロッコ、ぜひいつか訪れて欲しい。

スペインのタリファへ向かうフェリーから、モロッコへ別れを告げた。


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