見出し画像

プロカウンセラーの聞く技術 東山紘久著(ブックレビュー)

プロカウンセラーの聞く技術
東山紘久 著

あぁ、私は今までいかに
自分のことばかり話してきたんだろうか。

悩んでいる人を前にして
解決策を提示しようとしてしまう私は
もしかしたら男脳なのかもしれない。

話し方が9割とか
質問力とか
そんな本はよく目に留まるけれど

聞く力をつけようと思ったのは
誰かの悩み解決に向かうような
カウンセリングのようなことを
してみたいと思ったから。

今までも、心理学に触れてみたり
傾聴ボランティアの真似事のようなものに参加したり
友人・知人の悩みにアドバイスしようとしてみたりしたんだけど
そして、似たような本を過去に読んだこともある気がするんだけど...

何もわかっていなかった。

私は小さなお店を経営していて
つい先日常連のママさんがやってきて
まだ小さいお子さんの癇癪について
込み上げてくる想いがあったようで
涙を流しながら、私に話をしてくれた。
そのママさんに私は
寄り添って話を聴くどころか...

「うちの子も昔はよく癇癪を起こしてたけど
今はずいぶんおさまったよー」って
自分の体験談や
アドバイスめいたことを
伝えて、満足してしまっていた。

あぁ、なんて愚かな対応をしてしまったんだろう。
そんな戒めもあり、この本を読んでみたら
いかに自分が間違っていたのか
よくわかった。

私は何も聴けてはいなかった。
その件だけでなく、今までもずっと。

子どもたちの、「ねぇ、ママ」も
夫が話し出した時も
手を止めて、聞くことに集中していなかった。

人と話すときは
話が途切れるのが怖くて
次の話題や質問を頭の中でいつも考えていた。
それが話のキャッチボールだと
思い込んでいた。
それは、雑談力ではあったかもしれないけれど
そんな私に、誰も大切な相談などは
持ちかけないだろう...。
仏様のように、ひたすらひとの話を聞けるのが「カウンセラー」なんだとわかった。

解決策は相談者が話す中で
自ずと出てくるのだそうだ。
カウンセラーはただ
その舵取りをするだけなんだそうだ。

この本を読んで
よし、今日は聞く方に集中しよう!
と意気込んでも
これがなかなか難しい。

沈黙が気まずく、
聞かれてもいないのに
自分のことばかり話してしまう。

ねえ、ママ、聞いてる?
怒られてしまう。

一朝一夕では身につかない「聞く技術」
カウンセラーならずとも
ビジネスの場や家庭でも
大切なスキルだと思う。

話す、聞く、書く、伝える。
コミュニケーションって難しいけれど
AIにはできないであろう
「心を通わせる」ことは
人間ならではの温かみ。

この書籍の英題は
「The Art of Listening」

Skillでなく、Artと表記されているのが
美しく奥深い一冊だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?