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ラブコンテンツにみるアイディアの考え方③スライス・オブ・シーン 恋する広告17

こんにちは。コンテンツプランナーの土田です。

アイディアを生み出すときは、ある種の思考のフレーム。
前回の①最大化、最小化 ②パロディに続いて取り上げるのは
「スライス・オブ・シーン」。

■スライス・オブ・シーン
その名の通り1シーンを切り取る、
そのリアリティで訴求するCM制作の思考法で、
これは一見ラブコンテンツとして相性がよさそうですが果たして…?

パターン①月桂冠 CM名不明

https://www.youtube.com/watch?v=2zVTliiglFk&t=11s

まさにスライスオブシーン。
夫婦の何気ない日常(心情を投影したものもあります)を描きながら、

・夫婦のつぎは、何になろう。
・私の趣味は、あなたです。

上記のような、新たな気付きを与えるコピーで締める。
安藤裕子の楽曲も繊細でありながら強く繋がった夫婦の絆を体現しています。

そう、スライス・オブ・シーンでは、
新しい気付きや価値観を与えるコピーが必要なのです。

パターン②トヨタ自動車 PASSO×テラスハウス 最後の恋篇

https://www.youtube.com/watch?time_continue=33&v=XcLmFDkRUjU

これはドライブデートのワンシーンであると同時に、
TV番組『テラスハウス』のワンシーンである二重の意味でのスライス・オブ・シーンですね。

この場合は番組コンテンツの延長で見せるものなので、
ハッとさせるようなコピーは不要でしょう。
(プロダクトプレイスメントでは溶けこませることが大切です。)
でも、こういう番組の延長上のCM、減った気がするなぁ。

パターン③大和ハウス 言えない篇

https://www.youtube.com/watch?v=xFahtUea8rQ

こちらもスライス・オブ・シーンですが、ちょっと変形型。

「天井まで高い家にして、ほんとよかったわね~」
これまでであれば、天井の高さを訴求点として、
天井が高いことによる夫婦のワンシーンを描くでしょう。

しかし、よくあるスライス・オブ・シーンと思わせて、
それを逆手に取って「実は低いほうが良かった」という
夫が悩みを言えない絶妙なパワーバランスを描く。

これもまた一つのスライス・オブ・シーン。

大和ハウスの『言えない篇』にもあるように、
通常のスライス・オブ・シーンではよくあるCMになってしまう。
そこでタレントか、音楽か、コピーか、
意外なものを掛け合わさないとスライス・オブ・シーンとして成立しにくいことを考えると、ラブコンテンツとして非常に奥が深い思考法といえるでしょう。