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キャッチコピーから見る、変わっていく恋と愛 2000年代編 恋する広告12

時代によって変わっていく恋愛観について考える
「キャッチコピーから知る、変わっていく恋と愛」
このシリーズも今回で3回目。

新たな世紀を迎えた日本の恋や愛は、
どのようにキャッチコピーに変わっていったのでしょうか。

宝島社の「おじいちゃんにも、セックスを」を髣髴させる、
エッジの効いたキャッチコピー。
確かに!男なら思わずと納得しながら爆笑してしまう、
そんなキャッチコピーです。

大企業ではなく小さな風俗店が広告賞(こちらはTCC)を獲ることに、
時代が広がり始めた印象を感じます。

結婚相談サービスオーネットのコピー。
女性の恋愛感の変化し始めたことの象徴でしょうか。
待つだけの恋から自らが探しに行く愛へ。
今となっては当たり前の存在となった結婚相談所も、
このころから日に当たるようになったのでしょうか。

終身雇用制が崩壊し、派遣社員が増加した2000年代には
格差社会を産む土壌になったといわれています。
そんな価値観の転換を恋愛に例えたコピーですね。

男はつらいよ 全48作の記念盤のコピー。
今や必需品とも言える携帯電話が普及したことが読み取れます。
それがなかった時代を熱く生き抜いた寅さんだから言える言葉ですね。

さて、より現代のライフスタイルに近づく2000年代後半、
どんな恋愛コピーが支持されたのはこんなキャッチコピー達でした。

勝負下着で挑発するのではなく、花で想いを伝える。
どこか優しさが必要とされているような、
そんな背景が見えるコピーです。

失恋休暇なんてものはないけれど、
そんな新しい休みがあってもいい。
労働に対する考え方の変化を感じる、
そして個人の価値観を尊重してもらえるようなコピー。

結婚は義務でもゴールではなくなって、
もっとシンプルな目的のもとに集約されていく。
ただ好きだから、楽しいから一緒にいるのだということが
当時の女性達の背中を押すライフスタイル誌の世界観を表現しています。

当たり前のことなんですよね、
でも意外と気がつきにくいことなんです。
「肌」と人との親しみを重ね、
大切な人のために肌をきれいにする。
そんな想いや優しさが商品にマッチしています。

次は2010年代。
ラストイヤーである2019年までに、
どのような恋愛コピーが生まれ、
どんな変化を象徴しているのでしょうか。