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雨の土曜日。マフィンと本。

夜の、そこそこいつも通りくらいに混んでいる道を運転するのがすきだ。車のテールランプが灯っているのを見るのが、僕はすきなのだ。あのぼんやりと滲んだ赤い色が、僕にクオリア感をもたらす。

だから、適度に道が混んでて、ブレーキランプが点いたり消えたりするとなおいいですね。

夜ねる時には、明日は朝4時に起きて書こう、村上春樹のように4時に起きて書くルーティンを今度こそ始めよう、と思うんだけど、起きれません。週末の朝はめちゃ貴重なのに、起きれません。

朝4時に起きて書く。そこはもう、別世界のように映るんだけど到達できない。

友達のクロッキーのモデルに、よくなるんです。そいつと昼飯いっしょだと、そいつはたいていクロッキー帳、あのマルマンのクロッキー帳を抱えて現れて、それはもうすでに一つの絵になっているんですが、彼はいつでもクロッキーの素材を求めている。

人物であることが望ましい。かといって、知らない人を描くのは勝手にはできないし、めんどうなので、知人であればよいというわけです。僕ももう何度もモデルになっています。モデルといっても、全然たいしたことしなくてよく、ただ座って本を読んでるとか、スマホを見てればいいんですが、スマホだと、なんというか、ちょっとそれこそ映えないらしい。

で、スタバとかのカフェであれば、僕らはたいてい外のテラス席に座り、僕は眼鏡をかけて本を広げ、ちょっと難しくするために片足を立てて行儀悪く座ったりする。足がね、曲がっているといい感じの絵になるみたいなんです。あくまで、僕の感想なんですが。

僕じしんは、なんというか、昔風の体形で、まったくスタイルもよくなくって、たいした風貌ではないんですが、絵に描かれた自分はなぜだか、いい感じなんです。友達の腕がいいってことなんでしょうが、足とか手とかの曲がり具合、くるぶしがちょっと服の裾から覗いている感じとかが、いい感じなんです。感じ、感じを連発してますね。ともかく、感想としては、小学生の感想みたいですが、いいね、としかいいようがない。

で、クロッキーって、ザザっと描く練習なんですよね。それで、僕の風貌とかのディティールはほぼ反映されない。それで、僕も安心してモデルになる。むしろ、すすんで描いてもらいたいとすら思う。この素材からどんなのが出来るの? と毎回楽しみですらあるんです。

友達は言うんですよ、お前、写真とか撮られるの嫌がるのに、変わってんなって。いや確かに。つうか、写真はほんとに嫌で、避けてるんですが、絵に描かれている人物はもはや僕ではない感じがして、おもしろい。同時に、あー、確かにこういう姿勢してるな、自分、と納得することもあって、おもしろい。

あと、多分、たんにカメラ目線でないからいい。目線きてないから。

三浦俊彦の『エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える』という本を昨日から読んでいます。そのなかに、「フィクション」と「シミュレーション」という概念が出てきます。これら二つは対立する概念としてここでは措定そていされる。

で、驚いたのは、僕はフィクションの定義をどうやらわりと誤っていたんじゃないか、ということです。フィクションでは、手作業のいちいちが、制作物に直接の痕跡となって残る。だから設計図を用意できる、と書いてあるんですが、僕は果たしてこの痕跡、爪痕を残すための設計図を用意していただろうか? 心臓がどきんとしました。それに何より、僕はちゃんと痕跡を残しているのだろうか?

フィクション性が強いのは、まんが、小説、コンピュータゲーム、建築、絵画、彫刻、映画、編み物、ファッションなどなど。

対するシミュレーションですが、書くのはレシピだけ。一回ごとに何が出来るかコントロールできない。シミュレーション性が強いのは、造園、陶芸、花火、料理とあって、育児もそうなんだそうです。それから、写真。

僕が小説のつもりで書いていたことは、シミュレーション側寄りの行為だったかもしれない。とは言え、なんかまだ、よくわからない。

該当する部分を何度か読んでみたけど、まだすんなりと理解できないので、本を持って外へ出かけることにしました。読む場所が変わると、違う気持ちで読めるから。

CAINSの中にあるCAFE BRICCOでマフィンを買おうと思って、列に並んだけど、なかなか進まなくてだいぶ待たされた。まぁ、待ってる間にどれにするかさんざん悩めたので、よしとしよう。アップルカスタードと、ブルーベリーチーズとフォンダンショコラにした。ホームセンターになぜまたマフィン屋が? と思うけど、あの香りはいかんね、買ってしまうね。

雨だ。静かだけど、たっぷり降っている雨。僕は久しぶりに傘をさした。

今日はいちにち、何だかslow/ lowだ。生産的なことを何もやっていないような気がしてしまう。本当はそうでなくても、手ごたえゼロ、そんな日がありますよね? 周りの人がクリエイティヴに見えてしまう、ってな日が。人と比べちゃいかんね。もういいや。マフィンを食べながらうたた寝をしよう。

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