村上春樹小説に漂う〈愚者崇拝〉
知人のAの話をしよう。Aは極めてエキセントリックな質で、僕はAについて書いているうちに、まるで小説世界の人物のことを書いているような気持ちになる。じつのところ、そうであってもおかしくはない。
xenophobia/ 外国人嫌い/ という単語がありますが、その亜種として、シダ植物嫌いがあるのじゃないか? Aは、シダの類が繁茂するのを極度に憎み、刈り取って回る。Aはほかにもイノシシが嫌いで、戸別訪問する宣教師のグループも嫌いだ。Aにとっては、外国人も、シダ植物も、イノシシも、宣