ドラゴンクエスト2(ファミコン版)のプレイ感想

2023.1.8
まさに紙一重の差というべきか、SFC版との難易度の差はほんの僅かな要素の積み重ねで起きるのだろう。種や木の実によるステータスの僅かな違い、装備品の違い、敵のステータスと行動の違い、呪文の仕様の少しの変更…。それらが積み重なって、この2つのゲームを全く違う難しさにしている。余裕が全く無いのだ。常にギリギリの死線を攻めて来る。冒険も音楽もそれはとても心躍る楽しい旅には違いないが、戦闘のバランスはそれと程遠いものだ。
特に酷いのは、集中攻撃や前後列概念の無さで、あっという間に死者が出ることだ。拠点の近くであれば、立て直しは可能で、資金は必要だが何とかなる。しかし、ダンジョンでこれをやられると、撤退の必要が出てくる。常に撤退を意識して戦略を組まなくては、全滅ゲームになる。それでもいずれは強くなるため、全滅しなくなっていく。このシビアなバランスはまさにⅠ譲りで、あの一瞬の油断、一つの戦術ミスが全てを水泡に帰す難しさを、パーティ単位で再現している。
このゲームはギャンブル要素がとても強いが、キャラクターを強化することでギャンブルに勝てるようになる。だから、キャラクターを強化するモチベーションを維持することが可能で、故に中毒性が高いゲームと言うことが出来るのではないか。

2023.1.12
ロンダルキア着。
運よくブリザードに会わず洞窟ではキラーマシーンこそ出なかったが、ドラゴン4匹に王女を殺され、全滅しかけるも一体ずつ何とか倒せて切り抜けた。最強装備と羽衣2着、ルートを知っていてもかなり際どいLV23での突貫。
だが満月の塔で経験値200に満たない敵から逃げつつはぐれメタルを狩るのはかなりしんどい。サイクロプス3体から600以上の経験値をもらって、突貫でもロンダルキアに来たのは正解だと思った。
現在の経験値は7~8万。ここから、シドーに勝ち目があるだろうLV35までは経験値にして30万というところか。1戦闘平均1000として、300回。1戦闘の時間を1分として300分、5時間のレベル上げ。まぁここまで無理をして突撃進行だったので、ラストとしては仕方ないレベルだろう。
行動順が不明瞭な本作では、どうしても死者が出やすい。予測回復がしにくく、先制回復も後攻回復も決まりにくいから、敵の力を十分に上回らないと安定して勝つことはできない。シドーは、はぐれメタルの守備力を持ち、ベホマを使うようだ。その率脅威の1/4!これは4撃で仕留められる攻撃力を持っていないと簡単に泥沼試合になるということだろう。ローレシア王子の打撃だけだと、最大攻撃力が必要ということになる。はかぶさを解禁するなら2撃で仕留めることも可能であり、ほぼ確実に勝てそうだ。

2023.1.13
ロンダルキアに到着し、主に南側でレベル上げ。桁外れの強さだった。今までプレイした全RPGの中で最高に難しい一本だと言える。
ブリザードは噂通りザラキで瞬殺してくる。使用頻度も高い。最大出現数は3体で、死者が出る確率はかなり高い。おまけにみかわし率が高く呪文にも耐性があると最悪の能力。
シルバーデビルは甘い息でやたら眠らせてくる。ベギラマで地味に削ってくるのはともかく、キラーマシーンと一緒に出て、動きを止めた後でキラーマシーンに斬られまくるのは辛い。補助呪文は殆ど効かない代わりに攻撃呪文は効きやすい。
キラーマシーンは地味に強いし、たまの痛恨が痛い。
サイクロプスはカモかと思いきや、痛恨で殺してくるので危険。ただ、ザラキが高確率で効くので覚えているとラク。ラリホーも効きやすい。
アークデーモンは極めて強力なイオナズンと2回攻撃。おまけに固い。総力を上げて攻撃し、殺される前に殺すしかない。
ギガンテスは補助呪文が効かない上、痛恨の頻度が高くバンバン殺してくる。しかも素早い。ヤメテ。
LV23で突っ込んだわけで、サマルはザラキ、ザオリクを使えず、ムーンはイオナズンを使えないため、非常に苦戦した。
LV27に上がったため、上記の呪文は全て習得でき、かなり楽に狩れるようにはなったが、一撃必殺のザラキや痛恨使いが多くて、ロンダルキアの戦いは非常にリスクが高い。
そのため、途中からロンダルキアへの洞窟でのレベル上げを試した。こちらはここまでのヤバい連中がおらず、安定して稼げる上、はぐれメタルを1~2撃で狩れるため、上手くいくとかなり効率的。
それにしても、蘇生手段が後発タイトルと比べて少ないのに、バンバン死ぬ。今までで一番蘇生費用が掛かったタイトルになりそう。やっとザオリクを覚えたので少し楽だが、それでもサマルが死んだら、1枚の世界樹の葉だけが蘇生手段とは。羽衣2着使ってここまで辛いのだから、攻略情報なしで挑んだ人はすごい。
あとは破壊はやぶさの剣を作るかどうか、悩む。シドー戦はこの難易度で挑んでみたい気もする。LV27でもかなり強くなった感じはする。余裕は無いが、ロンダルキアの魔物を何とか倒せる程度。何度か挑戦すればシドーも倒せるかもしれない。安全を見るなら、最低でもLV30はあるといいと思う。出来ればLV35あればほぼ確実に破壊はやぶさなしで勝てそうだ。

2023.1.16
LV30まで上げた。これは辛い。敵が強い。ブリザードのザラキとギガンテスの痛恨で1回、ブリザード3体のザラキで1回、デビルロードのメガンテで1回全滅した。
シルバーデビルも手強く、眠らせてのベギラマでどうしようもなくなる。キラーマシーンが可愛く見えるほど。
ロンダルキアへの洞窟でも上げたが、ドラゴン4体が手強いのと、メイジバピラスは呪文が効きにくい割に、経験値ははぐれメタルを除くと低い。はぐれを1撃で狩れるようになったら、悪くはないかもしれない。
本当に、難しいというより、厳しいバランス。全滅は基本だと思って繰り返し戦闘をするしか、強化の早道はなさそう。
アークデーモンはたしかに強いが、不意打ちや回復漏れが無ければ、まだ扱いやすい。ザラキ、メガンテ、痛恨に先制を混ぜて瞬殺してくるやつらが一番怖い。
ブリザードにデビルロード、ギガンテスにキラーマシーンにサイクロプス。そして眠らせて来るシルバーデビルとデビルロード。
デビルロードは全員呪文を封じるまでは全体攻撃などしないほうがいい。一撃で全滅するので強烈。ゴールドはもう殆ど必要ないとはいえ、しない方が手間はない。
神殿に行き幻影を破れないことを確認したので、一度降りてルビスのまもりを取った。マップも広くて海が分かりづらい。

カギの使いにくさと種類の多さ、持ち物欄の厳しさ、バリアによる移動のし難さ、ルーラ行先指定不可による交通の不便さ、海の目的地への行きにくさ、敵の即死攻撃の酷さ、味方の復活手段の少なさ、行動順の不安定さ、復活の呪文の長さなど、なぜこのゲームはこれほどまでにユーザーアンフレンドリーかつ超絶難度なのか?戦略的思考と3人で協力するスタイルはとても面白いのだが、ここまでプレイヤーにストイックな攻略を強いるのは独特。
それでも何とかレベルが上がってきた。ローレ30サマル28ムーン23で、メガンテとアバカムも覚えた。ローレは攻撃200を超え、やっとシドーへのダメージ通りが見えてきた。100△64だと36で、250のHPを削るには連続で7回の攻撃を当てなければならず、ベホマ使用率が1/4というのはかなりギャンブルに近い。だが、前衛3人への挑戦もかねて、一度挑んでみよう。
このゲームの難しさは、全員で挑んでやっと倒せるくらい敵が強いのに、簡単に一人、また一人と倒されていくバランスだ。そして復活の手段は乏しい。つまり、一人死ぬと、全滅のリスクが高くなり、逃げられないとさらに危険で、さらに復活できずに撤退しなければいけない場合が多いことだ。一人でも欠けると勝つことが大幅に難しくなるのに、簡単に殺される。これはどんなにパーティが強くなっても変わらない。少なくても即死攻撃については。
今までプレイしたRPGではもう少しリスクに対する遊びとリカバリーの便宜があった。また、攻略法がある程度はっきりしている場合が多かった。このゲームは先述のように殆どバランスに遊びがなく、ギリギリであり、リカバリー手段も乏しく、ほぼ一人死ぬと撤退を考えなくてはいけない。また、即死攻撃(ザラキ、メガンテ、多くの痛恨の一撃)を使う敵がロンダルキア付近からゴロゴロ出現し、安定した勝ちパターンを組むのがかなり難しい。全ての戦いが作業ではなく、のるかそるかの命がけの勝負であり、単なる経験値稼ぎの雑魚戦というのは、挑戦中エリアの一つ前のエリアに戻らないと不可能だ。
これが噂に高いFCドラクエ2の恐怖の難度バランスなのかと、ロンダルキアにしてやっと思い知った。兆候は、ゴーゴンヘッドの異様な固さ、死神の痛恨、キラータイガーの集中攻撃などから見えており、ロンダルキアへの洞窟のドラゴン4体のこれでもかと吐いてくる連続炎、固すぎるキラーマシーンなどにも表れていたが、最後に近付いてそれが顕著になってきた。
神殿に入るのが躊躇われる。悪魔神官でさえ恐ろしい。最強3体、そしてシドーは果たしてどれ程の強さを誇るのか?レベルを上げて再挑戦すれば勝てるのだろうが、はかぶさを解禁するかもしれない。

2023.1.18
クリアーした。ローレLV31稲妻の剣、サマルLV29水の羽衣、ムーンLV23水の羽衣。
道中が一番大変で、ブリザード軍団に壊滅させられ、アークデーモン&デビルロードに全滅させられ、何度も撤退を余儀なくされた。
アトラスは戦術を知っていたので、初ターン防御からのヒット&防御&回復で難なくクリアー。
バズズにはラリホーが1回目で効き、集中攻撃で倒せた。
ベリアルが難関で、頻繁に唱えるベホマが最悪。ローレの打撃もさほどダメージを与えられないのに、全回復で仕切り直しになること数回。2回攻撃の威力が高く、ムーンが沈み、次いでサマルも死んだ。全滅かと思われたが、ギリギリベホマの前にローレの打撃で沈んだ。MPも突きかけていたので一時撤退。最後までキメラのつばさのお世話になった。
再挑戦ではMP消費50程度でハーゴンに到達。道中は全逃げだった。
ハーゴンはマホトーンがすぐに効いて、2回攻撃にはヒヤッとさせられるも撃破。インターバルがあるのがありがたい。全回復させる。
初のシドー戦。作戦はルカナンとスクルトで体勢を整えるまでは防御と回復。初ターンからベホマをかましてくる。2ターン目では眠り攻撃がサマルにヒット、ダメージは80程度。防御回復をさせない良い手だ。だが、ベホマを使うなど詰めが甘い。その間に回復させ、ルカナンでさらに守備力を落とす。準備ができたら攻撃に転じる。ローレの打撃のみに全てを懸けて、2人は回復に専念する。与ダメージは約70。4ターン連続で当てれば勝てる。何とかベホマ使用せず撃破。それ程苦戦せず、死人も出なかった。やはり、ベホマの無意味なターン消費が大きかった。ルカナンが効くので、与ダメージ不足は想定ほど問題にならなかった。水の羽衣を2着使っているので、炎のダメージが少なくなっているのも要因だった。
エンディング。各地の人たちはメモリの都合で殆ど同じセリフ。全域を周るが、意味のあるのはデルコンダル王、ラダトーム王、竜王、ムーンブルク王、サマルトリア王と妹、ローレシアくらい。王女の台詞には、主人公にとってのⅠのローラ姫的な役割があったんだなと思う。サマルの台詞のあっさり感。終了。

ここまで厳しいシステムのRPGはコンシューマー機では稀なのではないか、そう思わされた。原因を列挙するなら、概ね以下のようになる。
・一撃で戦闘不能に陥れて来る攻撃手段を当たり前のように使ってくる。蘇生しなくては続行困難な戦力であるのに、蘇生手段が極めて乏しく、つまり撤退するしかなくなる。
・レベルを上げても、一撃死に対しては殆ど対策できない。痛恨に耐えるHPを得るくらいしか、直接的な対抗手段がない。ザラキ、メガンテにはお手上げで、戦術的対策しかない。
・戦術として、危険な敵を全力で倒す、メガンテ使いにはマホトーンを掛けてから攻撃する、とにかく逃げる、などがあるが、失敗のリスクもあるし雑魚戦としてはかなり面倒くさい。
・Ⅰ譲りの成長スピードの遅さから、突貫戦略を取ると、雑魚敵でも非常に危険な存在になる。海底の洞窟のキラータイガー、ロンダルキアへの洞窟のドラゴン、辿り着いたロンダルキアの敵たちなどは、突貫していると驚異的な脅威となり、エンカウント=全滅という構図が平気で存在している。
・リソースについては、かなりシビアで、回復手段が限られる中で回復呪文の回復量が微妙で消費MPは高めである。さらに、必須であるトラマナや、ステータス回復用のキアリーやザオリク、移動脱出用のルーラ、リレミトなどの消費MPも馬鹿にできない。
・他の要素のシビアさから、キメラのつばさや各種鍵、魔除けの鈴など、少しでもMP節約になるか戦術上有利になるアイテムを所持したいところだが、アイテム所持数がこれまた非常にシビアであり、中々難しい選択を迫られる。
・素早さは全く機能していないわけではないが、殆ど機能しておらず、回復のタイミングを計りにくい。戦闘レベルが十分に上回っていないと、敵の連続攻撃に耐えきれずすぐに死者が出る。集中攻撃を使ってくる敵の多さと、その凶悪な仕様により、あっという間に回復が追い付かず死ぬことが多い。
・マップが広く分かりづらくて移動しにくいのに、ルーラの行先指定がないため、非常に移動に手間がかかる。海図もないため、海では拠点の正確な記憶がないと迷いまくる。
・戦術バランスとしては、3人がいて何とか攻略可能なバランスだが、眠らせてくる敵が非常に多く、しかも全く起きないという事態が平気で起きる。
・味方のみかわし率は非常に低いのに対して、凶悪な敵たちのみかわし率はとても高い。呪文の回避率も高めで、安定して計算通り数を減らすのがやや難しい。
・復活の呪文が長すぎて、ロンダルキアのほこらなどで回復の度に聞かされてイライラする。呪文はいいから蘇生してくれと何度思ったことか。

そんな厳しい戦闘システムの中、オアシスのような存在もある。
・ザラキ。サイクロプスをこれで狩るのが非常に手軽に経験値を稼ぐ方法である。強敵ブリザード、面倒なメイジバピラスにも効く。
・ザオリク。これ程性能の低いザオリクでも、天地ほどの違いがあり、「誰か死ぬ=教会に直行」の構図が解消される。だが、サマルが死ぬとアウト。
・逃走成功率66%。これはかなり高いと言える。ダメでも2回試行すれば、90%近い確率で逃げられる。尤も、その1~2ターンで消されることもある。
・ベホマ。ベホイミが頼りない本作において、圧倒的な回復量を持ち、王女の存在意義を高めている。消費は多いが、価値は十分にある。
・耐性防具、つまりロトの鎧と水の羽衣。これが無いとどうやって強烈な炎を防ぐというのか。水の羽衣について、1着でクリアする人は凄いと思う。
・ルカナンとスクルトは、後継作品と比べると圧倒的に貧弱だが、それでも有用である。キラーマシーンやシドーとの戦いでは、地味だが確実に効果を発揮する。特にベホマを使ってくるシドーに対して、低めのレベルでも何とかベホマの前にHPを削り切るためにはルカナンは必須と言ってもいい。スクルトも、2~3ポイントのダメージの差が意外と響く場合もあると思う。重ね掛けすればかなり守備力を上げられる。

進め方としては、突貫作戦が考えられる。本作では有用なアイテムを取得したり、稼ぎやすい敵が存在するエリアでレベル上げをすることで、攻略に必要なキャラクター強化をするための労力を節減できる。そのため、先に進まずに地道に強化するよりも、一気に難しいダンジョンを突破して先に進み、アイテムや有利な状況を入手してから強化した方が、結果的には早く終わらせられると思う。

いずれにしても、全く隙の無い敵ラインアップとギリギリで攻略可能な味方の戦力形態を有する、稀に見る厳しいRPGだった。大抵のRPGにはかなり強化やキャラクター編成、敵の力に隙が作られており、そこを突くことで容易に突破できたり、安定して勝ったり、楽に強化ができたりするものだ。だが、本作にはそういう甘い設定は殆どなく、ほぼ全ての戦いがまさに命がけの戦争顔負けの肝を冷やすきわどい勝負である。雄大な世界観と美しい旋律の音楽に似つかわしくないこのようなシビアなゲーミングバランスこそ、ドラゴンクエスト2の真骨頂であり、最大の魅力でもあるのだが、いかんせん全く余裕が無いため、精神的にはかなり鍛練と忍耐を要求されるゲームだった。自分にとっては、頻繁に遊びたいと思わされるタイトルとは言い難いが、真面目なゲームとして、唯一無二の魅力があることは認めざるをえない。最後に、一言「ザラキ!メガンテ!」(画面赤転)

(以下、本当の感想)

DQ2。ここまで難しいRPGをプレイしたことがなかった。RPG黎明期のソフトはこれ程厳しいバランスだったのか。理不尽という言葉がピッタリで怒りさえ覚えた。
ただ大いに勉強になった。敵をどのように行動させると勝てなくなるのか?プレイヤーとしては、敵に危険な行動を取らせないことが第一なのだ。それはあらゆるRPGで共通している。制作者が意識するバランスもそこで、どの位の危険を付与し、対する回避手段も用意するのか、というのがRPGの戦闘のキモだ。
肉体的にも精神的にもハードで遊びがなく、直球のゲームだった。経験できたことに価値ありと思う。FC本体を買った意味もあった。
後はDQⅢ・Ⅳでこの完成と一般化の手法を学びたい。
焦らずゆっくり行けばいいさ。

プレイ時期:2023.1/2~1/18

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