「大きな音」という厄介な概念。
2020-09-29 16:05:30
たくさんのエアを使わないといい音、大きな音は出ない、という迷信。
と発音体(リード、エアリード、リップリード)の問題
いわゆる「いい音」「大きな」を持っている奏者ほど「大きな音はいらない」という。
逆にいうと「大きな音」ばかりを目指している人ほど「いい音」ではないということ。
管楽器のエアとその支えは弦楽器の弓使いを参考にする。音を出す時に使うエアの量(弓の長さ)と振動を持続させるための息の支え(弓の支え)は共通点が多く、優れた弦楽器奏者の弓の使い方をよく観察することで、管楽器演奏の良いイメージが作られる。
1弦を弾く位置(駒寄~指板寄)
2弓のどこを使うか(根元~真ん中~先端)
2弦に触る弓の毛の量(少ない毛~全部の毛)
3弦に対する弓の圧力(弓の支えかた)
4弦を擦る速度(早く動かす~ゆっくり動かす)
では、ファゴット奏者は何を鳴らせば良いのか?
1楽器内部の空気柱?
2楽器の筒部分?
3リード?
答え、リードです。1、2はそれぞれリードで発生した振動を伝達するだけです。ファゴットからでる全ての音(ピアニシモ~フォルテシモ)はリードでつくりますし、奏者が直接影響を与えられるのはリードだけです。アンブシュアや腹圧は楽器を通して変化するリードの振動を楽音として安定させ、洗練させるだけのものです。物理的にはリードの振動が楽器のボディや奏者の肉体、床などに共振を起こし、楽音として認識されます。
ファゴット、バソンの音色には(モーリス・アラールによると)10%の金属的な、甲高い、リーディーな振動音が必要です。これが弱いと音の芯がなくなり到達力もなくなります。バイオリンの音を耳元で聴いてみるとよくわかります。リードの琴線に触れるように振動させて、あとは楽器に任せる。そうすれば音色は楽器と部屋、床が勝手に作ってくれるはず。くらいに考えています。つまり場所によって聴こえにくかったりするのは「会場が悪い」くらいの厚かましさでいいのでは?
これを会得することで、ドルシアン、バロックファゴット、クラシカルファゴット、バソン、ドイツ式ファゴット、どれでもその楽器持っている音色を響かせます。
奏者と楽器が同じだとすると、当然の話ですが、クロウの音が大きいリードと小さいリードでは後者の方が大きな音がします。この場合のクロウはきちんと調整されたクロウであることが条件ですが。
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