156 線的時間と循環的時間
過去・現在・未来という線形的な秩序を前提にすれば、「後戻りは効かない」という時間の不可逆性を認めなければならないが、それも絶対ではない。だが、海から高潮や津波が押し寄せてくれば、川には逆流が発生する。時間が川ならば、未来から過去に向かって流れることもあるわけだ。人は成長し、変化し続ける限り、時間は未来に向かって流れているように感じるが、過去を振り返る時は時間を逆行させている。
時間はくるくる回り、無限に反復されると思うか、それともまっすぐに進み、いつか終末がくると思うか? この問いかけへの答えもその人の時間感覚を申告することになる。