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3年目のその気

YouTubeで稼ごうなんて思ったことがないし、そもそもそんなセンスも技量もないとのめた自覚から始めているから、野心がない。
これまで作った動画も、きわめてプライベートなものや個人商店向けのイメージ優先のものが多く、先方でも視聴回数なんてはなから気にしちゃいない。
事業をはじめて3年と数か月、そんなお気楽にして甘えの構造の中で過ごしてきた。

2月27日、ご近所にひっそりオープンした、手作り小物のお店を取材する予定になっている。
開店初日に訪れたときは、まだ空調取り付け工事のさなかで、録画なんかできる環境になかった(ドライバーで壁に穴をあける音が響き渡っている)。下打ち合わせだけして、出直すことになったのだ。

実は一昨年の9月22日、静岡市清水区が大水害に襲われ、その際の被害情報を地元で共有すべく、取材に伺ったお宅だ。
前年には旦那さんが亡くなり、高齢のおかあさんが一人残され住んでいた。そのお宅の敷地が土砂で埋まり、途方に暮れていらしたのを思い出す。
行政の対応は極めてにぶく(市長交代の決め手になった)、動けぬおかあさんに代わって近隣の人たちが集まり、土砂をかき出していた。

千葉に生活の根を下ろし、4人家族で暮らしていた娘さんが、下の子を連れてこのお宅に戻ってきた。定年まで少し時間のある旦那さんと長女は当面そのままに、一人暮らしのおかあさんの身を案じての決断だ。
住み慣れた土地と家族を離れ、いくら実母のためとはいえ、知る人もほとんどいなくなった実家に帰ってくるのは大変な決断である。
そして今、すっかり土砂の取り除かれた離れの改装が済み、かわいいイラスト入りの看板のお店が、静かにオープンしている。

今回、多少なりとお店のPRになるような動画を作りたいと思った。
これまでの動画だと、扱う商品よりはオーナーの人柄が伝わるような、ほんわかした作りのものが多い。ホームページに貼り付け、そこを開いた人だけが目にふれる形だ。ホームページ作成じたいが主たる契約だから、動画はそのおまけ、付加価値みたいな感じでやっていた。
当然それだと、YouTubeにあげても視聴回数は稼げない。

話を聴けばターゲットは明確で、その年齢層に向けたご本人手作りの品をメインにしている。イラストもプロ級で、LINEスタンプを幾つも販売している実績もある。それもウリになるだろう。

一応は商売として3年以上もやってきて、どうすれば視聴者が見る気になってくれるのか、僕は初めて考えている。
我ながら、すごい性格だと感心してしまう。才能も経験もなく、会社を辞めたから生活のため仕方なく、思い付きで始めた事業だ。なのに必死さや貪欲さが、皆無なままなんである。

何がきっかけであっても、視聴者を意識して動画を作ってみようと初めて思い立った61歳はエラい。自分で自分をほめてあげたいと思う。
問題は、だ。どうすれば見てくれるのか、現段階でまるで見当がつかないでいる点である。

思えば2年と少し前にはじめたX(Twitter)だって、商売に繋げられればと最初は思い、始めるとそれがすぐに横道に逸れ始め、気付けばオタクの音楽の沼にどっぷりと浸かっており、ワシなにやってんねん状態におちいっていた。
おかげ様で、素敵なフォロアーさんや未知の音楽に出会えたから決して無駄ではないのだが、ひまを持て余す優雅な身分でもあるまいに、このままじゃいかんと半分足を洗うことにした(逆に言えば、まだ半分は洗っていない)。

2024年元日に始めたnoteの意図は、自分が関わるプロジェクトの経過を記していくことだ。Xでの反省が少しはあるのか、あっちこっち寄り道しながらも、何とか最初の目的は維持できている。
毎日大変じゃないか?との、ありがたいお気づかいも頂く。
意外と文章は、打ち始めるまでは難儀なのだが、あとは指が勝手に動いていく感じで、他人ひと様が思うほど大変でもない。

思考を文章に置き換えることで、現実の活動にもいい変化も生まれてくるし、Xとは違った性質のフォロアーさんが多くて、それも楽しい。
ただこちらも、今すぐの稼ぎに結び付くわけじゃなし、やはり「本業」に力を入れるべき時なのである。

っていうか、3年前に会社を辞めて、収入が途絶えた時から力を入れていなくちゃ、いけなかったわけである。
(続く)

イラスト hanami🛸|ω・)و


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