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ONE PIECE

外側からやってくる刺激にインスパイアされて始めたことが、いまとなって思えば、コアにあったものと繋がっていました。

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大学で勤めていた頃、私はあるゼミを密かに「アニメ同好会」と呼んでいた。おそらく、ゼミで集わなければ、言葉を交し合うこともなかったかもしれないと自分たちで口にする、それぞれ個性的な子達で、自身や互いを「インキャ」「ヨウキャ」と表現しあう、男の子たちばかりのゼミ。

自分の好きなこととソーシャルワークを関連させて話題提起するという課題に対しての彼らのプレゼンは、音楽、アニメに海外ドラマ、、、私はどう、ソーシャルワークに結びつけようかと、毎回、頭を悩ませつつも、いつも斬新な、若者たちの言動に大笑いし、驚かされる貴重な時間だった。

受動喫煙防止の条例が出来たころ、巻き込まれも含め立て続けに摘発され、学生課から注意喚起の連絡が入ったことがあった。「なんで、私が学生課に謝らないとあかんのよ!」というキレ気味の訳の分からない教員からの指導に、本当に申し訳なさそうな顔を見せた子たち。「単位やばいんです」と泣きついてくると、「一気に卒業されたら寂しいから、残ってくれても私は全然いいよ」と笑顔で返す私にはダメだこりゃと思っていただろう。。

映画「ジョーカー」にソーシャルワーカーがでてくるからという口車に乗せられて、ゼミの時間に観に行ったこともあった。
私的にはちょっと観るのが怖い映画で避けていたのだけれど、案の定、衝撃的すぎてその日はそわそわして言葉にならず、「帰りましょう」と早々に解散したのだが、、とにかく優しい子達だった。

Netflixで映画や海外ドラマを観ることはもともと好きだったけれど、マーベルシリーズやアニメを観るようになったのは、間違いなく彼らの影響だ。
マーベルはたくさんありすぎて、時系列や登場人物がわけがわからなかった私に、どの順番でなにを観ればいいのかも、詳しく教えてくれた。毎回、私の疑問にすべて答えてくれる知識の豊富さにも脱帽した。
「東京リベンジャーズ」「呪術廻線」「ドクターストーン」「キングダム」「ゴールデンカムイ」「ヴィンラントサーガ」・・、「鬼滅の刃」も、きっと、彼らに出会わなければ、観ようとしなかった作品たち。

思えば、子どもの頃はアニメが大好きだった。幼稚園に行く前の時間にみていた「キャンディキャンディ」。キャンディに憧れて、看護師さんや記者に、夢がころころ変わっていた私。
日曜日の夜の「ハウス食品・世界名作劇場」は一番好きなアニメシリーズで、「フランダースの犬」「アルプスの少女ハイジ」「あらいぐまラスカル」「母をたずねて三千里」「トム・ソーヤー」「小公女セーラ」「愛の若草物語」「ポリアンナ」「あしながおじさん」「牧場の少女カトリ」「トラップ一家」「不思議の島のナディア」「青い海のフローネ」「ロミオの青い空」「未来少年コナン」「こんには、アン」・・・。

「リボンの騎士」や「ベルサイユの薔薇」も繰り返し見たし、「バビルの塔」に「鉄腕アトム」、「デビルマン」「キン肉マン」「ドラゴンボール」といった男の子アニメも、「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」「宇宙海賊キャプテンシャーロック」「マクロス」といった宇宙モノも大好きだった。

ゼミでは当時、「ワンピース」も観て欲しい!と言われていたけれど、あまりに長編大作だったので、見始めたら泥沼にはまるかもしれないからやめておくわと、言っていたのだけれど、最近、Netflixで実写版が始まって、しっかりと見始めてしまった。きっと、実写シリーズを観終わったら、禁断のアニメに手をだしてしまうのだろう。。

そして、いま、アニメをつくっていると言ったら、彼らはどんな顔をするだろうか。アニメの素晴らしさを思い出させてくれた一因であったかもしれない。

卒業式では、大きな花束を手渡された。男の子だなぁと感心し、なにか、わたしのなかにもやり遂げた感を感じ始めてもいた、社会見学の終わりの頃。

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