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青山繁晴さん、基本的事実を誤認していますよ

 先ほど、家事をしながら青山繁晴参院議員の動画「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」第600回「中国軍 ついに習主席に反抗?!」を聞いていて、耳を疑うところがありました。
https://www.youtube.com/watch?v=uNotcsdSq-s

 今回の内容は、大筋としては中国の習近平体制に異変が起きていることを指摘するものです。そのこと自体は私も似たような感想を持っていて、

 上のような文章を昨日アップしました。
 私の上の文章は公開情報に基づいた分析結果ですが、青山議員の情報源は「西側の情報機関」「インテリジェンス」ということです。さすが元敏腕記者という感じですね。
 しかし、驚くべきは、その話している内容が、日本経済新聞の中沢克二氏による記事と酷似しているということ。
 具体的には下の3本です。

 この中沢氏の記事も疑義を呈する方がおられます。
 「中国共産党の内部の権力闘争を、外国人の記者、しかも日本人がここまで細かく描写することができるのか」という疑問です。
 でも、それはひとまず置いておきます。
 青山議員と中沢氏の情報源が同じ、あるいはたまたま別々の発信源がたった一つの事実(真実)をお二人に伝えたと解釈します。

 しかし、青山議員の話には根本的に理解が不可能というよりも、常識からすると事実誤認と言うべき点があります。
 青山議員は動画で、次のようにおっしゃっています。4:30〜5:20の部分です。一部話し言葉通りでないカ所がありますが、ほぼ下のようなことを話しています。
 

曽慶紅さんは胡錦濤国家主席のいわば側近だった。岸田総理の側近の木原誠二さんみたいな感じ。(略)曽慶紅さんは胡錦濤国家主席の側近だった。でも、胡錦濤国家主席はこの間、中国共産党の大会で事実上、習近平国家主席がルールを超えて居座ることに異を唱えて、腕をつかまれてひきづり出された。

https://www.youtube.com/watch?v=uNotcsdSq-s

 「曽慶紅が胡錦濤の側近」と言った時に、「あれ?」と思ったものの、言い間違いは誰でもあると好意的に理解しようとしたのですが、すぐに「胡錦濤は共産党大会で退出させられた」と続けたのですから、間違いなく青山議員は「曽慶紅=胡錦濤の側近」と思い込んでいるわけです。

 曽慶紅氏は胡錦濤指導部で国家副主席でしたが、江沢民元国家主席の側近中の側近だったことで知られています。
 中沢氏の記事でも、「元国家副主席で江沢民の最側近だった曽慶紅」という表現があります。
 自分が詳しく知らないことであっても一生懸命取材して自信満々にお話しするのは類まれな才能だと思いますが、基本的な事実関係を外してしまうと、信頼性に欠ける印象を与えてしまいます。
 まして、内容が中沢氏とよく似通っているのですから、「青山さん、大丈夫ですか?」と思わざるを得ません。

 青山議員はこの動画で、李克強前国務総理をポスト習近平の最有力候補のような位置付けで解説されています。となると、なおさら、「曽慶紅=胡錦濤の側近」という理解は単純な事実誤認として見逃すことはできません。
 李克強氏は、それこそ胡錦濤氏の側近です。青山議員の解釈では、有力な長老が胡錦濤=李克強グループと一丸となって、習近平国家主席に抵抗しているという図式になります。
 しかし、実際のところは、それは世間の常識とはかけ離れています。

「『習近平国家主席に失脚のリスクがある』(という指摘)は、国会議員の発信としてはこの動画が初めてだった」と青山議員は胸を張っておられますが、極端なことを言って注目を集めようとしているのかなと勘繰ってしまいます。

 でも、ひょっとして、「インテリジェンス」の世界では、曽慶紅は胡錦濤派に鞍替えしたことが事実として認定されているのでしょうか。
 だとすれば、私が最新情報に疎いだけですね。

 中沢氏が最初に報じた北戴河会議と曽慶紅氏の関連については、私に思うところがありますが、今日のところはここまでとさせていただきます。
 もしご希望があれば、私の考えをご披露させていただきます。
 皆さんとご感想を共有できれば幸いです。

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