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「重度身体障害者の(利き手)問題」

脳性麻痺という身体障害を抱えて長いこと生きていると、障害についていろいろな意味で誤解されていると感じることが多い。

その1つが「利き手問題」だ。

脳性麻痺についての過去記事は以下の通り。

ADLがきわめて低く、両手の機能がほぼ失われている私にも、一応「利き手」はある。

普段、電動車椅子を操作したり、PCで原稿を書いたりする際は右手を使う。そのほか、長時間の作業が求められる場面では99%右手を使うから、私の利き手はおそらく右手なのだろう。

右手に比べると格段に麻痺が強い左手だが、まったく活躍しないわけではない。エレベーターのボタンを押したり、本のページをおさえたりと細かさがさほど要求されない作業では左手のほうが活躍する。

というより、「左手でも事足りる」と言うべきか。

以前はエレベーターのボタンも右手で押していたのだが、そうするとボタンを押してから車椅子のスティックを持ち直すまでに時間がかかり周囲の迷惑になるシチュエーションが生じたため、左手で押せるようセルフトレーニング。左手は力加減の調整がしにくいため、拳を矢吹ジョーよろしくエレベーターの壁に思いきりたたきつけたり、あやうく突き指しかけたりと多少のミスはあるものの、95%はスムーズに力をコントロールできるようになった。

今のところ、「右手=正確性が求められる作業、左手=ダイナミックな作業」という形で使い分けている。

利き足も、意外と知られていないポイントだ。私の場合、右足と左足では不随意運動の表れ方が異なる。

右足は「アテトーゼダンス」とよく言われているように、いったん不随意運動が起きると屈曲と伸展を繰り返し、まるでダンスを踊っているかのように激しく動く。一方の左足は筋緊張が走ると筋肉が硬直したまま動かなくなり、足が曲がらなくなる。

「足が棒になる」とは、まさにこのことだ。

利き手と利き足の関係では、「クロスの法則」がよく知られている。利き手が右なら利き足は左、左が利き手なら利き足は右……という風に、利き手と利き足はクロスするらしい。

障害についてまた新たな発見があればお伝えしたい。

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