宮ノ腰ちひろ

こんにちは。宮ノ腰(みやのこし)ちひろと申します。現在、製薬会社で働いてます。最近、健…

宮ノ腰ちひろ

こんにちは。宮ノ腰(みやのこし)ちひろと申します。現在、製薬会社で働いてます。最近、健康のことや地域医療について考えることが増えたんです。コロナ禍の影響でしょうか?noteに感じたことを綴っていくことで私なりの答えを探していきたいと思います。どうぞお付き合いくださいね。

最近の記事

招かざる訪問者との物語16

【新入社員 高木美穂】 高木美穂は、今年、仙台の薬科大学を卒業して一友製薬に入社した。MR(医薬情報担当者)として半年間の研修生活ののち、10月より、全国にある支店、営業所に配属され、医療機関を担当する予定だ。 高木は、仙台の出身で大学卒業までずっと両親と2人の妹達と暮らしきた。3姉妹の長女として頼れるお姉ちゃんだ。幼い頃から母親の手伝いをし、妹達の面倒も良くみるしっかり者、弱い人や困っている人がいると放って置けない優しい性格は、母親譲りとよく言われていた。 そんな彼女にと

    • 招かざる訪問者との物語15

      【新入社員研修 MRコンプライアンス研修 その3】 コンプライアンス研修の目的 新入社員MRのコンプライアンス意識の向上、知識の高度化、判断軸養成を目的とする研修。 今日のコンプライアンス研修agenda ①コンプライアンスとは? ②製薬業界におけるコンプライアンスの変遷 ③一友製薬におけるMRが遵守するべきコンプライアンスについて ④グループワーク 事例検討 ⑤総括 高山は、マイクを左手に握り、右手でパソコンを操作しながら、講義を始めた。 「皆さん、おはようございます

      • 招かざる訪問者との物語14

        【新入社員研修 MRコンプライアンス研修 その2】 高山は、研修会場の扉を開けた。 会場は、バスケットコート一面分ほどある広い空間で100人以上は収容出来るだろう。 正面には、大きなスクリーンがあり、左裾側に演台とマイクが設置されている。 新入社員13名が1列目から4名、3名、3名で1人づつ長テーブルに座っている。 皆、神妙か面持ちで部屋に入ってきた私に注目していた。 コンプライアンス研修の担当講師を務める私に対して、彼らは、今日一日どんな研修が行われるのだろと興味ある眼差

        • 招かざる訪問者との物語13

          【新入社員研修 MRコンプライアンス研修に向けて】 今年の新入社員研修は、栃木県那須塩原駅から車で15分の市内中心部に位置する温泉ホテルで行われている。 高山は、自宅から始発のバスに乗り、荻窪駅から中央線で東京駅より東北新幹線に乗った。およそ1時間半で8時には研修施設のホテルに着くことが出来た。 那須高原の裾野に位置する那須塩原市は、温泉もあり、近隣には、ゴルフ場も多く、風光明媚な田舎町といった所だ。ホテルの近くには、コンビニやスーパー、食堂、居酒屋などもあるので、長期滞在

        招かざる訪問者との物語16

          招かざる訪問者との物語12

          【新入社員研修 若きMR 医薬情報担当者の叶えたい夢】 2週間前、A大学病院で、IPMN 膵管内乳頭粘液性腫瘍の確定診断が出た後、再び慌ただしい日常が戻ってきた。最悪の展開を覚悟していたので、ひとまず膵臓の病気が経過観察となったことに、自分でも驚くほど気持ちは、穏やかであった。逆に忙しさはかえって普段の時間を取り戻せたようで、あまり苦には感じない。 長女真千子の結婚の話や、人事部での様々な業務も、いつも通りに出来ることを感謝し、自然と身体の中からエネルギーが溢れてくるのだ。

          招かざる訪問者との物語12

          招かざる訪問者との物語11

          【結婚の挨拶を迎えて】11 6月第1週の日曜日は、朝から快晴で木々の緑も冴え渡り、今日一日、私たち家族を祝福しているかのようだ。 いつも通り、朝5時に起きて、愛犬ゴウと近くの森林公園へ散歩に出かけた。 暑くも無く、寒くも無く、心地良い空気が木立に続く公園に満ちている。 単身赴任を終え、東京の自宅に戻ってから、ゴウの散歩は私の日課になった。朝夕二回の散歩は、実に楽しい時間を私に与えてくれる。 「ゴウ、今日は公園の先にある沼まで行こうね。誰か友達に会うと良いね!」散歩しながらゴ

          招かざる訪問者との物語11

          招かざる訪問者との物語⑩

          【私について】No10 高山真一が人事部に転勤となって4ヶ月が経った。この春15年間の単身赴任を終え、ようやく家族の待つ東京に戻ってきた。 東京駅前丸の内にある一友製薬12階の高山の執務室は、本社機能を集約し、フロア一面がフリーアドレスとなっている。部門毎、各自好きな場所でパソコンを開き業務を行っている。解放的で洗練された雰囲気だ。 コロナ禍の影響で出社制限がある為、本来なら500人居る広いオフィスは、人もまばらで閑散としている。静かなフロアでは、粛々と業務が行われている

          招かざる訪問者との物語⑩

          招かざる訪問者との物語⑨

          【帰宅して 家族と過ごす時間】No9 A大学から電車と、バスを乗り継いでほどなく帰宅した時には、午後7時を過ぎていた。 家路を急ぐサラリーマンや若いOL、高校生などで電車もバスも混んでいた。 最近は、コロナウイルス感染者数も減少しており、随分と街を出歩く人が増えたと感じる。 一日の仕事を教えて、目にする人々は、皆疲れた様子で携帯を眺めている。 コロナ禍となって2年あまり。仕事を終えて職場の同僚と楽しく酒を酌み交わす機会もめっきり減って社会全体が閉塞感に溢れている。 バスを

          招かざる訪問者との物語⑨

          新入社員MRさんへ、配属にあたって応援メッセージ

          9月は、秋の転勤シーズンですね。 多くの製薬メーカーもこの時期、定期異動と共に、新入社員MRの配属が行われます。 新入社員のみなさんは、4月に入社してから半年間の長い研修を終えて、いよいよ得意先を担当しお仕事が本格始動するわけです。 心躍らせて、不安も感じながら全国各地に配属され、今月は引き継ぎ業務に励んでいることでしょう。 半年間の研修では、社会人としての身につけるべき様々なルールや判断軸、疾病と治療や倫理、医薬品概論などMRとしての知識、自社医薬品など多岐にわたる勉強を積

          新入社員MRさんへ、配属にあたって応援メッセージ

          招かざる訪問者との物語⑧

          【I教授の診察】No8 名前を呼ばれて、I教授の診察室に入った。I教授は、診療用パソコンのモニターを確認しながら、これまで行った検査画像と血液検査結果、症状や経過などの資料を手際良く見比べ、改めて私にこれまでの症状について聞いた。それらのやり取りを終えた後、I教授より結果を聞いた。 病名は、「IPMN 膵管乳頭部粘液性腫瘍」。膵臓内に粘液性の腫瘍が2つあり、いづれも良性とのことだった。但し癌化するリスクもあるため、定期的な経過観察が必要との診断を受けた。 【膵管内乳頭粘液

          招かざる訪問者との物語⑧

          招かざる訪問者との物語⑦

          【精密検査 腹部エコー検査 検査結果診察】No7 1週間後、再びA大学病院にて腹部エコー検査とI教授の診察を受けに訪れた。 朝から雨が降り、肌寒く感じる。水溜りを避けながら人混みを掻き分けようやくA大学病院に着いた。 予約1時間前に検査室を訪れた。幸い直ぐに検査をして頂いた。腹部エコー検査。検査用ベッドに横になり、シャツを手繰り上げお腹を出した。ジェルを塗ってエコー検査が始まった。若い女性検査技師がモニターを見ながら腹部にエコーを押し当てる。「大きく息を吸って。」「吐いて。」

          招かざる訪問者との物語⑦

          招かざる訪問者との物語⑥

          【精密検査 超音波内視鏡検査】No6 翌週月曜日にA大学病院に再来し予約していた超音波内視鏡検査を受けた。前日午後9時以降絶食し、検査当日は午後から検査だったので、随分とお腹が空いていた。病院では、受付を済ませて、内視鏡検査室に入る前に検査着に着替え、検査室では、ベッドに横になった。マウスピースを咥え、左側に横になり、左腕に麻酔を注射されると意識は無くなった。名前を呼ばれ目を覚ました。内視鏡検査は全て終わりマウスピースも外されていた。少し喉の奥に違和感はあったがストレス無く無

          招かざる訪問者との物語⑥

          招かざる訪問者との物語⑤

          【家族団欒 長女からの大事な話】No5 我が家のマンションは、玄関ロビー前にバス停があり、最寄り駅迄は、バスで10分。マンション一階には、スーパーがあり2年前に新築で購入したのだが、利便性は申し分無い。エントランスには、大きな杉の木が聳え立ちこのマンションのシンボルを成している。 「ただいま。」玄関のドアを開けると、愛犬ゴウが尻尾をグルングルと回しながら駆け寄ってきて飛びついた。全身から歓迎の気持ちをぶつけてくるゴウを抱き寄せそんな愛犬の喜びに応える。 リビングから妻が出て

          招かざる訪問者との物語⑤

          招かざる訪問者との物語④

          【懐かしいA大学病院】No4 目指すA大学病院は、都内中心部に位置し最寄り駅は、電車が複数の路線にまたがり交通アクセスの良いところにある。駅から徒歩5分でA大学についた。病院前の歩道は以前と変わらず沢山の人が行き交っている。 天高く聳え立つ大学病院は、幾つもの病棟からなる建物の集合体で、昔と変わらず私を出迎えてくれた。 病院総合受付にて診察券を再発行し紹介状と共に消化器内科受付にて受付を済ませた。程なくして看護師さん名前を呼ばれ、食事を摂っていないことを確認され、直ぐに血液

          招かざる訪問者との物語④

          招かざる訪問者との物語③

          【かかりつけ医への相談】No3 翌週月曜日、会社を急遽お休みし、かかりつけ医のK先生に改めて相談した。膵臓の腫瘍疑いの所見にあたり、近隣大学病院へ紹介状を書いて頂いたのだった。しかし先週受診した大学病院では、MRI検査予約が1ヶ月先。更に1週間後に膵臓専門医の診察予定で、随分と検査、診察迄に時間を要するため、その不安を伝えた。先生も少し驚き「だいぶ検査が先なんですね。膵臓の所見では、場合によって足先が早く進むケースもありますのでね。そうですか。診察された先生は、まだ若い先生で

          招かざる訪問者との物語③

          招かざる訪問者との物語②

          【近隣大学病院にて】No2 精密検査を受けるため、いつもより早起きして、朝食を摂らず紹介状を持って近隣の大学病院に向かった。自宅近くのバス停からいつもの出勤とは反対方向に向かうバスに乗って10分程で大学病院に着いた。 初診受付を済ませて紹介状とCDを提出した。 大学病院では、総合受付も消化器内科外来受付も手際良い対応でさほど待たずに診察を受けることが出来た。 初診外来担当ドクターはM先生、30代の若手医師だった。彼女は、紹介状中身を素早く目を通し、所見を通じて簡単な質問を2、

          招かざる訪問者との物語②