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様々なモンスターの頭蓋骨形態

 番外編とした前回の記事では、側頭窓の下側を縁取る骨(側頭弓)の数によって、羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)の頭蓋骨のタイプを3つに分類する方法を紹介した。この分類体系に基づくと、現生の爬虫類、鳥類のうち、カメのみが無弓型の頭蓋骨を持つことが分かる。現生のカメ以外の爬虫類、鳥類はすべて双弓型の頭蓋骨を持つが、側頭弓の数は系統間で0~2本まで様々である。現生の哺乳類は単弓型の頭蓋骨を持つが、すべての系統で側頭窓の上側を縁取る骨が消失している(詳細は「爬虫類、鳥類における頭蓋骨形態の多様化」)を参照)。

 上述した各系統の傾向を踏まえ、いくつかのモンスターの頭蓋骨形態を観察してみることにする(今回は短い記事になります)。

図1. 6種の竜の頭蓋骨形態
 
Aは、完全な双弓型頭蓋骨を持つ。Aと同じ頭蓋骨側頭部のコンディションは竜脚下目やティラノサウルス、ムカシトカゲやワニにみられる。B-Dの頭蓋骨では、上側頭弓が拡大することで上側頭窓が閉鎖しているように見える。B-Dと同じ側頭部のコンディションは、パキケファロサウルスやトリケラトプスにみられる。EおよびFの頭蓋骨は、上下の側頭窓が閉鎖して無弓型になっているように見受けられる。EおよびFと同じ側頭部のコンディションは、アンキロサウルスやカメ類にみられる。これらの系統がもつ「角」は、頭蓋骨の一部が隆起することでもたらされている。

 以上、6つのモンスターにおいて頭蓋骨の形態を観察した。側頭弓の数に基づく頭蓋骨の分類体系に従って、モンハンモンスターの頭蓋骨のタイプを分類することは可能であることが分かった。実在する(した)爬虫類、鳥類の頭蓋骨側頭部の形態は極めて多様であり、今回観察したモンハンモンスターの頭蓋骨と同じコンディションを持つ系統は、絶滅種を含め2種以上は存在することが分かった。
 しかしながら、公式から頭蓋骨が紹介されているモンハンモンスターの中でたった1種、特殊な形態の頭蓋骨を有する竜が存在する。その竜が持つ頭蓋骨のコンディションは、実在する(した)すべての爬虫類、鳥類の頭蓋骨のコンディションと異なる。また、その竜の頭部には、脊椎動物の進化において異例と呼ぶにふさわしい形質が備わる。前稿および本稿は、あくまでその竜における頭部の形態進化を考察する上での序章である。
 
 ぜひ、次回の投稿にご期待ください!!


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