DRAGONET・ARAKI

全国通訳案内士。30年ほどメディア関係の仕事に従事したのち10年前に八重山諸島でネーチ…

DRAGONET・ARAKI

全国通訳案内士。30年ほどメディア関係の仕事に従事したのち10年前に八重山諸島でネーチャーガイドをはじめる。横浜に移り、コロナ禍で書きためたメモをもとに、2024年からメディア・社会批評を開始。新聞ジャーナリズムと社会のかかわりをメーンテーマとする。

最近の記事

新聞滅亡へのプロセス(5) 特異な組織ジャーナリズム

 「日本型ジャーナリズム」と「組織ジャーナリスト」。5回目となる今回のブログでは、その関係について考えてみたい。  それぞれの国にそれぞれのジャーナリズムがあるとしても、日本の組織ジャーナリズムは、言論の自由が広範に存在する国と比して、かなり「特殊」な存在だといえる。筆者は、特殊性の前提となる要素として次の3点を挙げたい。 ①日本社会とそれを構成する人々の言論に対する意識 ②言論の自由を保障するシステム ③「組織ジャーナリスト」を形成するシステム。  ブログの第1回で、

    • 新聞滅亡へのプロセス(4)不作為の罪 オリ・パラ報道を例として

      #新聞滅亡へのプロセス #メディア「不作為の罪」  報道の自由が確保されている国々のメディアの視点では、報道倫理にもとる「不作為の罪」というべき状況が、日本の組織メディアで起きているのではないか。この場合の「罪」とは、法律上の罪ではなく、倫理的な「罪」(英語でいえば【transgression】あるいは【sin】 )のことを指す。(注1)  英BBCが取り上げたことによって初めて広く報道されるようになったジャニーズ問題。宝塚歌劇団のいじめ、吉本興業の有名タレントによる「性

      • 新聞滅亡へのプロセス(3) 組織ジャーナリストを考える

        #新聞滅亡へのプロセス  日本型ジャーナリズムは、記者・ジャーナリストという「個」の集合体によって報道機関としてのメディアを機能させているのか。それとも、新聞社、放送局という会社組織の「駒」としての記者の活動によって報道機関は成り立っているのか、との本源的な問題を孕んでいる。  記者がジャーナリストとしての「個」を確立できなくなっている実態について朝日新聞を例に考えてみよう。 「駒」としての組織ジャーナリストと南記者の「絶望」  昨年11月1日、朝日新聞の南彰記者が退

        • 新聞滅亡へのプロセス(2) 報道の自由と経営

          #新聞滅亡へのプロセス  ブログの第2回では、日本型ジャーナリズムと新聞経営について考察してみたい。60年前の新聞への質問に対する朝日新聞社論説主幹による回答をもとに、掘り下げる。  1966(昭和41)年に雑誌「新聞研究」は、日頃感じている新聞に関する疑問について各界を代表する人々にアンケート調査し、それを「新聞に関する100の質問」にまとめた。新聞各社の当事者に回答してもらう特集だ。第1問目は「報道の自由」についてだった。(注1) 新聞は、報道と評論の自由を守るため

        新聞滅亡へのプロセス(5) 特異な組織ジャーナリズム

          新聞滅亡へのプロセス

          日本型ジャーナリズムの特殊性  このブログを皮切りに新聞を中心としたメディア批評を行うことにした。実例を交えて、日本メディア、とりわけ新聞の抱える病理構造と衰退の原因を洗い出したい。歴史を縦軸、世界を横軸として「日本型ジャーナリズム」「記者クラブジャーナリズム」の諸相とメディア経営の諸問題について考察していく。今回はその第1回となる。  これまで「日本型ジャーナリズム」について何冊かの書籍が出版されている(注1)。しかし内容は、新聞社編集部門とジャーナリズムの実際について

          新聞滅亡へのプロセス