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アンテロープキャニオンで精霊に会ったかもしれない話。

今から十年以上前、アメリカのグランドサークルを巡るツアーの中でアンテロープキャニオンに行ったときのことである。

アンテロープキャニオンは、アリゾナ州にある砂岩に囲まれた渓谷で、先住民族ナバホ族の居住区内にあり、現在もナバホ族が管理を行っている聖地である。
鉄砲水などのおそれがあることから自由に出入りすることはできず、必ずナバホ族によるガイド付きツアーに申し込む必要がある。

アンテロープキャニオン周辺は非常に乾燥しており、風が吹くことで砂や小石が舞い上がり、サバンナのような土地をジープで目的地まで行くのだが、冗談抜きでジープの天井に頭をぶつけるくらい揺れる。
ガンガン揺られ続け、気を失いかけた頃にやっと目的地に到着した。

私はゆっくり写真を撮りたいタイプなので、ツアーの最後尾を遅れてついていくことが多い。
このときも、ナバホ族の方が説明しているだいぶん後ろをついて歩いていた。

説明の終盤で、ナバホ族のガイドの方がネイティブアメリカンフルートを吹いてくれた。
ガイドの方の説明が終わり自由時間になったときに、好奇心からそのフルートを吹かせて欲しいと頼んでみたところ、ナバホ族の方は快くフルートを私に貸してくれた。

木製の縦笛のような感じで、最初は音をピーピー出しながら歩いていたのだが、造りはリコーダーと変わらないので、何となく音階の出し方がわかってきた。(正確なドレミの音ではないが、だいたい音階はとれる。)

それで、なんとなく坂本九の「上を向いて歩こう」を吹きながら歩いていた。
その様子を私の友達が写真に撮っていたのだが、「なんか写真が白っぽいんだよね~」と言ってきた。見てみると、笛を吹いている私の写真だけが全体に白っぽく靄がかかっている。

それは何枚撮っても同じだった。(笛を吹いている以外の写真は普通)
そして、写真の上下が何かに吸い込まれたようになっていた。
(説明が難しいが、ハクション大魔王がツボに吸い込まれるような感じ。)

「え~、心霊写真??」と思ったが、あんまり嫌な感じはなくて、ちょっと笑っちゃうような感じでもあり、神秘的な感じでもあった。

不気味だったら即消去するのだが、そんな感じでもなく、「なんだろ?不思議~。」という感じでそのまま帰国し、そのままmixiにアップした。

すると、霊感がバリバリある友人から「精霊‥」とコメントがついていた。
「なるほど~!笛に誘われて、精霊が寄ってきたのか~。聖地だし、そういうこともあり得るな~。」とすっかり納得してしまった。

今でもそのことを思い出しても、なんだかちょっとだけ愉快な気持ちになる不思議体験だった。





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