機動戦士ガンダムSEEDを見終えて 感想

はじめに

機動新世紀ガンダムXに続いて機動戦士ガンダムSEED(HDリマスター版)を見終えたので感想を書く。そもそもGや∀、08小隊などの方が放送は前なのだが、なんとなく惹かれたので先に見てみることにした。見る前はキャラクターデザインに違和感があったのだが、見始めると案外慣れるし動いているところはそこまで変ではない。作画も全体的に綺麗だと感じた。もちろんHDリマスターによる部分も大きいだろう。


あらすじ

C.E.70。経済圏の確立を求めるコーディネイター(ザフト)とナチュラル(地球連合)の軋轢は「血のバレンタイン」の悲劇によってついに武力衝突へと発展した。モビルスーツを要するザフトを各地で地球軍が圧倒するが、戦渦は予想に反し長引いていく。「血のバレンタイン」から11ヶ月が経った頃、中立国の工業コロニー、ヘリオポリスに住むコーディネイターの少年キラ・ヤマトは、ザフトによるガンダム奪取作戦に巻き込まれる。その奪取作戦にはザフトの軍人となった、キラのかつての親友アスラン・ザラが参加していた。戦火の中、運命的な再会を果たす二人。しかしキラは、ナチュラルである友人を守る為、唯一奪取を免れたストライクガンダムに乗り、アスランと敵対することになるのだった…。

出典 : 「機動戦士ガンダムSEED」公式サイト
https://www.gundam-seed.net/seed/

感想

かなり楽しめた。続きが気になる展開が多く、飽きが来ない。人気なのも納得した。序盤から中盤にかけてのストーリー展開、人間関係は特に面白い。気になる点は少なくないが、それをあまり感じさせないほどの勢いがある。


概要

基本的な対立構造は地球連合(ナチュラル)対ザフト(コーディネーター = 遺伝子操作された人間)であり、主人公キラ・ヤマトの故郷でもある中立国のオーブも関わってくる。ナチュラルとコーディネーターの確執はかなり深刻で、それはフレイの発言だけでなくサイやカズイなどの何気ない発言や態度を見てもよくわかる。バルトフェルドの「どうなったらこの戦争は終わると思う?」「敵である者を全て滅ぼして かね?」というセリフが本作のテーマをよく表している。


人間関係

本作の人間描写はリアルだった。全体としてドロドロしていて、特に序盤でのスペシャルなキラに対する周りの接し方は、見ていてむず痒さを感じるほどだ。友達には腫物扱いされ、大人たちも言葉はかけているが不十分である。そういった意味でフレイの存在は大きかっただろうし、自分はラクスより彼女の方がヒロインとして印象に残った。

フレイ・アルスターは最初こそ身勝手な言動が多かったものの、最後はキラ達と和解しようとする。

もう一人の主人公として、キラの元親友でありザフト軍のアスラン・ザラが出てくる。こちらも周囲からの期待と親友と戦うことの板挟みの状況で苦しんでいる。

オーブ代表の娘であるカガリは感情的だが、落ち込んでいるキラやアスランを慰めたりといいキャラをしている。アスランと無人島で会う「二人だけの戦争」は好きなエピソードの一つだ。お互いに相手を非難しあうが、痛いところを突かれると何も言えなくなってしまう。二人のやさしさがよく出ているし、ファーストの頃からやってきた、敵をただの悪として描かないことでもある。

逆に、あまり好きになれなかったのはメインヒロインでもあるラクス・クラインだ。出来すぎたヒロインのように思えたからである。物語においてかなり重要な役割を果たすのだが、何が彼女をそうさせるのかよくわからなかった。

余談だが、ラウ・ル・クルーゼがデュオ・マクスウェルと同じ声優というのを知って驚いた。言われてみると高い声は似ている。もっと言えば、フレイとナタルは同じ人が一人二役でやっているらしい。終盤にあの二人が会話するシーンが好きだったのだが、あれも一人でやっていたということになる。


ストーリー

ストーリーはファーストガンダムを意識していて、途中まではだいたい同じである。ヘリオポリスを抜け出したアークエンジェルはしつこく追撃され、地球に降下することになる。

違うのは中盤以降、地球軍やザフト軍の偉い人たちが大量破壊兵器の使用に踏み切ろうとするあたりからだ。その結果、地球軍に反発したアークエンジェルと、ザフト軍に反発したラクスやアスラン、そしてオーブの生き残りが合流する。

最終的に主人公サイドは地球軍とザフト軍の戦いに介入し、戦いを終わらせた。プラントと地球に被害がなかったことを考えると、勝利したと言えるかもしれない。ただ、キラの最後の「僕たちはどうしてこんなところへ来てしまったんだろう」というセリフが表すように、最後まで両陣営の戦いは激化してしまった。自身の出自も含めて、世界の救いようのなさを感じさせる絶望を抱くキラの姿はとても印象的だった。


テーマ

やはり「非戦」が全面に押し出されている。戦争のどうしようもなさに関しては、世界観も相まってシリーズ随一であり、戦い続けるキラ達が不憫でならなかった。

カガリとアスランの会話は印象に残るシーンが多く、キラを倒した後の病室で、カガリに仕方なかったんだとアスランが訴える場面は名シーンだと感じた。最終盤でのジェネシスを自爆して止めようとするアスランに対して、カガリが「生きるのが戦いだ」と諭すシーンも良かった。Vガンダムでのリーンホース特攻が名シーン扱いされているのに納得できない自分にとって、まさに言いたいことを言ってくれたような感覚があった。


好きな点

・OP
クルーゼ隊のガンダムと共に決めポーズで写るシーンなど、かっこいいものが多い。クルーゼとムウの背景にDNAらしきものがあったり、アスランとカガリが銃を向けあっていたりと内容も反映されている。別のバージョンになったときに二コルのシーンがなくなったと思ったら、案の定そのうち死んでしまった。

・いろんな技術
モビルスーツに色がついて強くなるフェイズシフトや、Nジャマ―、ローエングリンなどすごい技術がたくさん出てくる。オーブから宇宙へ上がるときに使ったやつなど、何がどうなっているのか訳が分からない。だがこの作品に関して言えば、リアリティーよりも演出を重視しており、実際かっこいいので仕組みがどうとかは気にならないのである。

・メカ描写
アークエンジェルのカタパルトや、ガンダムのコックピットなどちょっとしたメカの描写が作りこまれていて、見ごたえがある。

・演出のカッコよさ
ガンダムの発進シーンやローエングリン、もっと言えばただのミサイルの発射などに関してもカッコよさを感じる。艦隊戦におけるラミアス艦長の指示にしろ、戦闘シーンに限定せずとも全体的に見ていて心地よい。これらは「構図」「リズム感」「効果音」の3つに起因するものだと考えられる。好みもあるだろうが、演出に関しては最高レベルだと感じた。「逆襲のシャア」を見ているときと似たような感覚だった。

・ラストシーン
先ほども言及したが、最後のシーンは流れる「FIND THE WAY」も相まってかなり良かった。


気になった点

・種が割れる演出
主人公たちが追い詰められたときに種が割れる演出が入り、覚醒するというシーンが何回かある。スーパーコーディネーターのキラだけならまだしも、アスランやナチュラルのカガリにもこの演出があったため、結局何だったのかよくわからなかった。

・終盤の展開
これに関しては少しご都合主義な感じは否めない。すごくきれいにまとまったとは思うが、敵サイドが安っぽいただの悪役に見えてしまった。中盤からオーブから宇宙に上がるあたりが盛り上がりとしてピークだった。


最後に

つい先日劇場版としてSEED FREEDOMの公開日が告知された。ちょうど自分がSEEDおよびDESTINYを見ているタイミングで発表され、盛り上がりが感じられてよかった。色々後回しにしていた結果、この部分を書いている時点でDESTINYも見終えているのでそちらの感想もそのうち書こうと思う。



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