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【過去問の解答あり】筑波大学 理工学群 工学システム学類 編入体験記 (令和5年度)

合格したので、記録を残しておきたいと思います。
なお、過去問の解答は記事の最後にあります。

自己紹介

出身 地方高専の電気&機械系学科
席次 1年 2位,2年 5位,3年 6位,4年 3位
併願大学 岡山大学(不合格),豊橋技術科学大学(合格)
TOEIC 520(?)(初受験),820(筑波受験時に提出)

筑波大学工学システム学類について

筑波大学の工学系の学群(学部)です。
情報学群が有名、人気ですが、それとは違います。

日程
出願 :2022. 6.1~6.7(必着)
試験日 :2022. 7.9,10
合格発表 :2022. 7.21
入学手続き :2022. 8.23~25

募集人数
例年工シスの募集人数は「若干名」とありますが、実際に取るのは10人前後らしいです。過去には14人も取った年や8人しか取らなかった年もあるみたいです(うろ覚えです)。

倍率
(合格者数/志願者数) 10/46

受験科目
数学,物理(力学,電磁気)150分
外国語(TOEICまたはTOEFL)のスコアシート提出
面接 約10分

志望理由
機械系の研究室が多く、興味のある研究室があったため。
また、自分でも行けるレベルの大学のなかでより良いものを考えて。

大学の雰囲気

森 で す。
めちゃ田舎かというとそうでも無いですが、東京近郊とは思えない感じです。
とにかくキャンパスが広く、自転車(かバス)で移動するのが一般的です。

あながち間違いじゃないのが恐ろしい

受験までの過程

[きっかけ]
元々高専入学当初から編入を考えていました。私の学科では電気系の授業が多く、それはそれで面白かったのですが機械系についても学びたいと思うようになり、それが実現できる大学を考えるようになりました。

[1~3年生]
編入のことは頭にありましたが、あまり具体的に考えていませんでした。定期テストは直前で詰め込んでいました。

[4年生前期]
何人かの同級生がすでに旧帝大を目指して勉強している事を知り焦りました。自分はまだ志望校がはっきりと決まっておらず、ようやく本格的に考え始めました。

[4年生夏休み]
ロボットスーツHALの開発者である山海先生の研究室に興味を持ちました。その他にもロボット系で面白そうな研究室が多くある筑波大学の工学システム学類を受験しようと考えるようになりました。
さすがにまずいと思いTOEICの勉強をはじめました。また、編入数学徹底研究で数学の基礎を復習し始めました。

[4年生後期]
10月くらいにTOEICで710点を取りました。工シスの満点は850点との噂を知り、もう少し頑張ろうと思いました。最終的には1月のTOEICで820点を取ることに成功しました。

[4年生春休み]
数学がある程度形になってきたと同時に物理の勉強をし始めました。しかしその矢先、コロナにかかりました。一時は熱が40度を超え、かなりきつい状況でした。2週間ほどはほとんど勉強できませんでした。そのせいもあってこのとき精神的に一番辛い状況でした。過去問も解けず、「絶対落ちる」と毎日のように考えて苦しんでいました。

[5年生4~5月]
やるしかない、と腹をくくって一日中勉強していました。辛かったですが、勉強していく内に急に分かるようになってきました。

[5年生6月]
滑り止めの岡山大学の受験がありました。好感触だったため「良い滑り出しが出来たぜ!」とこのときは考えていました
(落 ち ま し た!!!! 不合格体験記も後にかく予定です)。
豊橋技科大も同様に好感触でした。

[5年生7月]
ひたすらに問題集の分からないところと過去問をやりこみました。
下の画像の水色が過去問をやった時間です。

多分工シスに受かった中で一番勉強していない人間だと思います。Studyplusというアプリで勉強時間を記録していたのですが、三月から記録して780時間ほど。なめてますね。

うわっ…私の勉強、少なすぎ…?

そもそも4年の夏休みから始めている時点で遅い・・・。
逆に言えば短期間に全力でやれば受かるということ(?!)

参考書について

数学

『編入数学徹底研究』
評価:◎
定番。基本的な問題からちょっとした応用まで網羅している。


『編入数学過去問特訓』
評価:◎
徹底研究と大差ない難易度。良問が多い。


『ベクトル・行列・行列式 徹底演習』
評価:○
上二冊よりも少し難しい。過去問を解いたとき、線形代数の力が足りないことを痛感して。


『明解演習 線形代数』
評価:○
写像関係の勉強が必要だったため。問題数をこなしたい人にもおすすめ。


『複素関数キャンパス・ゼミ
評価:◎
いわゆる「マセマの複素関数」。留数定理まで網羅していて、これ一冊やっておけば工シスは大丈夫だと思う。
マセマシリーズは分かりやすいで定評があり、初学者におすすめ。


多くの大学は徹底研究、過去問特訓をやりこんでおけば大丈夫だと思います。工シスの場合は過去問で写像、複素関数が出ているため他の参考書でカバーする必要があるかと思います。


力学

『物理のエッセンス 力学・波動』
評価:△
わかりやすいが高校物理。工シスだと足りない。


『演習力学』
評価:△
いわゆる「黄色い本」。序盤にやって後悔した。基礎力がついてから使うべき。


『弱点克服 大学生の初等力学』
評価:◎
とてもわかりやすい。編入試験の過去問を集めた問題集。問題数が少ないため別の参考書と合わせて使うと良い。



電磁気

『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子 』
評価:×
有名だが、すごく分かりやすいわけではない。
私はスカラでなくベクトルで電磁気をやっていたので気持ち悪かった。


『電磁気学演習』
評価:×
私には難易度が高すぎた。これもスカラがメインになっている。スカラでやっていて実力がある人にはおすすめ。


『電磁気学キャンパス・ゼミ』
評価:△
いわゆる「マセマの電磁気」。さすがマセマとあって分かりやすいがスカラがメイン。


結局良い参考書が見つけられないままでした。元々電磁気は得意だったので過去問をメインに勉強しました。


英語

『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』
評価:◎
1~8までそれぞれ二回ずつ繰り返しやった。本番に慣れつつも力をつけられてとても良い。
自分はこれをメインにして勉強した。


『公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リーディング編』
評価:◎
特にリーディングが苦手だったため。上より難しいが力になった。


『大学入試 英語長文ハイパートレーニング』
評価:○
滑り止めの豊橋技科大対策。TOEICの最終受験から日がたっていたため。


『速読英単語』
評価:○
上と同様の理由。


とにかく公式問題集をやりこみました。「金フレ」が有名ですが、私は一切使いませんでした(後で見返すと良い本だと思いました)。

過去問について

過去3年分の過去問が公開されています。2022年9月11日現在、令和2~4年度の問題が公開されています。
令和3,4年分に関してはありがたいことに解答まで載っています(編入試験に解答があることは珍しいです)。令和5年度の編入試験も後に解答が出されると思います。

それ以前の過去問が欲しい時は大学側に問い合わせてみるといいでしょう。
うちの高専は過去問を保存していたので私はそれを手に入れました。

過去問はなるべく早く始めましょう。個人的には、大学を決めたらまずはそこの過去問を解いてみるべきだと思います。
はじめは挫折すると思います(しなかったならすごい)。しかし過去問を解くと、自分がどこが苦手なのか、試験ではどのような問題がでるのか、自分は本番どれくらい間違えるのか、自分と相手を知れます。
早めに過去問を知っておくことで後の対策がしやすくなります。

私は試験の5ヶ月くらい前に目を通し、2ヶ月ぐらい前に本格的に始めました。遅い・・・。

試験内容

数学、物理まとめて150分のテストです。体力勝負です。
筆記は試験1日目、面接は二日目に行いました。

【数学】
解析
大問1は複素数が絡んだマクローリン展開、漸化式、定積分の問題でした。そこまで難易度は高くなく、普通に計算していくだけです。
大問2問はサイクロイドについて、二次元平面上で調べていく問題。
大問3はサイクロイドの回転体について、その表面上のある点から伸びる単位法線ベクトルを求める問題。(3)は全く分かりませんでした。今考えてみると単純に偏微分して計算すれば解ける問題でした。もったいないです。
行列
四次正方行列の固有ベクトル、それを応用して微分方程式を解く、というよくある問題でした。四次で計算が面倒でしたが、今回一番簡単な大問でした。逆にいえばこれで凡ミスすると厳しかったと思います

【物理(力学)】
単振り子について運動方程式を立てて調べていく問題でした。
次に求めた運動方程式からエネルギー保存則を導きました。ところがエネルギーを時間微分しても0にならず焦りました。どうしても0にならなかったのでごまかしました。
5問目は初速を変えたときに振り子の周期はどうなるかという問題でした。正直、何がしたい問題なのかよくわかりませんでした。周期は変わらない、と結論付けました。調べてみるとsinθをθで近似したせいで周期が微妙に変わるらしいです。ナニソレ?

【物理(電磁気)】
導体球殻に一様電荷を与えたときの電界とそれによって発生する力に関する問題でした。一問目はすごく簡単でした。
2問目は (0,0,z)に存在する点電荷qと球殻に分布した電荷の斥力を求める問題で、これはかなり難しかったです。作図して余弦定理を使って幾何学的に調べているよ、とアピールはしましたが、肝心の求める積分はどうしても出てこなかったです(これ多分無理なやつ)。
かなり焦りましたが、最後の問題は積分するだけの簡単な問題だったので拍子抜けしました。

筆記試験ははじめから全部は解けないと分かっていたので部分点狙いで全問何か書きました。

【面接】
試験2日目に行いました。訊かれた内容は以下のようです。
・志望動機
・(志望動機で話した教授の)研究室でどういう研究がしたいのか
・したい研究と志望動機がどうつながるのか
・授業外で、何か自分で製作した経験はあるか
・試験のできはどうだったか
・得意科目は何か
・併願校はどこか

詳しい内容はこちらをどうぞ

【外国語】
試験初日にスコアシートを回収されます。スコアシートは何枚か事前に請求しておくことをおすすめします。

試験の用紙について

少し特徴があるので説明しておきます。
普通のA4の問題用紙とともにB4くらいのドデカい解答用紙が4枚配られます。上の方に受験番号、名前、学群、学類、科目名(数学問題1、物理学問題2など)の欄があります。それと同時に解答用紙と全く同じ形式の「下書き用紙」なる紙が配られました(え?)。

全く聞いていなかったので焦りました。
私は「導出過程も解答も全部解答用紙に書けば良いじゃん」と思い、下書き用紙はほぼ白紙で提出しました(マクローリン展開の定義式をちょっと書いたぐらい)。
合格してるので多分「下書き用紙」は評価に入っていないと思います。
解答用紙は裏まで書けました。私は大問2で裏まで全部使い切り、試験官に2枚目をもらいました。

解答用紙、下書き用紙の科目欄は間違えないようにしましょう。試験終了後にトラブってた人がいました。

(ちなみに解答用紙、下書き用紙には横罫線が入っているのですが、この幅が微妙でやりにくかったです。積分記号がちぃ~ちゃくなっちゃう・・・)

受験を終えて

なんとか合格していました。
筆記の部分点と、TOEICが効いたのかなと思います。

私は受験勉強を始めるのが非常に遅く、もっと早く始めればと何度も後悔しました。試験勉強は早く始めるに超したことはないです。
例えば3年から始めておけば、もっと余裕を持って合格出来たと思っています。特に英語は一朝一夕で伸びる分野ではないので苦手な人は最初に手をつけるべき教科だと思います。
逆に言えば、4年生春休み以降に本当に本気で勉強出来たからこその合格だと思います。自分は結構楽しんで勉強できました。

偉そうなことを言うようですが、勉強を楽しむことは合格不合格に関係なく、自分の大きな糧になると思います(まじで)。是非楽しんで勉強してみてください

また、一人の力で受験を乗り越えるのは難しいです。友人や先生を頼りましょう。私はしつこいほど先生に訊きに行っていました。特に、数学教員のN先生には遅くまで数学を教えていただきました。感謝してもしきれないです。

最後に、これはネットの情報です。自分で言うのもなんですが、これらの情報を鵜呑みにしすぎないでください。体験談を書くのは大体、終わってしばらくしてからなので多少情報がゆがみます。
体験談はまだまだ少ないですがいくつか出回っているので、自分で調べて自分なりにイメージしてみてください。

長くなってしまいましたが、以上が私の体験談です。
皆さんの良い結果を願っています。

過去問解答

過去問の解答pdfを制作しました。TEXで書いたので綺麗にまとめられています。
こちらに筑波大学工学システム学類R2~H27年度の6年分(歯抜けあり)、岡山大学機械系2020~2022年度の3年分がおいてあります。

注意

個人が勝手に制作したものです。この解答を100%信頼しないください
こちらとしては

 自力で過去問を解く
→先生に訊いたりして分からないところを詰める
→最後の確認に使うor本当に分からないとき参考にする
→先生にチェックしてもらう

という流れを想定しています。なるべく自分の力になるように勉強してもらえたらありがたいです。

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