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◆作品No.148 映画 王立宇宙軍 オネアミスの翼

🔴作品紹介🔴


放送期
1987年3月14日春
上映時間 119分

character
リイクニ・ノンデライコ:弥生みつき
マナ:村田彩
▼宇宙軍
●2期生
シロツグ・ラーダット:森本レオ
マティ:曽我部和恭
●3期生
カロック:平野正人
ダリガン:伊沢弘
チャリチャンミ:戸谷公次
ネッカラウト:安原義人
ヤナラン:島田敏
マジャホ:安西正弘
●1期生
ドムロッド:鈴置洋孝
カイデン・ル・マシーレ(将軍司令官):内田稔
指導官:飯塚昭三
▼宇宙旅行協会
グノォム博士;大塚周夫
デクロ:及川ヒロオ
ロンタ:槐柳二
老人(ドンカン、エエガー、フォンマ、ゴイル、ハンパ)
▼王国貴族
トクロ・マヤウリ=モノヤ: 納谷悟朗
オコウ・セノウミ=マゴ:寺島幹夫
ヨス・スイタリ=カシア: 梶哲也
▼王立空軍
空軍パイロット:沢りつお
管制官:石井隆夫
ストイ・ネジーレ=ヤン:村越伊知郎
ディロ・カサイキン=ヤン:山下啓介
キート・ロ=グリアン:林一夫
スピーカーの声:八代駿
デンタ:山崎哲也
▼共和国
ネレッドン(政治局次官):ウィリー・ドーシー
デッサラ・ザーリ(書記官):フィザンキー・ベロット
作戦室アナウンサー:スティーブ・フェルバー
交信者:ドン・ウィットカー
給油交信者:ウィリアム・ロバーツ
司令官:ジェリー・マッケーリック
共和国アナウンサー:ドーラ・コートレル
▼その他
漫才師A:アントン・ウィッキー
漫才師B:オースマン・サンコン
アナウンサー:徳光和夫
トネス殿下(オネアミス国王):熊倉一雄
読経老婆:牧野和子
記録映画ナレーション:瀬能礼子



主題歌
『オネアミスの翼〜』-坂本隆一



監督
山賀博之
脚本
山賀博之
キャラデザ
貞本義行
アニメーション制作
GAINAX



★あらすじ★
シロツグ・ラーダット。彼は戦わない軍隊、「王立宇宙軍」の兵士。 この30年の歴史を誇る宇宙軍も政府には見放され、今じゃ人間どころか人工衛星すら満足にあげられない。 いつの間にやら、宇宙への夢も遠ざかり訓練もさぼり放題のシロツグ。そんなある日、街で神の教えを説くふしぎな少女リイクニに出会ったことでシロツグの運命は変わってしまった。シロツグは仲間の兵士の反対にもめげず宇宙パイロットに志願してしまったのである。 かくして「王立宇宙軍」の威信と名誉挽回の宇宙飛行計画が開始された…。




🔶感想🔶

<評価:S>
視聴2023.9.26

<感想>
見終わりました~!いやー難しい。何が難しいかと言うと評価と感想。
率直に感じたのは、キャラの表情が豊かなので読み取るのが難しい。言いたい事は何となくわかるけど、キャラの台詞に決定的がない。「その表情は何を感じているの?何を思っているの?考えているの?」と明確に答えが出せなくて個人的に難しいと感じた。感想に困る~w
近年のアニメはほぼ説明があるので解り易くなっている分、昭和・平成初期のアニメは見る側の想像力や読解力を試される。
(言葉は悪いがこれが視聴者が馬鹿になった問題なのだと実感・・・w)

まずはざっくりあらすじ!
〝主人公シロツグは戦わない軍隊「王立宇宙軍」で張り合いの無い日々を過ごしていた。そんな中、リイクニと言う少女に出会ってシロツグの日々が変わり始める〟
こんな感じのお話です。物語自体は分かりやすく平凡と言えばそうなので、ここで評価が別れると思います。要約すると〝主人公がきっかけを与えられ変化していく物語〟で心情がどう動いてその行動を取ったのかを楽しむ。本作は人の感情がメインの作品だと思います。主人公が男性なので当たり前ですが、男の作品。男性の方が共感しやすいと思います。

背景は様々な社会問題を詰めている。
●人生の挫折、繰り返される戦争、貧困問題、宗教問題、人類の進歩
どれかに焦点を絞るではなくどれも現実で同時に起こっている事だから伝えたかった事なのだろう。このぼんやりしたなんだか分からなく混沌として腑に落ちるような落ちないようなものこそとても人間の感情らしく人間の感情は、ひとつに絞れるものでは無く複雑で常に様変わりする。纏まりのないもの。他の動物と比べて、考える分めんどくさい。
全てにおいて現実味があるような作品に思える。フィクションなのだがノンフィクションってこんなもんだよね!が妙にしっくりくる。普通の人間の感情の移り変わりがこの作品の面白さ。

<挫折>
令和の時代だと、性別での「らしく」は見直そうってなってるが、この時代はまだまだ「らしく」の時代。何となく感じるのが、若き男性が心に抱く「ナニモノかに成りたい」この夢描く心情に突きつけられる現実との葛藤。現実はそんな甘くなくナニモノにも成れない自分との闘いを描いている。もっと高みに行けたはずだと思っていた自分が落ちこぼれになり、自暴自棄になり、そしていつかここから抜け出すんだと言う思いがあっても結局動けない。そんな人の苦悩に焦点を当ている。制作陣もこのような想いをされたのかと妄想します。

<人の性、名声を手に入れる事、貧困問題、思い込む事の怖さ>
シロツグを変える事になるリイクニの存在。シロツグの興味か一目惚れか下心で近づいたそんな彼女に情けなく底辺だと思っていた仕事が褒められた事により舞い上がりカッコつけ良いところを見せようとするのがまさに男性らしい。笑
下心があるシロツグが真面目なリイクニを適当に力を抜けと唆したり、教典を貰い宗教に触れ自分の行動など省みたり、リイクニに褒められた事で宇宙を目指す事にする。
国を巻き込み宇宙に行く事で自分に注目が集まり有名になるにつれ貧困層からのデモが起こる。宇宙軍に掛かる年間費を半分にすることで3万人の貧困者に衣食住を与える事が出来る。他者が困窮してまで宇宙に行く事が本当に正しいことなのか?と自問自答し始める。ロケットは戦争の道具で人も死なない橋を作る方がましだと言う。有名になりたいと思う人が多いがそれにはリスクも付いてくる事を肝に銘じなさいと言われているようだ。
報道の前では作られたシロツグシーンが印象的。
やがて心のバランスを崩し始めるシロツグは癒しをリイクニに求めて訪ねる。リイクニは変わらす真面目に生活をしている。一緒に居ても報われないフラストレーションから魔が差しリイクニを襲ってしまう。若い女を目の前にして、男がカッコつけるのも性欲に勝てない部分も表している。今の時代このシーンはクレーム来そうだけど、弱った時にひと肌が恋しくなるのと何か放出したい気持ち、そこまで強くない人間の過ちがよく表れている。作品としてフィクションとして観てください。このシーンの後が怖くて、強姦されそうになったのに翌日平然を貫いているリイクニ。怒る事もなく自分が殴った事に懺悔する。宗教の信じ込みの怖さみたいなのが感じる。ここでシロツグはこれ以上通じぬ何かを感じ取る。そして宗教への熱が少し冷める。結局、結ばれることがないから恋も愛もない。

<繰り返す戦争と過ち、人類の進歩>
神の領域に行き快挙を上げる為のロケット打ち上げ計画をも国の上層部は戦争の道具にする。国家間の取引や金とかが戦争の正体なんだろうね。
カイデンが言ったこの台詞が印象的です。
〝文明が戦争を生むのではない。戦争によって文明が作られたのだ。我々人類は10万年の原始時代から抜け出しここにたどり着いた。だがここはどうだ?根本的な所は解決されないではないか。同朋を移民の侵略から守る為必死に戦った。だがそれは正義などではなく太古の昔から繰り返される殺戮の歴史をなぞっているだけだ。悲しかったよ歴史を勉強した事がな。歴史とは破産するまで終わらないゲームなのだよ。間抜けなサルが始めたに違いない。昔へ戻れだと?道は一本きりではないか。大切なのは自分の立場を見つける事なのだ。〟この台詞が作品の全てに感じる。
人間の過ちの始まりを神話で表してるのも面白い。作中に出てくる教典神話で、〝火の時代。神は火を持つ事で永遠に生きた。それをダウと言う一人の人間が盗んだ。ダウは神と同じように火で煮炊きすると家族7人が死んだ。盗まれることは解っておりこの炎には呪いが掛けられていた。これが人の死のはじまりである。ダウの前に神は降り予言された。「人よ、あなたは呪われてしまった。貴方の子孫は皆争い奪い合い苦しみあう。そして災いは地の果てまで広がり一人が何度でも殺されることになるだろう」〟
人間は知恵を付けてからずっとどこまでも愚かだという事。だが希望や平和も同時に持ち合わせていて他の動物よりも不思議でめんどうな生き物だという事。
各自の策略が入り乱れ早期に戦争が起こり発射が危ぶまれたが無事に神の領域に行ったシロツグ。宇宙に行った時の台詞が印象的です。
〝地上でこの放送を聞いている人いますか?私は人類初の宇宙飛行士です。たった今人間は初めて星の世界へ足を踏み出しました。海や山がそうであったようにかつて神の領域だったこの空間もこれからは人間の活動の舞台となる下らない場所になるでしょう。地上を汚し空を汚し更に新しい土地を求めて宇宙へ出て行く。人類の領域は何処まで広がる事を許されるのでしょうか。この放送を聞いている人にお願いします。人間がここに到達した事への感謝の祈りをささげてください。どうかお許しと憐れみを。我々の進む先に暗闇を置かないでください。罪深い歴史のその果てにも揺るぎない一つの星を与えて下さい。〟
令和の時代でも宇宙に行くというのは、神の領域なんだなと思う。現状では宇宙は死の世界だもんね。このシーンの後は我々が知り得る範囲の人類の歴史が一気に流れる。これは視聴者に見せているのか?シロツグが宇宙から見せられたものなのか?良い進化もあれば悪い進化もあり、人間の有り方が問われる昨今。今の時代だからこそ余計に感じるものがあります。
放映した時期が昭和と平成が始まる頃なので、令和の時代に生まれ生きる若い人たちにこの時代の若者が抱いていた感情がどの程度伝わるのかが興味あります。

絵の好みは別として作画がとっても丁寧で、メカも出てくるけどヌルヌル動く。CGもあっだろうけどまだまだ手書きの時代だと思うので凄い。特に試験機体の中やロケットの噴火口とか細かくて美しい。地球に似たどこかの惑星で、生活は似ているものの道具などのデザインは良く考えられている。ノスタルジックにも感じるし新しくも感じる。
制作陣のクレジットに庵野さんいて驚いた!これはWIKIをよみましたが現在有名になられた方々が学生の時に制作したものだそうです。凄いなやっぱり!!最初のOPとEDの水墨画見たいのいいね!音楽も坂本隆一さんでらしい曲調が良い。


最後に
人生の中で大小問わず何かをやり切る事それが人を動かし人生を豊かにする。
カッコつけてこれだけ語ったが、言っておくが宇宙ロケットを飛ばすお話だよw



★謎★
・シロツグを狙った仮装おじじはなんだったのか?貧困層の過激派なのか?この真相はわからないだが、有名になる事はこう言う事も覚悟しなければならないと言う教訓なのかな?→ああ共和国の刺客だったのね。まあそうか。何を見ていたんだ自分w


<声優及びキャラ>
・声優見たらまあお懐かしいと言うか時代の話題だった人達を起用してて笑った。漫才師にサンコンさんとウィッキーさんって!!ぷらす徳光和夫ww
→どこにいたの?解らなかったけどww
・主に書いたキャラ以外もいたけど、印象がやや弱い。下記3人の物語だね。
●シロツグ:森本レオさん演じる主人公。
〝いい事なのか、それとも悪い事なのか、解らない。でも多くに人間がそうであるように俺もまた自分の生まれた国で育った。そしてごく普通の中流家庭に生まれ着くことが出来た。貴族の不幸も貧乏人の苦労も知らない。別に知りたいとも思わない。子供の頃は水軍のパイロットに成りたかった。ジェットに乗るには水軍に入るしかないからだ。早く・高く空を飛ぶことは何よりも美しい。でも学校を卒業する二か月前、そんな者には成れないと成績表が教えてくれてた。だから宇宙軍に入った。〟
これが冒頭の台詞。普通の家庭に生まれた普通の人間性で、主人公だが特殊の力がある訳でもなくごくごく普通。それが人生の現実味がある。恐らくここが一番のポイントでアニメなどの空想世界であれば思い通りな人物を作れるところを普通にした事で現実ってこんなもんって事を表しててメッセージ性があるなと感じた。個人的に森本さんはナレーションのイメージが強いのでキャラだと少し違和感を感じるwだが、シロツグのやる気のないほわっとした性格には合っていると思う。
●リイクニ:弥生みつきさん演じる両親からないがしろにされ熱心な宗教家の祖母に育てられ信仰心が強い。この作品の特徴はヒロインが絶妙に可愛く無く、ヒロインではない。一応シロツグが心を寄せるけど彼女の異常性に気が付いてロケット発射の時にシロツグは別れを決めたのかな?行ってきますと行ってらっしゃいが永遠の別れのように感じる演出は良かった。それでも彼女はシロツグの思いには無頓着。繁華街にいるような女性とは違う雰囲気にシロツグも惹かれたと思うんだけど、人って生活に困ると結局本質が出て来る。マナに急に冷たく当たる場面とかブーツにお金を潜ましている所とか聖女でもなんでもなく普通の女の子。でもかなり異常ですw
●マナ:村田彩さん演じるリイクニと一緒に住んでいる女の子。本当の妹じゃないようです。シロツグに笑顔を見せる事はなかった。何となく子供ながらに下心の怪しさを受け取っていたのかも。最後はシロツグに心開いたのか笑って良かったね!リイクニより癒されたのかもw

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