見出し画像

「#薬剤師に処方権を」から思ったこと

日頃からこのnoteを読んでくれてるあなたは、私のことを「本を読む人」というイメージが強いかもしれません。

確かに、薬剤師関連の記事よりも読書感想文の記事のほうが圧倒的に多いです。
しかし、今は現場にいないとは言え4年間薬局で働いてきました。
時々研修を受けに行きますが、その度に「私のアイデンティティは薬剤師」と感じます。

長男の出産を機に現場を離れたものの、その後も薬剤師を取り巻く環境に関心を持っています。

「もしかしたら、仕事ができる状態になって就活しても見つからないかもしれない」と考えることもあります。
それでも、今まで学んできたことで他の人の役に立ちたいと願っています。

意見をしてる人の大半は、現場で働いている方ばかり。
「今、現場にいない私が意見を言っていいものか」とためらいました。

しかし、今回の件について意見するのは、薬剤師の当事者として責任があります。

・刺激的な言葉を使うしかなかった

「疑義照会※の簡略化なら賛成だけど」
「詳しいことも決めずに署名集めて後から決めるなんて無責任」

※処方箋の内容に不明点や疑問点があった時に、処方医に問い合わせること。

他の方の意見を読んで、こう主張している方がいました。

「疑義照会の簡略化」については、一度署名を始めたもののほとんど集まらなかったそうです。

確かに薬剤師法と言われても、多くの方はピンとこないでしょう。
私でも「疑義照会に関する条文か」と中身を見てやっとわかったくらいです。

とれだけ患者さんを待たせたか、
何度時間外に医師に電話したかを思い出しました。

特に在宅医療の医師は比較的繋がりやすく、多くの先生方が快く対応して下さりました。
それでも、「これはわざわざ問い合わせるべき内容だろうか」と思うものもありました。

署名は人数を集めてナンボです。
発起人の先生方は、「どうしたら問題意識を持ってもらえるか」と考えた結果、「#薬剤師に処方権を」となったのではないかと考えました。

薬剤師関連の署名で、数日で1400人以上の人が賛同するのは、異例です。
「人は感情で動くのか」と改めて感じました。

・どうなるか予想した

あくまでも私の意見です。

・疑義照会の簡略化

例をあげれば、
残薬調整で日数を変更、使用部位の記入もれ、
次回受診日の変更で薬の日数の変更、
週1飲む薬なのに、毎日の日数で出てるのを変更する…など。

患者さんからの情報などで把握できることは省略できないだろうかと思います。

今だと薬の供給が不安定で、やむを得ず類似薬に変えることがあります。
変更の仕方によっては問い合わせないといけないため、医師も薬剤師も負担になっています。

・軽微な症状の処方

ドラッグストアで売られている薬で対処できるくらいの症状なら、今も薬剤師がやっています。

大学時代の元同級生が学会で「急患に来る方の多くは、市販薬で対処できる症状だった」と発表していました。

ただし、症状によっては病院に行くように伝える必要があります。

・処方と診断は別

医師が診断して治療方針を決めるのは揺るがないと思います。
薬物治療、食事療法、生活指導、手術などを決めるはずです。
処方権で問題になるのは、薬の選択です。

「○○という病気を治療します」と診断して、それに合う薬を薬剤師が選ぶというやり方はアリだと思います。
情報があれば、他に飲んでる薬との組み合わせや腎機能、肝機能などを考慮して選択することは可能だとと思います。

ただし、一定の研修は必須でしょう。

・あなたに診断できるわけ?

「医療事故の責任を全て薬剤師が取ってくれるならいいけどね。どうせできないでしょ?」と発起人の先生に突っかかってきた医師を見かけました。
(※実際よりマイルドに書きました。見るに耐えずミュート)

診断と処方を分けていたら、感情的になる医師や薬剤師は出てきただろうかと感じました。

どの科でも、診断に関しては専門医の先生には敵わないし、そもそもこのキャンペーンで薬剤師に診断させてほしいとは言っていません。

そうは言っても、治療薬を決める時に私たち薬剤師は助言できます。

一例ですが、緑内障の治療してる方で睡眠薬が出ていました。眼圧に影響が出ることがあるため、注意が必要です。
確認したら、眼科医も精神科医も知らなかったというケースがありました。

・まとめ

不思議に思ったのは、発起人の中に精神科医の先生がいることです。
「医師にとって処方権は特権の位置づけ」と思っていたので、驚かされました。

医師も薬剤師もたくさんの方の意見を見ましたが、「同じ職業でもここまで考え方が違うものか」と勉強になりました。

私は賛同しました。
このキャンペーンが達成されたら、今よりアウトプット型の仕事ができると考えたからです。
薬剤師が決める余地ができます。

ただ処方箋通り薬を取り揃えて渡すというやらされ仕事では、薬剤師の仕事に未来がないと感じます。

制度も薬剤師自身も「アウトプット仕事」に移行する時期が来たと感じます。

薬剤師にアウトプット仕事をしてもらいたいと願う方、以下のリンクよりお願いします。

以上、ちえでした。
プロフィールはこちらです。
他のSNSはこちらです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?