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芥川賞候補作を読んで、人を憎むエネルギーが恋しくなった【アキちゃん】三木三奈著

「ここまで人を憎めるものか」
小学5年生の女の子の話ですが、
ただ驚くばかりです。

『アイスネルワイゼン』に収録されています。
個人的にはこちらの方が面白かったです。

こちらの作品は
著者が文學界新人賞を受賞をした作品です。
第163回芥川賞候補になりました。

私が芥川賞候補作を読むようになったのは、
第167回なので、読んだことがありませんでした。
通常、芥川賞候補作になると
単行本で発売されます。
しかし、こちらの作品は単行本になっていなかったので驚きました。


・ここまで憎まれるアキちゃんの人物像

冒頭から「とにかく嫌い。こんな憎んだことはない」と言わんばかりです。

そこまで憎まれるアキちゃんとは
どんな人物像でしょうか。

読み進めていくと、
上下関係に敏感で保身がうまいと描写。
みんなの前では主人公のことを「ミッカー」と呼びます。
しかし、2人っきりになると「アンタ」「オマエ」お前呼ばわりです。

なぜか周りからは親友同士と思われていました。

ミッカーが嫌がるようなことばかりしていたのがわかりました。
階段から突き落とされたときは「私のせいじゃないからね」と念を押されていたくらいです。

・幽霊の見える同級生に相談

「時々幽霊が見える」
バッチャンという同級生が、ミッカーに話します。
目に見えないものに詳しいみたいでした。

「どうしたら、アキちゃんに呪いをかけられるか」
その方法についてバッチャンに相談しました。
「わら人形はやめとけと母から言われた」と忠告。

・意地悪をしたツケ

ミッカーは引っ越した後のアキちゃんについて
大学生になってから、元同級生から聞くことになりました。

アキちゃんは、中学ではイジられ、パシられていたことが判明。

主人公に意地悪したツケが回ってきたかのようでした。

話をした元同級生も「アキね」と蔑むような態度。
自業自得なのが否めません。

・感想

「面白いなぁ」と思ったのは、純文学のはずなのに小学生の日記を読んでいるように感じました。

大人になった今、客観的に見ると、
「何もそこまで思い詰めなくても」と思いました。

「無視する」「受け流す」などの対処法を
知るはずもないのでこうなるのかと思いました。

30代半ばになった今、ここまで特定の人を憎み続ける気力が残っていないことに気づきました。
「子どものエネルギーはすごい」と。
そして、そのエネルギーが恋しくなりました。

以上、ちえでした。
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