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ニュースつぶやき:「ハッピー・イースター!〜イースターの起源」

 今年のイースターは今日である話。


 みなさま、ハッピーイースター!でございますわ~!

 と、こんな風にしてお祝いするのが果たしてイースターの本質にそぐうものなのかどうかもわかりませんけれども。わたくしも最初にイースターという言葉を聞いたときは(モアイ?)くらいしか出てきませんでしたし、日本人でどれだけイースターの意味を知っててお祝いしている人がいるのか、皆目見当もつきませんわ。

 イースターとは、キリスト教のお祭りのひとつ。イエス・キリストが磔刑に処されて身罷みまかられたその三日の後、復活されたというエピソードにちなむもので、キリスト教の多くの宗派でクリスマスと同等以上の重要なお祭りとして知られておりますわね。日本語では「復活祭」「復活日」「復活の主日」とも呼ばれています。

 イースターの語源は諸説あるようで、ゲルマン神話の春の女神「Eostre(エオストレ)」から来ているとの説が一般的だそう。なぜ、キリスト教の祭日に、ゲルマンの女神から名を取っているのでしょうか?

 それは、おそらく土着の信仰と習合したからであろうことは容易に想像がつきます。おそらくどの民族であっても、──冬の厳しい北方であれば特に──草木が芽吹き、動物たちが子育てを始める春は、喜ばしいものであり、それを祝う祭りがあるのは当然のことでしょう。そこに、後からやってきたキリスト教の復活祭がうまいこと季日が近かった。春を祝うお祭りであり、キリストの復活を祝うお祭りでもある。収穫祭であるサウィン祭と、キリスト教の聖人の記念日である万聖節が習合してハロウィーンになったように、イースターもその名に土着信仰の名残を残しつつ、現在のような形になっていったのだと思われますわ。

 イースターの飾りとして有名なのは、イースターエッグと呼ばれるカラフルなペイントをほどこされたたまご、イースターバニーと呼ばれるかわいらしいうさぎ。一説には、女神エオストレは自らが命を助けたうさぎから春の色に塗られたたまごを贈られ、そのたまごを春風とともに皆に配り歩くというものがあり、ここから現在のイースターのイメージが出来上がっていったのでしょうね。たまごは動かぬ物体=死から新たな命が生まれる=再生のシンボル、うさぎは多産なことから豊穣と繁栄を表すとされています。日本のおせち料理とノリは同じですわね。

 界隈では、クリスマス、ハロウィーンに次ぐイベントとして定着させたい狙いがあるのかもしれません、お店では少なくない数のたまごやうさぎにちなんだ商品が陳列されています。しかし……わたくしは一過性のものとして終わるような気がいたしますの。
 その理由のひとつは、イースターは移動休日であること。最初に「今年のイースターは今日」と述べましたけども、これは太陰暦の祝日であったことが大きく関わっています。「春分の日の後の満月の日の後の最初の日曜日」なのです。毎回、日曜日になることの代わりに、毎回、日にちが違うのです。これは、日本人は覚えづらいと思いますわ。
 第二に、単なる仮装パーティーと化したハロウィーンと同じく、うさぎとたまごのなんかかわいいイベント、としかとらえられず、春をイメージした他のかわいい系の商品と競合してしまう点。大多数の日本人にとって、他にいくらでも選択肢があるところで商戦を戦うことになるのが厳しいところですわね。
 最後にして最大の理由が、この時期の日本人が何をしているかということ。そう、お花見です。桜の季節に宴を楽しむ日本人のもとにイースターエッグやイースターバニーをもっていってもさして興味を持たれず、下手をすれば食べ物と勘違いされてしまうでしょう。
 総じて日本にイースターが根付くには厳しい環境です。地道に敬虔なキリスト教信者を増やしていくしかないかもしれません。

 とはいえ、わたくしはイースターの春らしい飾りつけは大好きですし、春の女神に起因するうさぎとたまごの伝説もロマンチックだと思います。キリストの復活を祝うもよし、春のはなやぎを楽しむもよし。そんな自由な楽しみかたができれば、そのうち桜の木の下でイースター・ボンネットをかぶったお花見が出てくるかもしれませんわね。

 そんな日を夢見て、ハッピー・イースター!



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