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反抗

「お前のこと好かんかったけどな。今はそうでもないぞ。卒業おめでとう」

#卒業のことば

中学の卒業式の日、2年の時の担任に言われた言葉だ。
「うちも先生のこと好かんかったけど、今はそんなこと思ってないよ。有難うございました。」と返したと思う、たしか。

中学生時代、大変な反抗期を迎えていた私は目の前にいる大人全てに突っかかっていた。
怒っていたんだと思う。
大人は嘘をつくし、綺麗事で無理やり納得させようとする。こちらが意見すると怒り出す。建前ばかりで本音で話してくれない、子供とだらいう理由で一人の人間として向き合ってくれないことに。あの頃の私はとにかく怒っていたのかもしれない。大人が大嫌いだった。(なんなら今も好きじゃない)

先生の命令口調が嫌いだった。「お前ら席につけ」「静かにしろ」「一回で言うこと聞かんか」同じ人間のくせになんでそんなに偉そうなの?
放課後はすぐにでも部活に行きたかった私は長引く帰りの会にイライラしていた。先生と同じように「さっさと終わらせろよ」と命令口調で言うと「なんだその態度は」と先生は烈火の如く怒り始めた。そこからは私と先生のケンカが始まり、私はその後職員室に呼ばれた。その日部活には行けなかった。

2年の時の担任とはそんな感じでとにかくケンカをしまくった。偉そうに命令するな、といつも思っていた。大人になって客観的にあの時を思い返しても何故あの人が怒りまくっていたのかは分からない。私が都合の良いように記憶を改変してる可能性は大いにあるけど、触ると燃えるヤツだと思ってた。
でも今になって分かるようになったのは、先生は先生という職業の人間だということと、人生色々あるってことだ。

先生とは険悪なまま学年が上がったと思う。

その後も私の反抗期は続いたがだんだんと落ち着き、3年の時の担任とクラスの同級生のお陰もあり卒業する中学3年の3学期には、学級委員長をさせてもらえるくらいには更生(?)した。(その時の彼氏が「一緒に学級委員長しよう」と釣られたのと、その方が私が落ち着くと踏んだ先生や同級生の後押しで、やりたかったわけではなかった、ということは明記しておきたい。根本の人間性は変わらないけど、環境が私を丸くしてくれたんだと思う)

そして卒業式の日、喉元過ぎれば熱さを忘れるという感じで、中学2年の時の先生に冒頭の言葉を言われた。私もその時の雰囲気で先生にお礼を言った。

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今の子は反抗期がないと聞く。反抗期は幼少期に厳しく抑圧された反動で引き起こされるらしい。まあ確かにうちは母が厳しかったからな、とは思いつつ、私の元々の性質のせいな気もする。普通に社会人をやっているが、誰かの指示監視下で作業するのは苦手だと思う。

今学生をしてる人たちに、もし伝えるとするなら、無闇矢鱈に反抗はしなくても良いと思う。何故ならふと思い返して黒歴史だ、、と恥ずかしくなるから。とはいえ32歳の今、当時の自分の反抗っぷりなんてあんまり覚えてないけど。

でも自分の信念や価値観に反する受け入れ難いことに対して全力で怒り反抗する、ということはやって良かったかもしれない。大人になるとそもそも体力的にキツい。持久力不足で怒りの炎は蝋燭の火の如し。ちょっとついたかと思えばすぐ消える。
怒り方の練習にもなるし、パワー溢れる時にしかできないことはやっておいても良いかもしれない。まあ黒歴史のリスクを背負える人だけチャレンジしてみてほしい。

卒業と共に訪れる新たな道が光り輝くことを祈って

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